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任天堂株式会社は2日、携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」の新モデル「ニンテンドーDSi」を発表した。11月1日発売で、価格は18,900円。つや消しのホワイトとブラックの2色を用意する。なお、DS Liteは併売。DSiの海外での発売は2009年が予定されている。
新たにSDカードスロットを備え、音楽再生機能「DSiサウンド」を標準搭載したのが特徴。開いた筐体の上下両方に液晶ディスプレイを備える基本レイアウトはDS Liteを踏襲。しかし、DS Liteでは両方とも3インチだった液晶ディスプレイが、どちらも3.25インチに大型化されている。より輝度の高い設定も1段追加された。なお、タッチスクリーン機能があるのは従来と同じ下側画面のみ。 30万画素のデジタルカメラも新たに搭載しており、ヒンジ部内側と本体の外側に合計2つ搭載。撮影機能「DSiカメラ」が利用できる。顔認識機能も備え、タッチペンを使って写真に落書きをしたり、2人の人物を撮影して相性をチェックするといった機能も用意。写真はSDカードに保存でき、起動すると上画面にランダムに表示。カレンダー表示をして撮影日から写真を検索するなど、ビューワーとしての機能も充実している。 外形寸法は74.9×137×18.9mm(縦×横×厚さ)で、DS Liteの73.9×133×21.5mm(同)から、2.6mm薄型化した。横幅は4mmほど伸びている。また、タッチペンの長さが約18.9mmから約92mmになった。タッチペンとバッテリを含む重量は約214gと、DS Liteの約218gより軽量化した。そのほかの仕様比較は下表の通り。 内蔵メモリも大容量化されており、前述の「DSiカメラ」や「DSiサウンド」といったソフトはこの領域に保存されている。ユーザーが同領域にソフトを追加することも可能で、DSi専用ソフトをネット経由でダウンロード購入(無料ソフトもあり)できる「DSiショップ」サービスも実施。同サービスでは無料アプリ「DSiブラウザー」と「うごくメモ帳」を用意しており、DSiブラウザーはWebブラウジングができる。決済にはWiiポイントを使うが、DSiでも使用できるようになったことから「ニンテンドーポイント」に改名される。
ゲーム機能では下側手前にあったゲームボーイアドバンス用カセットのスロットが省かれ、アドバンス用のゲームはプレイできなくなっている。 ワンセグ受信アダプタの「DSテレビ」はDSiでも利用可能。アドバンス用スロットが省かれているため、カメラアダプタをアドバンス用スロットに装着する「大人のDS 顔トレーニング」のアダプタには非対応。 充電はACアダプタで行ない、ステレオミニの音声出力も用意。マイクも従来通り内蔵しており、DSiではSDカードにAACで録音する機能も備えている。 無線LANも引き続き内蔵。セキュリティ機能が向上し、WEPだけでなく、WPA/WPA2もサポート。バッファローの「AOSS」やNECアクセステクニカの「らくらく無線スタート」などの設定機能も備えている。「DS用ソフトを使った際の通信速度は従来と同じだが、DSi用のソフトではさらに高速な通信が利用できる」(岩田聡社長)という。
■ ゲームのように楽しい音楽再生機能 音楽再生で対応するフォーマットはAACのみだが、「公式にサポートするのはAACのみ」という含みを持たせた表現になっており、MP3などが再生できる可能性はある。DRMに関しては「巷の一般的なDRMには対応していない」という。なお、現時点でPC用ソフトなど、任天堂がAACファイルを作成するためのツールやサービスを提供する予定は無いという。 起動後に下画面に表示されるメニューの中から「DSiサウンド」を選ぶと音楽再生メニューが立ち上がる。下画面にフォルダが表示され、タッチペンで検索。ボリュームや一時停止、AB間リピート再生の設定などもタッチスクリーンから行なえる。また、再生速度やピッチを変える機能や、ラジオのような音質、カラオケのようなセンターボーカルキャンセル再生、エコーを付けた再生、さらにファミコンのような8bit時代のゲーム風の音に変化させて再生する機能も備えている。 再生中、上画面には卵から生まれるヒヨコや、懐かしのゲーム「エキサイトバイク」などの画面が表示され、波形や音量に合わせて動くビジュアライザーとして機能。さらに、横スクロールするマリオの画面では、L/Rボタンを押すことで音楽のテンポの速さに合わせて走るマリオをジャンプさせ、コインを取ることもできる。再生ピッチを上げればスクロールも早くなるため難易度がアップするなど、ニンテンドーDSiらしい、遊び心に溢れた音楽再生機能だ。これら音楽系機能の開発には、宮本茂氏も携わっているという。
ステレオミニのイヤフォン端子を備えるほか、スピーカーも内蔵。音量や音質も向上したという。また、イヤフォンを接続した状態であれば、本体を閉じた状態でも音楽を再生し続けることが可能。ボリュームはスライド式からボタン式になった。 録音は最大10秒間行なえ、AACファイルとして保存可能。音声ファイルは吹き出しのようなアイコンで一覧表示され、音声メモとして活用することもできる。 カメラ機能の「DSiカメラ」にもユニークな機能が多数搭載されている。ライブビュー表示をタッチペンでさわると、引っ張ったようなゆがみができ、ゆがんだ状態で撮影することも可能。顔認識機能も備えており、ネコ耳などのパーツを被写体の人物に重ねて撮影することもできる。怒ったような顔、泣いているような顔など、表情を変えた写真も撮影できるほか、2人の人物を同時に写して両者がどれくらい似ているのか? を数値で示す機能なども用意。撮影した画像には、タッチペンを使って絵や文字を書き込むことができる。
「色かえカメラ」では、タッチした部分の色を変化させることが可能。ルイージの緑の服をマリオのように赤くするといったことも可能だ。SDカードに記録された写真は、起動時に上側の液晶にランダム表示される。カレンダー機能から、その日に撮影した画像を見るといったこともできる。 なお、動画撮影はできないが、パラパラ漫画も描けるソフト「うごくメモ帳」で、カメラで撮影したデータを白黒の絵の1コマとして使うことはできる。
■ 生活の中に音や映像を取り込み、楽しみ、生活をより豊かにする DSiで追加されたカメラや音楽再生機能について、岩田聡社長は「これらの機能はたいていの携帯電話に搭載されており、『こんな機能を内容するのは任天堂らしくない』、『これらの機能が内蔵されることが、DSの今後の普及のために大きな意味があるとは思えない』という声もあるかもしれない」と語った上で、ツールとしてこれらの機能を盛り込むのではなく、「生活の中に音や映像を取り込み、楽しみ、生活をより豊かにするためのもの」と説明。豊富な機能を紹介しながら、“音楽/画像を使って楽しむ”という側面が強くアピールされた。 さらに、SDカードを採用したことで個人的な画像が記録できるようになったほか、ソフトウェアをユーザーが追加できるようになったことなどを「自分専用にDSiを強化して持ち歩いていただける。ソフトウェアメーカーの皆さんには、新たなビジネスチャンスにもなる」と紹介。 岩田社長は「6人に1人が持っているほど普及したDSだが、普及の究極は1人に1台」と語り、今後のDSプラットフォームに向け、個人によるカスタマイズ機能を強化したDSi開発の背景を語った。
□任天堂のホームページ
(2008年10月2日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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