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オーエスが取り扱うOptoma製プロジェクタの新製品として、「オプトマ ポケットプロジェクター」(PK101)が発売された。
PK101は、外形寸法51×105×17mm(幅×奥行き×高さ)、重量120gで世界最軽量を謳う製品。これまでも携帯電話などに接続する用途の小型プロジェクタは存在したが、プロジェクタ自体が携帯電話並みのサイズになってしまったことのインパクトは大きい。 また、販路が一般的なプロジェクタ製品として発売される前にAppleStoreで先行販売されていることも興味深い。オーエスではiPhoneや携帯電話との併用でモバイルプレゼンテーション用途を想定しているほか、個人用であるiPodを他の人と一緒に楽しむことなども提案している。発売日の12月1日時点で、AppleStoreでは一時「在庫切れ」表示になっていたことからも、この製品の注目度がうかがえる。 なお、「PK101」以外にも、小型プロジェクタとしては住友スリーエムからLCOS採用の「MPro110」が発売されている。今後、こういった製品が一つのジャンルとして定着するという可能性もある。 今回は、主にiPod touchやiPhone 3Gを用いて、気軽に持ち運べるカジュアルなAV機器として「PK101」を試用した。
■ ケータイ並みの本体で大画面投射を実現
本体は、一見するとストレート型の携帯電話のようなデザイン。レンズ部も目立たないため、初めて見る人はプロジェクタと気付かないかもしれない。カラーも光沢ブラックで高級感を持たせている。 最大の特徴である小型化は、2月にTIが発表した超小型チップセット「DLP Pico」により実現。開口率は92%以上で、「DarkChip」技術により、ネイティブコントラスト比が高められている。パネル解像度は480×320ドット。コントラストは1,000:1、輝度は10ルーメン。 光源にはRGB LEDを採用し、LED寿命は20,000時間を達成している。レンズは単焦点で6型(投射距離0.15m)~66型(同2.63m)までの投射が行なえる。本体スイッチ類は、スタンダード/高輝度の2段階で輝度が選択可能な電源スイッチと、フォーカスダイヤルのみのシンプルな構成。
【訂正】
入力端子はコンポジットビデオとアナログ音声をまとめた4極/2.5mmミニミニコネクタ。付属ケーブルでRCA(メス)に変換できるため、別途iPodやPSP、携帯電話などのRCA映像出力ケーブルを用意することで接続できる。一般的なデータプロジェクタのようにアナログRGB(D-Sub 15ピン)は備えていない。この点からは、ノートパソコンでの利用はあまり想定していない製品といえる。出力0.5Wのスピーカーも内蔵する。 バッテリは交換可能なリチウムイオンで、バッテリ駆動時間は連続2時間。USBケーブル接続で充電でき、付属アダプタでAC充電にも対応する。投射しながらの充電は行なえないが、バッテリは予備も含め、合計2個同梱される。三脚を接続するための変換ネジ(1/4-20UNC)や、ソフトなキャリングケースも付属。ストラップホールも備えている。
■ 小型ながら画質面でも健闘
電源を入れるとロゴが表示され、3~4秒で表示可能となる。操作は主に入力機器側から行なう。iPod touchの場合は、別売ケーブルの利用でビデオ再生/静止画スライドショーが行なえる。Safariなどその他のほとんどのアプリはiPod側の仕様でケーブルからは出力できなかったが、YouTubeの動画は表示できた。 プロジェクタで操作できるのは、2段階の輝度調整と、フォーカスの調整のみ。小型ながら、DLPの特徴である黒の沈みは良い。コントラストも良好で、発色を見ても肌色などがよく出ていた。解像度の低さは否めないが、コントラストの高さで映像としての見易さをカバーしようとしていることがよく分かる。
明るさとしては、部屋を暗くできる環境であれば、スタンダードでも十分に使える。明かりがついていても、高輝度であればそれなりに映像としては楽しめそうだ。なお、高輝度にすると明るさだけでなく色合いも若干変わり、全体の色温度がわずかに下がるように感じた。
投射する対象としてはプロジェクタ用スクリーン以外にも、壁や平らな面なども気軽に利用できることを特徴としている。シアタープロジェクタほどの画質を求める製品ではないので、例えばベッドなどに固定して天井に投射し、寝ながら楽しむなど、小型を活かした使い方が面白そうだ。これまでの小型プロジェクタでは、三脚で真上に投射するというのはバランスの点から難しかったが、軽量なPK101なら、手持ちのミニ三脚でも真上に投射できた。ただし、転倒には注意したいので、しっかり固定して設置することをお勧めする。 投射距離は前述の通り0.15m~2.63m。あまり離れると字幕などは多少見づらいが、コントラストが高いこともあり、映像としては小型プロジェクタながら健闘していると感じる。
ただし、フォーカス操作のダイヤルは可動範囲が小さく、操作感も軽い。ダイヤルを「回す」というより「指先でほんの少しずつ動かす」ような感覚で、慣れないうちは加減が難しかった。 音声は、左右がミックスされて、側面に備えたスピーカーから出力される。なお、本体でボリューム調整は行なえず、iPodのDockケーブルから音声を入力すると、やや大きめのボリュームで再生された。iPodからDock出力された音声は仕様上、iPod側からも調整できないので、iPod接続の場合はヘッドフォン出力端子から別のRCAケーブルで接続し、音量を調節できるようにしておくほうがいいだろう。
■ 自分なりの用途を見つけたくなる
小型筐体に収めたことで、発熱や騒音も気になるところだが、よほど本体に耳を近づけない限り騒音は気にならない。投射後は5分ほどで本体上面が熱くなるため、なるべく風通しの良い場所で使用する方がよさそうだ。側面のスピーカー部が排気口も兼ねていると見られ、設置時にはそれをふさがないように注意したい。 入力がコンポジットのみということで、接続するには再生機器側に対応ケーブルが必要となるが、ポータブルDVDプレーヤーやビデオカメラの製品ならほとんどにコンポジットAVケーブルが付属しているので、気軽に大画面を楽しめそうだ。ただ、現状では純正のiPod用ケーブルが高い(5,800円)ことが難点ではある。なお、PSP用ケーブルは2,200円。iPod用の純正ケーブルはUSBも付いていて便利だが、テレビ接続を想定するためかケーブルが長いので、このプロジェクタにはシンプルなiPod用ケーブルが付属、または別売で利用できるとうれしい。 もちろん、コントラストの高さを活かして、ちょっとした打ち合わせなどのプレゼンテーションにも使える。その点ではアナログRGBがないことが残念ではあるが、最初の製品としては、多機能とせずにぎりぎりまで小型化を追求したことは理解できる。今後、製品のバリエーションとしてUSB端子やmicroSDカードスロットからファイルを再生できるといった機能が採用されたモデルが出ても面白いと思う。 プロジェクタがポケットで持ち運べるということは、ポータブルディスプレイの一つともいえる。例えば旅行先で撮ったビデオをすぐ見たり、スクリーンを置くスペースのない場所で壁に投射し大画面でPSPゲームや写真の鑑賞というように、使い方は他にもいろいろありそうだ。ここ最近、多くの製品が発売されているデジタルフォトフレームの大画面版という用途も考えられる。約5万円という価格は、「こういった使い方をしてみたい」というアイデア・発想ができるかどうかが分かれ目となりそうだ。
□OSのホームページ (2008年12月2日) [AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]
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