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株式会社ツタヤオンラインは、デジタルテレビ向けポータルサイト「アクトビラ」上で展開している「TSUTAYA TV」において、対応レコーダなどのHDDに映像をダウンロード可能とする新配信サービス「TSUTAYA TV on acTVila」を12月19日より開始する。
現在「アクトビラ ビデオ」ではストリーミング型のサービスを提供しているが、TSUTAYA TV on acTVilaでは、新たにコンテンツのダウンロードに対応。コンテンツは「デスパレートな妻たち」シーズン1~3や、「HEROES」シーズン1~2、「ノーカントリー」などテレビシリーズや映画が中心となる。 映像の解像度は1080iで、コーデックはMPEG-4 AVC/H.264、DRMにはMarlinを採用している。ビットレートは10~20MbpsのVBR。配信形式は、ダウンロードしたコンテンツを無期限に視聴可能で、Blu-ray Discなどへのダビングが可能な「セルスルー」と、48~72時間の視聴期限があり、ダビング非対応の「レンタル」の2方式が用意される。 サービス開始時には、パラマウント、ワーナー、NBCユニバーサル、ディズニーらが参加。12月中にハリウッドメジャー作品を中心にセルスルー217タイトル、レンタル196タイトルの計413タイトルの配信が予定されている(両販売方式の重複タイトル含む)。価格は、セルスルーの映画が平均3,675円、テレビシリーズが893円。レンタルは映画が平均735円、テレビシリーズが368円。 なお、日本の作品については、今後交渉を進めていくとしている。
TSUTAYA TVのトップページなどに大きな変更は無いが、新着情報ページで、ストリーミングと、ダウンロードレンタル、セルスルーの各販売方式から、番組を絞り込み検索できる。また、各コンテンツの購入確認ページでも販売形式を表示しており、3方式すべてを用意しているコンテンツもある。
セルスルーの購入番組は、HD解像度のまま、Blu-ray DiscやiVDR-Sなどへダビング可能となっている。HDコンテンツをリムーバブルメディアにそのまま書き出しできるVODサービスは、TSUTAYA TVが世界初となるという。なお、各コンテンツの購入画面前に、どのリムーバブルメディアに書き出し可能かを示すアイコンを表示する。 最大2回までのダビングが行なえ、2回のダビング後もHDD上の番組は消えずに残る。ダビング可能なメディアは、BD-R/RE(DL含む)とCPRM対応のDVD-R DL(AVCREC記録)、iVDR-S。対応機器として日立のWooo UT 770シリーズや、パナソニックのブルーレイDIGA「DMR-BW930/BW830/BW730」が発売されている。Wooo UT 770ではiVDR-Sに、ブルーレイDIGAではBD-R/REにダビングが可能。また、今春発売のレコーダやテレビなど、対応機器の拡大を見込んでいるという。
さらに、将来的にはSDメモリーカードや、メモリースティックPRO DUO、Embedded Memory with Playback and Recording Function(機器内蔵のフラッシュメモリなど)、DLNA(DTCP-IP)などへのダビングも可能となる。 HDでのダビングが可能なのはBD/DVD(AVCREC)とDLNA(DTCP-IP)、iVDR-Sの4種類。また、機器次第となるが、SDHCメモリーカードへのSD解像度での書き出しにも対応できるという。 なお、SD解像度での書き出しの場合でも、ダビング回数1回とカウントされる。また、HD本編から機器でSD解像度にエンコードする方式のほか、SD解像度の番組を同時に配信する場合も用意しており、コンテンツによって扱いが異なるという。 ダウンロード/ダビングした番組には、メニューなどはなく、チャプタも付与されない。Marlinによる著作権保護が施されていることから、現時点では任意の箇所でチャプタを打つこともできない。ただし、各機器における早送り/戻しなどのトリックプレイは可能となっている。 ダビングしたBD-R/REやiVDR-Sは、それぞれの記録規格で記録しており、「基本的に各フォーマットに対応していれば、ほかのプレーヤー機器でも再生できる」としている。ツタヤオンラインでは動作検証を進めた上で、その結果などを告知していく予定という。
■ 独自システムを構築し「Tポイント」対応
TSUTAYA TV on acTVilaのダウンロード配信サービスは、アクトビラがストリーミング用の配信システムを提供しているほか、ダウンロード用の配信規格をツタヤオンラインにライセンス提供している。しかし、課金プラットフォームやダウンロード用配信サーバーなどは、ツタヤオンラインが構築している。 そのため、課金もアクトビラではく、TSUTAYA独自のものを利用する。独自の課金システムを導入することで、TSUTAYAグループ共通のポイントサービス「Tポイント」の付与や利用も可能となっている。
株式会社ツタヤオンライン TSUTAYA TV事業部の渡邊健COOは、「TSUTAYA TV on acTVila」の目標について、「3,118万人というTSUTAYA会員に向け、HD映像やBlu-ray Discのすばらしさを伝える」とアピール。店舗における販売/レンタルだけでなく、DISCASによるネットレンタル、TSUTAYA Onlineによるネット販売、TSUTAYA TVで6月にスタートしたストリーミングなどに、今回のダウンロードを追加。すべてのチャンネルでHD映像を訴求していくという。 “画質”については、「Blu-ray Discに勝るものはない」とし、BDを積極的に販売する。その一方で、顧客により多くの選択肢を提供するため、ストリーミングやデジタル放送より高画質な配信方式として、ダウンロードサービスを定義。VBRで平均で10Mbps、最高で20Mbpsという画質のよさと利便性を訴えていくとする。
セルスルーにおけるダビングの実現は、「ハリウッドとの交渉の結果」で、2回というダビングが認められたのも、「TSUTAYAでのBlu-rayの販売実績が信頼されたため」とする。また、ストリーム配信の場合は「パッケージ発売の90日後」というハリウッドのルールがあるが、セルスルーの場合はパッケージと同時に配信が可能となるなど、販売スケジュールの面でも利点があるとする。 なお、映像は1080iのMPEG-4 AVC/H.264だが、音声はコンテンツにより5.1chと2chが混在している。「(コンテンツホルダから)お預かりする形式に依存する。マスターとして「メザニンファイル」(中間ファイル)で預かる場合と「HDCAM-SR(5.1ch)」、「HDCAM(2ch)」の場合がある。そのマスターに依存するため」としている。
TSUTAYA TVのターゲットユーザーは、40代が中心で、男性が86%と非常に多い。現在のTSUTAYA TVでは30~40代が約7割を占めているが、今後普及するにつれ、徐々に男女比も半々に近づいていくと予想しているという。今後の会員獲得については、まずは「5万人の利用者獲得を目指している。そのためには機器が対応していなければならない」とし、機器メーカーへの対応を呼びかけていく。具体的には2009年春/夏モデルのレコーダでの対応が計画されているという。 アクトビラ代表取締役副社長の久松龍一郎氏は、サービスの現状を紹介。「2007年2月にスタートし、秋にビデオ配信、そしてダウンロードを今回立ち上げることができた。これで当初より予定していたアクトビラの“基本機能”が整ったことになる。これにより、今後は対応テレビをどんどんメーカーさんに出してもらい、コンテンツもどんどん増やして成長期を迎えたい」と語った。
□TSUTAYA TVのホームページ ( 2008年12月10日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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