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ソニーは、2月20日より発売する液晶テレビ「BRAVIA V5/J5シリーズ」の説明会を開催した。会場は、東京都世田谷区のIID世田谷ものづくり学校で、BRAVIA V5、J5の特徴である省エネ性能や、環境負荷の低さなどをデモを交えてアピールした。
■ パネル部材での低消費電力化の取り組み BRAVIA V5/J5の主な仕様は既報のとおりで、いずれも消費電力や年間消費電力量の低減を図っている点が最大の特徴。 46/40型フルHDパネルを採用し、倍速駆動技術「モーションフロー」を搭載するBRAVIA V5シリーズでも、省エネ達成率が46型で225%、40型で218%を実現。年間消費電力量は46型が157kWh/年、40型が138kWh/年を達成し、同社従来モデル比で約4割の消費電力削減が図られている。
BRAVIA V5の消費電力削減の最大のポイントは、テレビ用のバックライトとして世界で初めて、熱陰極管(Hot Cathode Fluorescent Lamp/HCFL)を採用したこと。 HCFLは、通常の液晶テレビで採用している冷陰極管(CCFL)に比べ、発光効率が高いが、小型化が難しいという問題を抱えていた。そこでソニーは、トリニトロンの技術を応用し、2重らせん構造のフィラメントを新開発。外径約4mmと細径を実現したことで、テレビでのHCFL採用が可能となった。寿命についてもCCFLと同等のレベルを達成しているとする。 加えて、透過率の高い新光学シートを採用。特に、拡散板とカラーフィルターに改良を加えており、透過する光の効率が向上。新バックライトシステムにあわせて、チューニングすることで、大幅な消費電力削減が実現できたという。 HCFLは、新開発の部材ということもあり、1本あたりのコストは増える。一方で、発光効率を向上しているため、BRAVIA V5では従来モデルより本数をほぼ半分に削減できたとする。
また、19/22/26/32型のBRAVIA J5シリーズも、消費電力の削減に注力。26/32型では、高発光効率のCCFL管や透過率の高い新光学シートの導入により、従来モデルと同等の輝度を維持しながら大幅な低消費電力化を実現したという「エコパネル」を採用している。
■ 待機時消費電力0Wの「省エネスイッチ」。画質モード設定もアピール
パネルやバックライトなど、基本部材の改良に加えて、BRAVIA V5では「人感センサー」や「省エネスイッチ」も搭載。消費電力削減を図っている。 テレビの『省エネ術』として、画質モード設定、明るさセンサー活用、人感センサー、省エネスイッチの4項目を挙げて説明。前2つは、BRAVIAに限定したものではないが、BRAVIAの新機能とともに、消費者に積極的にアピールしていく。 まずは、どのテレビにも搭載されている「画質モード」について、デモを交えて説明。輝度最大の「ダイナミック」や標準画質の「スタンダード」などが用意されているが、標準モードを利用するだけで消費電力が削減できるなど、利用方法を解説した。 46型の「KDL-46V5」を、ダイナミックモードで視聴すると、消費電力は約136W。これをスタンダードに落とすと約100W、さらに「シネマ」にすると、90W台にまで消費電力を削減できることを、計測器を用いて例示。 店頭展示では輝度を最高に高めた「ダイナミック」などのモードで利用される場合が多いが、BRAVIA V5では初期設定時にチャンネルの地域設定などとともに画質モードを選択できるようにし、まずはスタンダードで利用するように呼びかけていくという。また、取扱説明書でも大きく記載。現在は、利用者にあまり意識されていないという、画質モードの設定が、電気代の削減にも寄与することを訴えていくという。
画質モードとともに、明るさセンサーについても、消費者にその存在をアピールしていく方針。初期状態ではOFFになっているが、なるべくONで利用するように呼びかけていく。 また、こうした省エネ関連機能をBRAVIAのXMB(クロスメディアバー)上に統合。人感センサーや、明るさセンサー、消費電力などの設定を一括して行なえるようにするなど、省エネ機能を伝えるための取り組みも行なっている。
BRAVIA V5の新機能として搭載したのが、人感センサー。BRAVIAの正面に赤外線センサーを内蔵し、左右で約80度、上下30度で3~5m内の人の動きを検出、一定時間動きが無い場合は画面を消画するという機能だ。消画への移行時間は、5/30/60分と7秒(お試し用)と、オフが選択できる。初期設定は30分。 消画した場合も音声は出力され続けるので、キッチンで料理をしているが、音は聴いていたいという場合にも利用できる。消画すると消費電力はKDL-46V5でほぼ半分の60W程度にまで削減できる。
さらに、J5では「省エネスイッチ」も搭載する。これは待機時の消費電力をほぼゼロにするためのスイッチで、通常は主電源を切にしたスタンバイ時で0.12W、電源OFFでACプラグを挿した状態では約0.06Wの待機電力が必要となるが、省エネスイッチで電源を切れば、ACプラグを抜くことなく、ほぼ0Wまで待機電力を削減できる。徹底的に消費電力を削減したい、という人に、電源ケーブルを抜くより手軽に消費電力削減が行なえる手段として提案している。 なお、BRAVIA J5には省エネスイッチだけでなく、通常の主電源ボタンも備えている。省エネスイッチを使えば、電源ケーブルを抜いたのとほぼ同程度に消費電力が抑えられ一方で、全てのシステムが停止してしまう。例えば、放送波ダウンロードを行ない、システムを更新する際などは、システムを待機状態にしておく必要があるので、主電源でオフにしておく必要がある。また、時刻情報の取得も待機時に放送波を介して実行しているため、省エネスイッチで電源を切った場合、待機中の自動取得はできない。しかし、通常のテレビ利用においては、省エネスイッチを電源ON/OFFに使っても問題はないようにしている、という。
■ 早く買い替えないと「もったいない」
デザイン面でも工夫を施しており、V5では浮遊感の演出にこだわり、ブラックとホワイトの2色を用意。J5シリーズでは、鉱物をイメージし、宝石をカットしたようなデザインを採用。アンバーブラウン、サファイヤブルー、クリスタルブラック、セラミックホワイトの全4色のカラーを揃えている。また、BRAVIAとしてはじめてホワイトのボディカラーを採用したのも、インテリア性や“エコ”を意識してのことという。 ソニーマーケティング株式会社 ディスプレイMK部の粂川滋統括部長は、「新商品の最大の特徴は“エコ”。従来より再生プラスチックの利用など、環境に配慮した製品作りに取り組んできたが、今回は省電力に注力した」と切り出し、新BRAVIAで省電力化に取り組んだ理由を説明した。
市場環境については、「昨年末より世界同時不況となり、懸念材料はあるが、国内については2011年のアナログ停波が控えており、堅調に推移すると期待している。市場規模としては、2011年まで1,000万台市場が続くと考えている」と言及した。 また、'90年代から2000年にかけてブラウン管テレビを購入した人による買い替え需要と、薄型テレビからの買い増し需要の双方が2011年に増えると予測。そうした中で多様な商品価値が求められるとして、「従来より提案してきたAV製品にこだわる層、画質や4倍速などにこだわる層だけでなく、エアコンや冷蔵庫などで先に注目されていた低消費電力にこだわる方が増えてくると考えている。省エネニーズは拡大しており、春に向け、2シリーズ、6機種を投入する」と新BRAVIAを紹介した。
「テレビは家庭内の消費電力の約10%を利用している」というエネルギー庁の調査を例に引き、単に“省エネ”をアピールするだけでなく、省エネによってもたらされる経済性の高さについても訴えていく方針を解説。2000年発売の36型ブラウン管テレビ「KD-36HD700」を40型の新BRAVIA「KDL-40V5」に買い換えると、年間で約4,796円、2011年のアナログ停波までの計算では約12,000円が節約できるなど、具体的な事例を挙げて、ランニングコストの安さも積極的に訴求していく。 そのために、「2011年でアナログ放送終了。早くブラビアに買い替えないともったいない!」と宣伝キーワードを設定。マーケティング活動には引き続き矢沢永吉さんを起用し、経済性を前面に早期の買い替えを促していく。
□ソニーのホームページ ( 2009年1月20日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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