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ダイヤを超える硬度の振動板を持つイヤフォン、AROMAの12ドライバモデルも

 イヤフォン、ヘッドフォン関連製品の試聴ができるイベント「ポタフェス2016 東京」が16日、東京・秋葉原のベルサール秋葉原で開幕した。期間は16日、17日の2日間で、入場は無料。ここではミックスウェーブやZERO AUDIOなどのイヤフォン新製品を中心にレポートする。

ミックスウェーブ

 ミックスウェーブのブースでは、Beat Audioのイヤフォンケーブルの新モデル「Signal 8-Wired」を出展。ポタフェスの期間中、限定本数を販売するもので、売り切れ時点で販売終了となる。イヤフォン側の端子は、MMCX、カスタムイヤフォン向けの2ピン、FitEar向け、Westone向けのMMCXを用意する。入力端子はステレオミニ3極、2.5mm 4極、ステレオミニ4極から選択可能。

 導体を8本使った豪華なケーブルで、メーカー本国でも販売しておらず、今回の生産が世界初。実売は7万円前後。「導体断面積を増やすことで伝導性が増加し、特に低域の再現性がアップする」という。ただ、全てのケーブルで良い効果があるわけではなく、SIGNALではとても良い効果が得られたため、開発された。しかし、8本仕様のモデルが、今後も製品ラインナップとして加えられるかはまだ未定だという。

「Signal 8-Wired」

 同じく、Beat Audioが開発しているケーブル「Emerald(エメラルド)」の最終バージョンも展示された。ブラックの被覆が採用されたが、ケーブルの途中に緑のアクセントを採用。入力プラグはBeat Audioお馴染みのシルバーではなく、色味を考慮してブラックが初めて採用された。

 ユニークなのは導体で、通常のケーブルは銅の上に銀をコーティングしたり、合金として混ぜ合わせるような使い方だが、Emeraldでは銅や銀を薄くプレスし、重ね合わせるようにして導体を作っている。

Beat Audioの「Emerald」

 Cypher Labsからは「Austru IEM」というイヤフォンが参考展示。10mm径のダイナミック型ユニットと、BA×3基を搭載したハイブリッド型。大きな特徴は、低域のダイナミック型ユニット向けのロールオフスイッチを備え、低音をユーザーが調整できる事。

Cypher Labs「Austru IEM」
低域のロールオフスイッチを備えている

 また、中国のカスタムイヤフォンメーカーの大手で、ミックスウェーブが国内正規総輸入代理店として取り扱っているqdcのイヤフォンも展示。8基のBAを搭載した「8CS」などが体験できる。今後もラインナップは拡充予定で、ユニバーサルタイプの4ドライバ、3ドライバのモデルも取り扱い予定。

 さらに、2ドライバモデルも扱う予定だが、同モデルは日本のミックスウェーブからの意見も反映させ、より日本のユーザーにマッチしたモデルとして開発が進められているという。価格は未定だが、6万円あたりになりそうだ。

qdcの「8CS」

タイムロード

 タイムロードのブースでは、ULTRASONEの限定ヘッドフォン「Tribute 7」(実売38万円)と、タイムロードが開発した「Tribute 7」専用の2.5mmバランスケーブル「Tri7-BLS」を紹介している。ケーブルは7月16日発売で、価格は36,000円。限定数は100個(予定)。

ブースでは、ウルトラゾーンイメージガールのニューフェイスがお出迎え
ULTRASONEの限定ヘッドフォン「Tribute 7」
写真は試作品で、実際の製品とは異なる

 ヘッドフォン側の2.5mmプラグは、、Astell&Kernの4極プラグ「AK-2.5MM-PLUG」を採用。ピンアサインもAstell&Kern AKシリーズに準拠している。「Tribute 7」の発表時から、バランスケーブルについての問い合わせがあり、そうしたニーズに応える周辺機器として開発したという。

クラリオン

 クラリオンは、デジタル信号処理技術のDnoteを用いてデジタルスピーカーを手がけているが、その技術をヘッドフォンに用いた製品を開発している。これまでも様々なイベントに試作機を展示。来場者からの意見を反映させ、完成度を高めている。

 今回の試作機では、装着感などを改善。より製品に近づいたデザインとサウンドが確認できるようになっている。

フルデジタルスピーカーを使った車載機器のデモも

オーディオテクニカ

 オーディオテクニカブースの注目は、従来の“CKRシリーズ”から、“原音再生”、“高解像度”、“高レスポンス”をコンセプトとした「Sound Reality series」へと生まれ変わった3機種だ。

 2基のダイナミック型ドライバを対向配置した「ATH-CKR100」(実売4万円前後)、「ATH-CKR90」(同2万円前後)、ダイナミック型ドライバ1基の「ATH-CKR70」(同1万円前後)で、全モデルハイレゾ対応となっている。

ATH-CKR100

ZERO AUDIO

 協和ハーモネットのブースでは、ZERO AUDIOブランドの新製品として、7月3日開催の「ポタフェス in 大阪」で初披露したモデルを、秋葉原でも展示する。

WHITE TENORE ZH-DX201-WT

 9月中旬に発売予定の「ZERO BASS」(ゼロベース)は、「ベースサウンドが特長のカジュアルなイヤフォン」と位置付けられており、いずれのモデルもダイナミック型ユニットを採用。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は「ZB-01」と「ZB-02」が各3,500円前後、ハイレゾ対応の「ZB-03」が5,000円前後。

左から「ZB-01」、「ZB-02」、「ZB-03」

 CARBO(カルボ)シリーズにも新製品を投入。シリーズ初となるハイレゾ対応モデル「CARBO MEZZO(カルボ メッツォ) ZH-DX220-CM」を9月中旬に、筐体に新素材FRPとホワイトカラーを採用した「WHITE TENORE(ホワイト テノーレ) ZH-DX201-WT」を8月中旬に発売する。価格はオープン。店頭予想価格は、CARBO MEZZOが6,500円前後、WHITE TENOREが5,000円前後。

手前がCARBO MEZZO ZH-DX220-CM

マクセル

 日立マクセルのブースでは、8月25日発売予定のハイレゾ対応イヤフォン「Graphene(グラフェン)」2モデルを展示している。

 名前の通り、ダイヤモンド以上の硬度を持つというグラフェンコートの振動板をダイナミック型ユニットに採用しているのが特徴。口径は10mm。振動板の分割振動を抑制し、ひずみの少ないクリアな再生音を実現するという。

 モデル名と想定売価は、ステンレス合金×高剛性ABS樹脂製筐体の「MXH-GD200」が11,800円前後、アルミ合金×樹脂の「MXH-GD100」が8,980円前後。カラーはGD200がシルバーのみ。GD100はブラックとホワイトを用意する。

ステンレス合金×高剛性ABS樹脂製筐体の「MXH-GD200」

Noble Audio初の独自9ドライバ、ユニバーサルイヤフォン

 宮地商会M.I.D.のブースでは、Noble Audioのイヤフォン新モデルを紹介。BAを9基搭載した、ユニバーサルタイプの最上位「Katana Universal」。価格は22万6,800円(税込)で、8月発売予定。

BAを9基搭載した、ユニバーサルタイプの最上位「Katana Universal」

 搭載しているBAは、独自の「NOBLE Drivers」。ハウジングの素材には、マシニングカットされたアルミニウムを採用し、日本刀を思わせる硬質かつ清廉なイメージに仕上げている。組み立てとマッチングはハンドメイドだという。

AROMA

 Top Wing Cybersound Groupのブースでは、発売されたばかりのAROMAのイヤフォン「Witch Girl Pro」、「Witch Girl S」を紹介すると共に、未発表の最上位モデル「Witch Girl 12」を参考展示。DAC内蔵ポータブルアンプの「Nebula N10」も展示している。

「Witch Girl 12」

 名前の通り、「Witch Girl 12」は片側に12基のBAドライバを内蔵する。構成は、低域×4、中域×4、高域×2、超高域×2。小型のBAを高精度に配置・搭載して作られており、12ドライバながらあまりハウジングが大きくないのが特徴。「ハンドメイドであるため、あまり数が作れない」という。具体的な発売日や価格は未定だ。

DAC内蔵ポータブルアンプの「Nebula N10」

 DAC内蔵ポータブルアンプの「Nebula N10」は、DSD 11.2MHzなどのネイティブ再生が可能。AROMAのアンプはドライブ力の高さを特徴としたものが多いが、「Nebula N10」はどちらかと言えばイヤフォンとの組み合わせを軸に開発されているモデルになるという。外観はシルバーだがこれは試作機で、実際の製品では大幅にデザインが変わるという。

AAW

 シンガポールのブランドAAWは、価格を抑えたカスタムイヤフォンを展開して人気だが、ユニバーサルモデルを新たに展開する。

 「Nebula One Japan Special Edition」(10,800円)は、独自の10mm径チタンコート振動板と、ネオジウムマグネットドライバを搭載。日本向けに特別なチューニングを施しているという。

 「Nebula 2」(16,200円)は、ダイナミック型とBAのハイブリッドで、ハウジングはセミオープン。既に発売が開始されており、1階の物販ブースで購入できる。

「Nebula One Japan Special Edition」と「Nebula 2」

BLUE EVER BLUE

 HDSS技術で知られるBLUE EVER BLUEは、2つの新モデルを参考展示している。「Model 1200EX」は、昨年末に発売した「Model 1200」のスペシャルバージョンで、ボーカル域の存在感を増すチューニングを施したという機種。9月上旬ころの発売イメージで、価格は13,000円前後の見込み。

 「Model 2000」は、Blue Ever Blueで初のマルチドライバ搭載モデル、かつリケーブルにも対応するというモデル。価格は15,000円程度のイメージ。なお、「Model 2000」にも、チューニングの異なる「Model 2000EX」を開発する計画もあるという。

Model 1200EX
Model 2000

EARNiNE

 EARNiNEは、BAドライバを1から自社開発しているという新たなイヤフォンブランドで、製品化を予定している「EN1」、「EN2」という2モデルを参考展示している。前者はBA×1基のフルレンジで樹脂製のハウジングを採用。後者は2基の2ウェイタイプ(フルレンジ×1、低域×1)で、メタルハウジングにヘアライン仕上げ。ユーザーからの意見を取り入れながら、完成度を高めているという。

EARNiNEの試作イヤフォン
EN2