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AbemaTVの週間アクティブユーザーは244万人。1,000万の「マスメディア」を目指す
2016年7月22日 12:21
サイバーエージェントは21日、2016年度第3四半期決算発表。その中で、テレビ朝日との合弁会社で展開している映像配信サービス「AbemaTV」の状況を報告した。アプリダウンロード数500万件突破は発表済みだが、週間アクティブユーザー数(WAU)が244万件と高いアクティブ率を誇ることや、「マスメディア」を目指し、しばらくは収益度外視で投資を行なっていくことを強調した。
AbemaTVは、自社制作・調達コンテンツを中心とした「インターネットテレビ局」。ニュースやバラエティなど約30のオリジナルレギュラー生放送番組をはじめ、音楽やスポーツ、アニメなどの全25チャンネルを、24時間無料でインターネット配信している。基本的には広告付きの無料放送という民放テレビと同じビジネスモデルだが、有料の見逃し配信サービスも用意する。
4月11日の本開局から3カ月間で、アプリは500万ダウンロードを突破。今回の決算では、7月11日週の週間のアクティブユーザー数が244万人と、開始時(4月11日週)の118万人から2倍以上に伸長。サイバーエージェントの藤田晋社長は、「大ヒットと言っていい伸び方。テレビCMだけでなく、口コミでしっかり伸びており、アプリの評価で伸びている。フロックではない」と語った。
さらに、7/11週の翌週に、「1日に5億円」をかけて1,000万部の新聞折込広告とテレビCMを大々的に展開した結果、「2~3割ベースアップした。土曜日にガーンとあがり、日曜日にそれが下がらずに、月曜日もっと伸びた。平日の水曜日まであまり落ちておらず、この次の週は280万ぐらい行きそう。(WAU)300万は時間の問題」と言及。また、デイリーのアクティブユーザー(DAU)はWAUの半分弱程度という。
「AbemaTVはマスメディアを目指す」と宣言している藤田社長だが、『マスメディア』とするにはだいたいWAUが1,000万人、DAUが300~500万人というイメージで、それぐらいになったら広告を真剣に売って、収支を合わせていく。その土台はできているので、しっかり運用していく」と語った。
人気番組はロックフェス(TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL)やフリースタイルダンジョン特別編などで、テレビ朝日と連携したコンテンツが人気」という。利用者の構成は、18-34歳が60%以上を占めて、若年層の利用が増加している。「開始直後は30-40代男性が多く、我々が作っているということもあるし、釣り、麻雀など揃えていたからそうなってしまった。5-6月では当初の目論見通りに10~20代が増えて、狙っていたF1層(18-34歳)で6割強になった。『テレビを見なくなった若い層を取り込みたい』という当初の目論見は達成できた。テレビと真逆の新しいメディアとして、テレビ業界と協力していける」とした。
課題として挙げるのは女性比率。28%と少なく、「当然50:50に持って行きたい」とする。そのために、GTOやチームバチスタの栄光などのドラマを強化。ゴシップガールやHEROSなどの海外ドラマを増やしているのも、女性ユーザー拡大のためという。チャンネル数は現在25だが、「30ぐらいまでは増やしてもいいと思っている」とした。また夏休みの学生向けのプロモーションなども行なっている。
7月からは広告販売も本格化。AbemaTVの広告の強みとしてアピールした点が、CMを最後まで再生する「完全視聴率」が高いことで、「8割を超えていることが、広告主からも注目されている」という。広告商品は現時点ではスポット、オリジナルスポットだが、タイアップやインフォマーシャル、番組協賛などの商品も展開予定。
また、広告主は「ほとんどナショナルクライアント(全国規模でブランド展開している大手企業等)。テレビ局が入っているだけに、テレビで見るようなCMが多い」とした。広告販売単価は、1社あたり500~1,000万円とのこと。
今後の展開としては、まず『マスメディア』として、早期のWAU 1,000万人達成を目指す。「現段階では、収支の均衡はさらさら頭にない。どこかで黒字化ではなく、WAU、DAUが『マスメディア』と言えるまでは、とにかく投資を続ける。マスメディアになれば、広告販売の効果も良いのでビジネスモデルが成立する。いつ収益化するかは、今日は答えませんので、質疑応答で聞いても無駄」と、とにかくユーザー拡大とマスメディア化を目指す方針を明らかにした。
また、ロードマップ中では、月額課金の強化も予定。将来的には無料配信による広告収益が7割、有料課金が3割程度という事業イメージとする。また、生配信のFRESH! by AbemaTVにおいても、課金機能を提供開始したほか、8月末にも広告収益システム導入予定。
サイバーエージェントの2016年第3四半期の売上高は、前年比24.9%の764億円、営業利益は同33.2%増の83億円。うち広告事業は売上高418億円(前年比17.9%増)、営業利益は36億円(同25.7%増)、ゲーム事業は売上高306億円(同47.1%増)、営業利益が83億円(同2.3倍)。
AbemaTVやAmebaなどのメディア事業は、売上高が50億円(同9.4%減)、営業利益は31.1億円の赤字。既存事業は3億円の黒字だが、赤字は4月から6月のAbemaTVの先行投資34億円によるもの。先行投資の内訳は全体を10とすると制作関連費が6、広告宣伝費が3、その他が1という割合。第4四半期(7-9月)も同様になるという。
サイバーエージェントでは、ゲーム事業と広告事業が好調なうちにAbemaTVなどメディア事業に投資する方針で、「中長期的にはメディア企業として成長を遂げたい」(藤田社長)とした。