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新UI採用、広色域化したFinal Cut Pro X。新MacBook ProのTouch Bar連動

 アップルは28日、映像編集ソフトの「Final Cut Pro X」をアップデート。新機能「マグネティックタイムライン」を導入するなど、ユーザーインターフェイスを強化している。既存ユーザーは無償で最新の「Final Cut Pro 10.3」にアップデート可能。新規購入時の価格は34,800円。対応OSは、OS X 10.11.4以降。エンコーダの「Compressor」、モーショングラフィックス作成ソフト「Motion」も無償アップデートされており、新規購入は各6,000円。

Final Cut Pro X

 同社はMacBook Proの新モデルも発表。従来のファンクションキーがRetina品質のマルチタッチディスプレイになった「Touch Bar」を採用しており、Final Cut Pro Xも、この機能と連動した直感的な操作が可能になるなど、「5年前にFinal Cut Pro Xを完全に再設計して以来、最大のアップデート」としている。

新MacBook Proは「Touch Bar」を採用

Final Cut Pro 10.3

 新機能の「マグネティックタイムライン」により、オーディオクリップに、カスタマイズ可能な調整や、タイプまたはロール(ダイアログ、ミュージック、エフェクトなど)の色分けが可能となり、映像の状態を把握しやすくした。作成したロールには個別の色を設定できる。

 プロ向けビデオ編集ソフトでは初という、ドラッグだけでタイムラインの縦のレイアウトを瞬時に並べ替える機能や、編集中に特定のロールを設定したオーディオクリップをハイライト表示する機能も搭載

 MacBook Proの新機能「Touch Bar」と連動し、それぞれのタスクへダイナミックに適応して直感的な操作を実現。Final Cut Pro X使用中にTouch Barを使って編集ツールを瞬時に切り換えたり、音量調節や、トリミングや再生のコマンド呼び出しなどが行なえる。Touch Barに、タイムライン全体の概要を色分けしてインタラクティブに表示でき、タッチでプロジェクトを操作可能。

 インターフェイスの再設計により、レイアウトも合理化。MacBook Proの画面スペースを効率的に使えるようにしたという。また、コンテンツに集中できるという、ダークで平坦な画面デザインも採用。カスタマイズ可能になったワークスペースでは、素材の管理、編集、カラーグレーディングなどの異なるタスクに合わせてウィンドウを調整できる。各ウィンドウを複数のディスプレイに分けて配置することも可能。また、広色域のRec.2020カラースペースのビデオの読み込み、編集/書き出しも可能になった。

Final Cut Pro 10.3 のその他の主な機能

・ジャンプカットを滑らかにつなぐフロートランジション
・複数のクリップに対して特定のエフェクトを簡単に削除、再利用できる
パラメータ削除機能
・タイムコードオーバーレイエフェクトおよびジェネレータによりソース素材
のタイムコードを大きく表示しながら編集可能
・ProRes MXF、Panasonic V-Log、AVC-Intra(出力)に対応
・Thunderbolt 3ポート経由のダイレクトビデオ出力機能により、ケーブル1本
で外部ディスプレイに接続し、高画質のビデオモニタリング可能

Motion 5.3、Compressor 4.3

 Motion 5.3も新たなインターフェイスを採用し、広色域ワークフローに対応。3Dテキスト機能が強化され、リアルで滑らかな動きの3Dタイトルを作成できるようになった。新機能として、別々のオブジェクトをつないでアニメーションを作成できる。新MacBook ProのTouch Barにも対応し、他のツールへアクセスできる。

 Compressor 4.3は、Final Cut Pro X や Motionとマッチするダークなデザインに一新。iTunes Store Package作成機能が強化され、パッケージのブラウズ、検証、圧縮が簡単になり、iTunes Storeへ配信しやすくした。広色域にも対応。Touch Bar対応により、バッチ処理の設定や、マーカーの追加などが簡単に行なえるようになった。

MacBook Pro

 RetinaクオリティのMulti-Touchディスプレイを搭載した新インターフェイスのTouch Barを搭載。システムやメール、Finder、カレンダー、Numbers、GarageBand、Final Cut Pro Xのほか、サードパーティのアプリケーションなどと連携する。Safari使用時はTouch Barでタブやお気に入りを表示できるほか、メッセージで絵文字にすばやくアクセスしたり、写真アプリで画像編集やビデオのプレビュー操作が簡単にできるようになった。

 価格は、13型のTouch Barなしモデルが148,800円から、Touch Bar付きは、13型が178,800円から、15型が238,800円からとなる。OSはmacOS Sierra。

 新しい筐体デザインと、オールメタルのユニボディ構造により、薄型化/軽量化と高い強度を実現。13型は薄さ14.9mmで前世代に比べて17%薄く、体積は23%小さくなった。重量は1.37kg。15型の薄さは15.5mmで、前世代比で14%薄く、体積は20%小さくなった。重量は1.83kgで“ほぼ半ポンド”軽くなった。

新MacBook Pro

 Retinaディスプレイは、薄さがMacBookと同じ0.88mmで、輝度は前世代に比べ67%明るい500nit。コントラストも67%向上。「広色域に対応した初めてのMacのノートブック向けディスプレイでもある」という。開口率向上や、可変リフレッシュレート、パワー効率の高いLEDなどの省電力技術により、ディスプレイは30%省エネとなった。

 15型は、前世代比で2.3倍高性能というRadeon Proディスクリートグラフィックスを搭載、13型は最大2倍高速のIntel Iris Graphicsを搭載している。Thunderbolt 3を全モデルに搭載し、「5Kディスプレイヘの接続とMacBook Proヘの電源供給を1本のケーブルで行なえる」としている。

 スピーカーの音質も強化し、2倍のダイナミックレンジを実現したほか、低音の改善を行なったという。電源ボタンには、iPhoneなどでも採用されている指紋認証のTouch IDを搭載した。