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ハリウッド実写版「攻殻機動隊」最新映像公開!「リメイクではなく、リイマジニング」
2016年11月14日 17:43
1995年のアニメ映画「GHOST IN THE SHELL攻殻機動隊」が、ハリウッドで実写映画化。そのアピールのため、主演のスカーレット・ヨハンソン、監督のルパート・サンダースが来日。荒巻役のビートたけしも登壇し、13日にエクスクルーシブ・イベントが開催。そのイベントレポートが届いた。
実写版のタイトルは「GHOST IN THE SHELL ゴースト・イン・ザ・シェル」。日本での公開は2017年4月の予定で、配給は東和ピクチャーズ。
舞台は未来の世界。世界でただ一人、脳以外は全身義体・世界最強“少佐”率いるエリート捜査組織公安9課。彼らは、ハンカ・ロボティックスの推し進めるサイバー・テクノロジーを狙う、サイバーテロ組織と対峙する。
捜査を進めるうちに、事件は少佐の脳にわずかに残された過去の記憶へとつながり、彼女の存在を揺るがす衝撃の展開へと発展する……。
主役の少佐をスカーレット・ヨハンソンが、公安9課の荒巻をビートたけしが演じる他、オウレイ博士役をジュリエット・ビノシュ、クゼ役をマイケル・ピット、バトーをピルー・アスベックが演じる。
「リメイクではなく、リイマジニング」
イベントは、押井守監督の「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」に続き、ハリウッド実写版でも音楽を担当する川井憲次氏によるライブアクトで開幕。攻殻機動隊の世界観ならではの近未来感と、和太鼓など日本の伝統楽器をハイブリッドさせたパフォーマンスに会場は熱狂の渦に包まれた。
登壇したルパート・サンダース監督は、来日した理由について、「(この一大シリーズを生み出した日本へのリスペクトを込めて)まず何よりこの作品が生まれた日本に来たかった。日本のクリエイターたちが始めたもので、私たちが次のチャプターを開く役目だから、彼らに誇りをもって自分たちの作品を紹介したいと思ったんだ。リメイクではなく、リイマジニングであり、川井憲次さんも来てくれているけど、(この作品を生み出した)最初のクリエイターたちと一緒に(このローンチイベントが)出来て私はとても嬉しいよ」と挨拶。
攻殻機動隊という作品が、自信にとってどんな作品かを問われると、「マンガ、映画、アニメといろいろあるけど、すべて盗んですべてをくっつけたよ(笑)。それはジョークだけど、これだけ世界中が支持しているものを自身で扱うことができるのは光栄なことなんだ。自分が気に入る作品になっているかどうかをしっかりチェックしたよ。もちろんすでに世界観が出来上がっているシリーズだから非常にプレッシャーもあった。公の目にさらされるしね。でも映画というものはそうやって愛されるものだから、できるだけプレッシャーは感じないようにしたけどね。この仕事ができることが光栄だし、(シリーズの)次のチャプターを自分で作れる、そして成功できる、と信じたよ」と語った。
また、今、攻殻機動隊が題材に選ばれた理由については、「'95年に押井さんの作品を観たんだけど、あまりにも先取りしていて、先見がある作品だった。現代テクノロジーが革新し、人類がどう取り入れてどう向き合うのか、何を見て何を買うかというすべてがテクノロジーに支配されこの社会に浸透している。まさに世界がテクノロジーを信じることが一つのテーマで、そこに希望があると私は思ったんだ。私は原作の大ファンだし、自分勝手かもしれないけど、自分が大好きでインスピレーションを受けたものを実写にして世界中の観客に届けたかった」と明かした。
そして、自身が手掛けた新作については、「この作品を観るときっと感情的になるよ。もちろんアクションもたくさんあるし、クレイジーで極端な近未来を描いているけど、一人のキャラクターが自身を発見する旅なんだ。人間の脳が組み込まれたアンドロイドである主人公が、自分が誰であるのかを探そうとしている。サイバーパンクの世界観はキープしつつ、主人公の内面を描いたよ。実写化にあたって、トーン、調子にこだわったんだ。マンガ、アニメを実写化するのはトリッキーで難しい部分があるものなんだけど、非常に原作に強さがあるし、キャスティング、ロケーション、デザインを一から作り上げて、違和感なく信じられるようにしたんだ」と、見どころを語った。
キャストについて
キャストについて監督は、「スカーレットは女優として20年の経験があるし、サイバーパンクの世界観にもぴったりな容姿を持ち合わせている。キャリアを見ても、彼女の姿勢とタフさは素晴らしいし、人間の思考を持つアンドロイドという、機械を通す細かいニュアンスもしっかり表現できる類まれな役者だ。自身が誰なのか、善なのか悪なのか、葛藤をきっちり体現してくれたよ。彼女が参加してくれることは非常に光栄で嬉しかったね」と説明。
荒巻を演じるビートたけしについては、「ビートたけしという俳優も、もともと知っていたんだ。『HANABI』『ソナチネ』『アウトレイジ』ももちろんね。私のフィルムメイカーとしての成長にそれらの作品は欠かせないし、この作品へのアプローチとして荒巻役には彼以外考えられなかった。世界中おいかけて、やっと捕まえることができたんだ(笑)。素晴らしい演技をしてくれて、この作品が日本から発信したということにおいても強みになってくれたね。二人をはじめスタッフみんなは、地球の反対の小さな島で絆を固くして戦った戦友さ。素晴らしい撮影が出来たよ。」と称賛。
続けて「いわゆる刑事ものとして話は進んでいくんだけど、自己の発見など感情的に厚い作品だ。映画体験として新鮮で目にしたことのないような未来像で、アニメやマンガの原作の世界観をさらに素晴らしいものにしようとしたんだ。」と、本作への自信を語った。
たけしが感じた“日本の映画現場との違い”とは?
本編中の出演シーンの一部がスクリーンに映し出されながら、荒巻役のビートたけしが登壇すると会場のボルテージは最高潮へ。たけしは「こんにちは。渡辺謙です(笑)。」とおどけて挨拶し、会場を沸かせた。
たけしは本作について、「いま考えると、昔はアニメというものをバカにしていました。AIの存在感が突出していく割に刀で切ったりとか不思議なことも多かったんですが、この作品はようやく今の時代らしく、違和感なくはまっていると思います。そういった作品に、自分が出られて嬉しいです。容赦なくピストルを打つけど、でも身内には親族のように接する、冷静な判断と冷徹な心を両方持っている男の役でした。英語は嫌だと言ったら日本語で良いとなり、セリフ覚えが悪いとか字が読めないとかいろいろと難癖をつけていて(笑)、しまいには、スカーレット・ヨハンソンが俺のカンペを持っていた(笑)。あれを写真に撮りたかった!」と驚きのエピソードを披露。
ハリウッドの現場について聞かれると、「自分も日本で監督をやるけれど、演出、カメラワーク、編集はすべてひとりでやっています。この作品はすべて担当を分けてやっていて、ひとつの撮影にカメラが4~5台あるし、廊下を歩くだけで38カットもあった。何故なのか監督に聞いたら、“こういう画がない!”という事態が無いようにしていると。スカーレット・ヨハンソンは、子供のころからずっと旬だし、テイクを重ねるたびに新鮮でプロの凄さをみましたし、自分がいかにいつもいい加減か、ハリウッドの主役とはこういうことかと感じました」と、日本の映画現場との違いを説明した。
2002年の「ロスト・イン・トランスレーション」撮影以来となる14年振りに来日したスカーレットは、「本当に日本が大好きよ。前回は17歳のときだけど、馴染みを感じられたわ」と日本への愛着を語る。
作品については、「もともとこのシリーズのことは知らなかったの。脚本とアニメの映像を見て、かなり恐ろしいものだと感じたけど、すごく哲学的だったから、実写化でどうなっていくのか、私がどう貢献できるかを考えると魅力を感じたわ。ルパート(監督)に見せてもらったビジュアルが見事だったのよ。少佐という役柄も、旅をしながらユニークな体験をして、今の自分のなかに影=GHOSTを感じている人だから、多くの側面を演じられることが魅力的だったの。演じるために肉体的にもたくさんトレーニングしたわ。マーベル作品をやっている経験も役に立ったし、武器の使い方も覚えたのよ」とコメント。
この日共に登壇している二人との仕事については、「ルパートとは初めからパートナーシップを重んじていたの。かなり大きな熱意が必要だと思ったし、それにはしっかり協力しなくてはいけないとわかっていたから。チームワークを強く意識したし、感じることができたわ。たけしさんとも仕事をすることになって、これだけ偉大な方と仕事をするときは一歩下がって彼の仕事を観察していたわ。日本語と英語という差があっても、演技というのは”人間”であることなの。内面が大事だし、感情のつながりなのよね。荒巻の存在感を感じたし、言葉は違っても多くの感情をわかちあって、同じ映画言語で、つまり同じ言葉で話している気持ちだったのよ。とても感動的な体験だったわ。言葉を超越するのは美しいことだし、多様な世界で活躍する方々が参加するこのような作品に携われる良さはそこにあると思うの」と語った。
撮影については、「本当に多くのことを学ぶことができたの。人間とかけ離れたものを演じて、人間らしさのニュアンスを出してはいけない難しい体験だったから。内面に複雑なものを抱えているのに外面ではそれを出せないんだから。今までにない特別な体験よね。こういったジャンルの役を、深く突き詰めていけたんじゃないかしら。誇りに思っている作品よ」と、想い入れの深い作品になった様子だった。
日本から世界に広まり、日本に戻ってくる“攻殻機動隊”
最後にサンダース監督は、「日本でも特別なものであるこの作品が、世界に広まって、また日本に戻ってくる。そこで観てもらえることを楽しみにしているよ。”攻殻機動隊”に敬意を表して大切にしていることを、誇りをもって日本の皆さんに紹介できるし、スクリーンで観たときには喜んでもらえるはずだ」と、完成度に自信を見せる。
たけしは、「映像がかなりすごいです。悔しいくらいにお金がかかってます(笑)。私の映画だと100本出来そうなくらいで、これこそがハリウッドということ。デザイナーをはじめスタッフの凄さに、改めて総合芸術だと感じましたし、参加できたことが本当に光栄です」とコメント。
スカーレットも世界中のファンに向けて、「特別な想いを込めた作品よ。非日常で独特な素晴らしい世界の設定で、視覚的にもアクション満載で圧倒されるし、生まれ変われる成長の物語でもあるの。私が主人公に強く共感を得たように、みなさんにも世界に入り込んで共感して欲しいと思っているわ。ワクワクだけではなく、振り返ってもらいながら、好奇心につなげられる、深く心に響くような作品よ」と呼びかけた。
イベントの最後には、世界初公開となる最新映像が上映。会場は拍手に包まれた。