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高音質レーベルMFSLがレコードプレーヤー発売。「質量に頼らない」振動抑制

 1957年に創業し、オリジナルマスターテープのリマスター作品を手掛けるモービル・フィデリティ・サウンド・ラボ(MFSL)は、アナログオーディオシステムを開発製造するMoFi ELECTRONICS(モーファイ・エレクトロニクス)を設立し、ハードウェア事業に参入。ターンテーブル2機種とカートリッジ3機種、フォノイコライザー2機種を発表した。国内販売はオーラデザインジャパンで、ターンテーブルの価格は、「Ultra Deck」が25万円、「Studio Deck」が15万円。

レコードプレーヤー「Ultra Deck」

 MoFi ELECTRONICSは、「信頼に足るマスターテープをリマスターして作られるアナログ・レコードの素晴らしさを伝えるために、オリジナルのアナログ・オーディオ・システムを開発製造する会社」として設立。全てMFSLで設計/製造されるMade in USAで、製品のサウンドチェックにはオリジナル・マスターテープ音源を使用する。

ターンテーブル

 「Ultra Deck」と「Studio Deck」は、ハイエンド・ターンテーブルのメーカーであるスパイラル・グルーブを主宰するアラン・パーキンス氏と2年に渡って開発した製品。

Studio Deck

 両機とも、ハイトルク・ACシンクロナス・モーターや、硬化スチール製の反転ベアリング、アラン・パーキンス氏の設計による10インチ・トーンアーム、振動除去技術で知られるHRS製のアイソレーション・フットを採用。「質量に頼らないクレバーな発想で効率的に外部振動からレコード盤を隔離している」という。

 上位モデルの「Ultra Deck」は、ベース部に振動抑制技術の「コンストレインド・レイヤー・ダンプ」を応用したアルミニウムとMDFによる積層構造を採用。楽器の素材にも使用されるデルリン製プラッターは、大きな慣性モーメントで回転の安定性を高めるために厚さを33mmに拡大。トーンアームはStudio Deckと共通だが、内部配線はカルダス製ケーブルにアップグレード。さらに、アームパイプの振動を低減するジョイント方式も採用する。ベース部はグロスブラック仕上げ。外形寸法は375×273×153mm(幅×奥行き×高さ)、重量は10.5kg。

 「Studio Deck」は、シンプルなデザインの中で、高い基本性能を保つことに成功したというレギュラー・バージョンモデル。ベースに使われるMDFはコロラド州、モーターはインディアナ州で製造。全てのパーツを国内調達することで高い品質管理を維持しているという。プラッター厚は19mm。外形寸法は375×273×137mm(幅×奥行き×高さ)、重量は8.7kg。

カートリッジ

 スパイラル・グルーブのアラン・パーキンス氏の協力のもと、3種類の高出力MMカートリッジを発売。価格は上位モデルから順に「Master Tracker」が98,000円、「Ultra Tracker」が70,000円、「Studio Tracker」が28,000円。

Master Tracker

 旋盤のステレオ・カッターヘッドのデザインを反映したV-Twin Dual Magnetジェネレーターは、チャンネルセパレーションとディテール再現のために2つのパワフルなロー・マス・マグネットをレコード溝と平行になるように位置合わせされている。次世代ダンピング素材によりレゾナンスを取り除き、スタイラス/カンチレバーとジェネレーターとの間の物理的なインターフェイスとして、スタイラスマウントプレートを設置するなどのチューニングを行なっている。

 トップエンドモデルのMaster Trackerは、スタイラスにマイクロリニア・ダイヤモンド(0.12mm)を装着。ボディはアルミ削り出し。周波数特性は20Hz~25kHz、チャンネルセパレーションは28dB。

 Ultra Trackerのボディもアルミ削り出し。針先はダイヤモンド(楕円)。周波数特性は20Hz~25kHz、チャンネルセパレーションは28dB。

Ultra Tracker

 ベーシックモデルのStudio Trackerは、インジェクション・モールドによるポリマー筐体を採用。針先は楕円。周波数特性は20Hz~20kHz、チャンネルセパレーションは27dB。

Studio Tracker

フォノイコライザ

 MFSLのマスタリングシステム「GAIN2」に多くのアイディアを提供したというEARのティム・デ・パラビッチーニ氏が手掛けており、「MFSLのマスタリングエンジニアが要求するワイドレンジで透明感ある音質を再現する」という。価格は、A級のヘッドフォンアンプを搭載した上位モデル「Ultra Phono」が70,000円、「Studio Phono」が35,000円。

Ultra Phono

 MM/MC対応で、負荷切り替え、サブソニックフィルター、モノラルモードに対応。Ultra PhonoはクラスA ヘッドフォンアンプを備え、ボリュームコントロール機能も搭載し、外形寸法は99×184×40mm(幅×奥行き×高さ)、重量は0.44kg。Studio Phonoは99×184×32mm(幅×奥行き×高さ)、0.4kg。

Studio Phono