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新macOS「High Sierra」はHEVCやVR対応でViveと連携。「最もパワフル」なiMac Proも

 米Appleは現地時間の5日、macOSの最新版「High Sierra」を発表。開発者向けプレビューの提供がスタートしており、今秋に一般ユーザーにも無償提供予定。映像のHEVC/H.265をサポートし、VRでコンテンツ制作にも対応。HTCのViveヘッドセットと接続が可能になり、UnityとEpicから、VR開発ツールもmacOS用に提供される。今年後半には、Final Cut Pro Xがプロ向けの360度動画の読み込み/編集/書き出しをサポート予定。iMac Proなどの新ハードウェアも発表されている。

macOSの最新版「High Sierra」のイメージ

 High Sierraは、OSレベルでHEVC/H.265をサポート。HEVCのストリーミング映像や4K動画を再生でき、MPEG-4 AVC/H.264と比べて最大40%ファイルサイズの小さな動画で、高品質な映像が楽しめるという。なお、4K HEVCの再生には、第6世代以降のIntel Coreプロセッサを搭載したMacが必要。

 新しいiMac/MacBook Proの高速化したハードウェアにより、「高速かつ高効率のHEVCエンコーディングと編集を実現する」という。

 よりパワフルなGPUを活用するため、グラフィックスAPIも「Metal 2」に進化。音声認識、自然言語処理、機械学習をサポートするほか、Thunderbolt 3と組み合わせる事で、例えばMacBookに外部接続したGPUが利用可能になる。それを利用するための「External Graphics Developer Kit」も開発者向けに紹介された。GPUユニットには、8GBのVRAMを搭載したAMDのRadeon RX 580が使われている。

 このMetal 2と新Macのハードウェアを活用し、High SierraはVRコンテンツ制作をサポート。3D、VRコンテンツをMac上で作れるようになる。「主要なVR企業がAppleと協力する」としており、今年後半にかけてVR対応を推進していくとう。

 その一例として、HTCのViveヘッドセットとの接続が可能になる。Valveは、Stream VRプラットフォームもmacOSのために最適化。UnityとEpicから、VR開発ツールもmacOS用に提供されるという。

HTCのViveヘッドセットとの接続が可能に

 今年後半にはさらに、Final Cut Pro Xも強化。プロ向け360度動画制作をサポートし、360度動画の読み込み、編集、書き出しが可能になる予定。

 ファイルシステムも「Apple File System」(APFS)へと刷新される。信頼性の高さを特長としており、ファイルやディレクトリのコピーなどの一般的な操作を高速化。停電やシステムクラッシュからデータを保護する機能も優れるという。ネイティブでファイルは暗号化され、セキュリティを保護。既存のHFSでフォーマットされたドライブ、データとの完全な読み書き互換性も維持されている。

 写真アプリも新しくなり、常に表示されるサイドバーを追加。アルバムや整理ツールが表示され、編集画面ではカラーやコントラストを微調整するためのカーブや、色の調整ツールを用意。「Live Photos」にユニークな効果をつけて加工したり、写真や動画をトピックに沿って整理可能。外部の編集プログラムとも連携でき、PhotoshopやPixelmatorなどを、写真アプリから直接立ち上げられる。

新しくなった写真アプリ

 ブラウザのSafariも刷新。すっきりと整頓されたフォーマットでWebの記事を開いたり、音声つきのビデオが自動再生されるページで、再生をブロックする「Autoplay Blocking」などを装備。ユーザのWeb上での行動を広告主が追跡するためのトラッキングデータを機械学習により識別し、取り除くAdvanced Tracking Preventionなども備えている。

 Siriも強化。「Apple Music」を使っている際は、ユーザの音楽の好みを学習。カスタムプレイリストを作ったり、音楽関係のトリビアに答える事もできる。

新ハードウェアも続々

 「これまでで最もパワフルなMac」として、「iMac Pro」が12月に発売予定。27型のRetina 5Kディスプレイを搭載し、最大18コアのXeonプロセッサ、最大22テラフロップスのグラフィックス処理が可能。スペースグレイの筐体を採用し、価格は4,999ドルからの予定。

スペースグレイの筐体を採用した「iMac Pro」

 iMac、MacBook、MacBook Proも刷新。より高速なプロセッサを搭載。iMacは、従来と比べ最大で3倍高速なグラフィックス性能を持ち、より高輝度なRetinaディスプレイも搭載。Retina 4Kディスプレイとディスクリートグラフィックスを搭載した142,800円の21.5型モデルも追加される。「High Sierraで、iMacはバーチャルリアリティコンテンツを制作するための優れたプラットフォームにもなる」という。

 MacBookには、より高速なSSDを搭載。13型のMacBook Proには、新たに142,800円のモデルが追加される。

iMac