ニュース
“極音”テレビを投入する新生オリオン、オーディオ技術投入した32/24型
2017年9月1日 12:00
オリオン電機は、老舗オーディオブランドで実績のあるエンジニアを結集し、開発した、音にこだわるテレビ“極音”(キワネ)シリーズを展開。第1弾製品として、32型の「RN-32SH10」と、24型「RN-24SH10」を10月に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は「RN-32SH10」が45,000円前後、「RN-24SH10」35,000円前後。メーカー保証は3年間。オーディオ周りの開発にはSOZOデザインが協力している。
独立構造のエンクロージャ、ユニットにもこだわり
オリオンは昨年10月に事業体制を再編、競争優位性のある商品の開発を行なうほか、受託生産事業拡大のために、タイの主力工場に積極的な設備投資を行なうなどしている。こうした取り組みを経て誕生した、新生オリオンの第一弾製品が“極音”シリーズとなる。
液晶テレビでは、大型モデルにおける高付加価値の1つとして音にこだわった製品が存在するが、小型のモデルでは高音質を訴求した製品は比較的少ない。そこで、「特に音質に対する不満が多い32型、24型に注目、オーディオ製品の開発技術を駆使してスピーカーユニット、キャビネット構造、アンプ回路などを一から見直し、クラス最高級の“音を極めた”、“極めた音色”の高音質テレビ」として“極音”シリーズを開発したという。
テレビの下部にスピーカーを搭載しているが、そのユニットとエンクロージャにこだわっている。エンクロージャはクラス最大級のサイズで、液晶パネル本体と独立した構造の新開発Crank Duct Bass-reflex構造を採用した。このエンクロージャには、音道が長く設けられている。キャビネットの素材は、ポリカーボネート入りの肉厚ABS樹脂で、高剛性化を図っている。
ユニットは正面に向けて配置。40×100mmサイズで、多くのユニットを試聴した上で採用を決定。クラス最大級という長方形大型マグネットを搭載しており、「安定して自然でふくよかな音声と、音楽番組のバスドラムスや映画の効果音などの迫力ある低音域をバランスよく再生する」という。
また、32型には35mm径バランスド・ドームツイータも追加。2ウェイシステムとなっている。なお、ツイータは外側に向かって約5度、角度をつけて取り付けられており、広がりのある再生ができるという。
どちらのモデルも、高出力アンプ回路に、高級オーディオに使われる高音質用フィルムコンデンサを採用。電源回路・アース回路も見直し、ニュース番組やドラマのセリフ、音楽番組の楽器の音などの明瞭感をアップさせたという。32型は、このクラスで最大級の出力となる10W×2chを実現した。24型は3W×2ch。
4種類の音声モードを用意。「おすすめ」モードは全プログラムに対して推奨されるもの、「ミュージック」は音楽番組を臨場感豊かに、「はっきり音声」ではニュース番組やドラマのセリフを聞き取りやすくする。さらに、ユーザーがイコライザを調整・設定できる「お好み設定」を用意する。
液晶パネルのフレームや、スピーカーのキャビネットはピアノブラック仕上げ。スピーカーの前にはサランネットが取り付けられており、取り外す事もできる。
映像にもこだわり
パネル解像度はどちらのモデルも1,366×788ドット。32型ではクラス最広域という、色域NTSC比約85%のLEDバックライトモジュールを自社開発して採用。より自然な色を実現したという。どちらのモデルも、ブルーライトを最大50%軽減する機能を備えている。
チューナは地上/BS/110度CSデジタルを、各2基搭載。外付けUSB HDDを接続する事で、番組録画にも対応。視聴中に、裏番組の録画もできる。
Netflixなど、ネットワーク配信サービスの受信機能は備えていないが、HDMIスティック型のメディアプレーヤーなどをHDMI入力に接続した際に利用できる、外部機器給電専用のUSB端子も搭載。録画用USB HDD接続用端子とは別に設けている。
入力端子はHDMI×2、D4×1、コンポジット×1、ミニ D-sub 15ピン×1、PC用音声入力×1を装備。出力は、光デジタル音声×1、ヘッドフォン×1。
自社開発による電源設計の最適化と高輝度LEDにより、低消費電力も実現。年間消費電力量は、32型が37kWh/年、24型が30kWh/年。消費電力は32型が55W、24型が41W。
スタンドを含む外形寸法は32型が73.5×18.8×52.4cm(幅×奥行き×高さ)、24型が55.2×18.8×41.5cm(同)。
音を聴いてみる
32型の音を実際に聴いてみた。他社の32型と比較すると、音のクオリティは桁違いに良い。
もともと、価格競争が激しい小型テレビでは、スピーカーはコストを削られる事が多く、映画などを見ても、低音が出ず、中高域だけが目立つ製品が多い。また、プラスチック筐体の響きが高域に乗り、カンカンとした、硬くて不明瞭な音にもなりがちだ。
しかし極音の32型は、低域がしっかりと沈み、“重い音”が出ている。左右の音の広がりも広大で、画面の範囲を大きく越え、テレビが置いてある側の壁全体から音が出ているのではと思うほど音場が広い。角度をつけたツイータ配置も効いているようだ。
音場の奥行きも深く、ニュースを読み上げるアナウンサーの音像も立体的だ。音像が薄く、カキワリを見ているような感覚はまったく無く、極音の32型では実在感があり、「やっぱり男性アナウンサーは、お腹からしっかり声を出しているんだな」と気付く。音場が立体的で、そこに明瞭に音像が定位するため、“言葉の1つ1つが聴き取りやすい”という利点も感じられた。
音楽番組でも効果はバツグンだ。バックバンドのドラムやベースの低音に、特に顕著な違いがある。スカスカした軽い音だと、“音楽をゆったり聴く”という気分にならないが、極音では、低音がしっかりと沈み、さらにドラムなどの音圧が豊かで、音がこちらに迫ってくるような迫力も感じられる。
また、音量を上げて、低音がパワフルになっても、スピーカーのキャビネットがテレビとは別構造になっているため、その振動がテレビ全体に伝わりにくく、余分な響きでサウンド全体のフォーカスが甘くなる事もない。
イメージとしては“テレビと別に、音の良いサウンドバーを買ってきて接続した後の音が、サウンドバーを買わずに実現できている”という印象。小型テレビは価格が重視される市場ではあるが、音質、そして自社開発バックライトで鮮やかな表示が可能な画質というクオリティを高めながら、価格も競争力のあるものに収め、他社との差別化を図る意欲作と言えるだろう。