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iOS 11提供開始。音楽、写真、AR、Siriなど多数の機能強化

 アップルは20日、最新のiOS「iOS 11」を提供開始した。写真やカメラ、音楽、Siriなど多くの機能強化が図られている。対応端末は、iPhone 5s/SEや、iPhone 6/6 Plus以降のiPhoneと、12.9インチiPad(第1/2世代)、10.5/9.7インチiPad Pro、iPad Air/Air 2、第5世代iPad、iPad mini 2/3/4、第6世代iPod touch。

iOS 11

 iPadにおけるマルチタスク操作やファイルアプリ対応、AR対応など多くの機能強化が行なわれるiOS 11。音楽関連では、オーディオフォーマットとして新たにFLACに対応。また、Apple Musicは、自分のプロフィールを持つことができ、友だちがシェアしたプレイリストや、よく聴いているアルバムとステーションをチェックできる。

 なお、iOS 11は64bitトApp用にパフォーマンスが最適化された。32bit Appの動作には、アプリ側のアップデートが必要になり、一部アプリが動かない可能性がある。

Apple Musicも強化

 写真も強化。ポートレートモードでは、光学式手ぶれ補正やTrue Toneフラッシュ、HDRが使えるようになる。ループ、バウンスの2つのエフェクトを利用し、シャッターの前後1.5秒の映像を記録する「Live Photos」用に繰り返し再生するビデオループを作成したり、長時間露光により時間と動きの表現などが可能。「写真」アプリは、メモリーのムービーが縦向き・横向きどちらの方向でも再生するように最適化。また、ペットや誕生日の写真など、多くのメモリーが自動的に作成されるようになる。

 カメラはQRコードの読み取りに対応。フレーム内のQRコードを自動検知してスキャン、関連するWebサイトやアプリが開ける。

 ARKitによる、拡張現実(AR)対応も特徴。iPhoneやiPadを使ってARアプリを体験可能となり、現実の風景に重ねた仮想コンテンツを通じたインタラクティブなゲームプレイやショッピング体験を実現するという。

AR対応がiOS 11の大きな特徴

 iPad対応を強化し、新しいDockでは、どの画面からでもお気に入りやよく使うアプリケーションや書類に素早くアクセス可能となる。Split Viewや新機能のSlide Overを使って、複数のアプリケーションを併用した作業をより簡単に行なえるようになる。画像やテキストなどのファイルは、マルチタッチを使ったドラッグ&ドロップも、より簡単にアプリケーション間で行なえるようになる。Apple PencilとiPad Proの一体化もさらに深まっているとしている。

iPad対応を強化

 また、新しい「ファイル」アプリケーションでは、ファイルがどこに置かれていても一元管理。例えばiPad上でも、iCloud Driveに加え、Box、Dropboxといった他社によるサービスを含むオンラインストレージ上にあっても、中心となる場所からアクセスして管理できるという。

 アプリストアの「App Store」は、iOS 11において再設計。アプリやゲームがこれまで以上に簡単に見つかるようにした。音声アシスタントの「Siri」は、翻訳機能を追加。さらに、表現力豊かになった新しい声や、先回りが効いたインテリジェントな機能などで強化を図っている。

App Storeを一新
Siriで翻訳

 新しい「AirPlay 2」にも対応。家中のオーディオシステムやスピーカーのコントロールが行なえ、リビングとキッチンで同時に同じ曲をかけたり、部屋ごとに音量を調整することなどが可能。

 自動車との連携も強化。運転に専念するための新しい方法として、運転中に「おやすみモード」を有効にできる。iPhoneが自動車の動きやBluetooth接続の状況から運転中であることを感知すると、自動的に通知を無音にして画面を暗くする。連絡先の「よく使う項目」に登録されている連絡先や、最近連絡した相手に、運転中で目的地に到着するまで応答できないことを伝えるメッセージを自動的に通知することも可能。また、iOS 11からは、走行中に次の曲がり角に備えられるようにするための車線案内や、注意喚起を促すために制限速度なども表示される。

運転時に邪魔をしないモードも用意

 主な更新内容は以下の通り。

iOS 11の更新内容

App Store

・素晴らしいAppやゲームをいつでも見つけやすいように、全面的に新しくデザインされたApp Store
・“Today”タブで、エディターチームによるストーリーや、ハウツーの記事などにより、新しいAppやゲームをより簡単に見つけることが可能
・“ゲーム”タブで、新しいゲームを探したり、ランキングによって今どれぐらい人気があるのかを知ることが可能
・専用の“App”タブで、おすすめ、ランキング、カテゴリの情報を見ることが可能
・“App”ページにはより多くのビデオプレビューおよび“エディターのおすすめ”バッジが追加され、より簡単にユーザ評価とレビューやApp内課金情報を知ることが可能

Siri

・より自然で表現力が豊かになった新しいSiriの声
・英語の単語や語句を中国語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語に翻訳可能(ベータ版)
・Safari、News、メール、メッセージの使用状況に基づいてSiriから提案をする機能
・“メモ” Appと連係して、To-Doリスト、メモ、リマインダーの作成が可能
・銀行取引用のAppと連係して、口座振替や残高処理が可能
・QRコードの表示が可能なAppと連係が可能
・ヒンディー語および上海語の音声入力を追加

カメラ

・“ポートレート”モードに、光学手ぶれ補正、HDR、True Toneフラッシュの対応を追加
・新しいHEIFおよびHEVCフォーマットにより、写真とビデオのファイルサイズをほぼ半分に削減
・より自然な肌のトーンになるように再設計された新しい9つのフィルタ
・QRコードを自動的に認識してスキャンすることが可能

写真

・Live Photosに“ループ”、“バウンス”、“長時間露光”のエフェクトを追加
・Live Photosで、音を消したり、トリミングしたり、キー写真を選んだりすることが可能
・“メモリームービー”はコンテンツを縦向きおよび横向きに自動的に適応
ペット、赤ちゃん、ウェディング、スポーツイベントなどの十数個以上の新しいメモリーが追加
・“ピープル”アルバムはより正確になり、またiCloudフォトライブラリによりデバイス間で常に同期させることが可能
・アニメーションGIFに対応

マップ

・主要な空港およびショッピングセンターの屋内地図に対応
・ターンバイターン経路で、車線案内および制限速度情報に対応
・ダブルタップおよびスワイプにより、片手でズームが可能
・デバイスを動かしてFlyoverを操作することが可能
・運転中の通知を停止
・運転中であることを認識して自動的に通知を停止し、iPhoneの画面を暗くして音が鳴らないようにする機能を追加
・運転中であることを、知らせたい連絡先にのみ自動的にiMessageで伝えることができる機能を追加

iPad用の新機能

・新しいDockは、よく使う項目や最近使った項目にどの画面からでもアクセス可能になり、現在使用中のAppの前面に表示することも可能
 Dockは自動的にサイズ変更し、よく使うAppをすべて追加することが可能
 最近使った項目およびContinuityのAppはDockの右側に表示
・拡張されたSlide OverとSplit View
 Dockから簡単にAppをSlide OverやSplit Viewに開くことが可能
 Slide OverとバックグラウンドAppの同時作動に対応
 Slide OverおよびSplit Viewに開いたAppを画面の左側に配置することが可能
・ドラッグ&ドロップ
 iPad上でテキスト、写真、ファイルをApp間で移動可能
 Multi-Touchで複数の項目を一度に移動可能
 スプリングローディングでコンテンツをApp間で移動可能
・マークアップ
 書類、PDF、Webページ、写真などの間でマークアップを使用可能
 インスタントマークアップ - Apple Pencilを注釈を入れたいところに置くだけで書き始めることが可能
 PDFを作成し、プリント可能なものすべてにマークアップすることが可能
・メモ
 Apple Pencilでロック画面をタップして素早く新規メモを作成可能
 Apple Pencilをメモの本文のどこかに置くだけでインライン描画を始めることが可能
 手書き文字の検索が可能(英語と中国語のみ)
 ドキュメントスキャナ機能は書類の傾きを自動補正し、イメージフィルタを使用して影を削除
 情報を整理して表示できるように表機能に対応
 重要なメモをリストの一番上にピンで固定することが可能
・ファイル
 ファイルをブラウズ、検索、整理するための新しい“ファイル”Appを追加
 iCloud Driveおよび他社製のクラウドストレージサービスと連係が可能
 “最近使った項目”タブで、Appやクラウドサービス間を通して最近使用したファイルを見ることが可能
 フォルダの作成や、名前、日時、サイズ、タグでファイルの並べ替えが可能

QuickType

・iPadで、キーを下にフリックして数字、記号、句読点を入力することが可能
・iPhoneで、片手用キーボードに対応
・アルメニア語、アゼルバイジャン語、ベラルーシ語、ジョージア語、アイルランド語、カンナダ語、マラヤーラム語、マオリ語、オリヤー語、スワヒリ語、ウェールズ語のキーボードを追加
・10キー拼音キーボードでの英語入力に対応
・日本語ローマ字キーボードでの英語入力に対応

HomeKit

・AirPlay 2スピーカー、スプリンクラー、蛇口を含む、新しいアクセサリタイプに対応
人の検知、時間、アクセサリに基づいた作動機能を拡張
・QRコードおよびタップしてアクセサリをペアリングする設定に対応

拡張現実(AR)

・App StoreのAppが使用可能なAR技術により、現実の風景上に仮想的なコンテンツを重ねて、インタラクティブなゲーム、夢中になるようなショッピング体験、工業デザインなどを開発可能

機械学習

・App StoreのAppが使用可能な機械学習技術により、高パフォーマンスおよびユーザのプライバシー保護のために、デバイス上で処理された機械学習データを用いたインテリジェント機能を提供することが可能

その他の機能および改善

・コントロールセンターのデザインが変わり、すべてのコントロールを1つのページに収めることが可能
・アクセシビリティ、アクセスガイド、拡大鏡、テキストサイズ、画面収録、Walletを含む、コントロールセンター用のカスタムコントロール
・Apple Musicで友達とミュージックを見つけられる。 プロフィールを作成して、友達とプレイリストやよく聴くミュージックを共有可能
・Apple Newsに、あなた向けにカスタマイズされたTop Stories、Siriからの提案、“Today”に表示される今日のベストビデオ、エディターが選んだ重要な記事が表示される新しい“Spotlight”タブなどの機能が追加
・“クイックスタート”の自動設定機能により、Apple IDを使用してiCloud、キーチェーン、iTunes、App Store、iMessage、FaceTimeにサインインが可能
・“クイックスタート”の自動設定機能により、言語、地域、ネットワーク、キーボード、利用頻度の高い場所、Siriへの話しかけ方、ホームおよびヘルスケアデータを含む、デバイス設定を復元可能
・Wi-Fiネットワークへのアクセスを簡単に共有可能
・ストレージ最適化の通知、および、“設定”で“写真”や“メッセージ”などAppの使用容量を減らすことが可能
・緊急SOS機能により、現在地の位置情報に基づいて救急サービスに通話し、また、緊急連絡先へ自動的に通知を送信、現在地の位置情報を共有、およびメディカルIDを表示することが可能
・FaceTimeで、相手のMacまたはiPhoneのカメラからLive Photosを撮影することが可能
・SpotlightおよびSafariで簡単にフライト状況を確認可能
・Safariで辞書引き、単位換算、計算に対応
・ロシア語-英語の二言語辞典を追加
・ポルトガル語-英語の二言語辞典を追加
・新しいアラビア語のシステムフォントに対応

アクセシビリティ

・VoiceOverがイメージの説明に対応
・VoiceOverがPDFの表とリストに対応
・“Siriにタイプ入力”が基本的な検索クエリーに対応
・ビデオの音声および点字キャプションに対応
・Dynamic Type機能により、テキストおよびAppのUIの文字サイズを大きくすることが可能
・“色を反転”を再設計し、メディアコンテンツの見やすさを改善
・“選択項目の読み上げ”および“画面の読み上げ”での強調表示色の改善
スイッチコントロールのタイプ入力で、単語全体を一度にスキャンおよびタイプ可能