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最上位RGBブラビアやWF-1000XM6にも採用。ソニーが活用するリニューアブルプラスチック
2026年7月10日 16:00
ソニーは7月10日、三菱商事など合計14社と共同で構築した、高機能製品に使用可能なリニューアブルプラスチックを製造するグローバルサプライチェーンに関する説明会を実施。このサプライチェーンを通じて製造したリニューアブルプラスチックを完全ワイヤレスイヤフォンやブラビア、9日に発表したモニターイヤフォン「IER-M500」に採用していることを紹介した。
そもそもリニューアブルプラスチックとは
リニューアブルプラスチックとは、石油ではなく、食用の廃油など再生可能な原料(バイオマス)から新品のプラスチックを製造するもの。ソニーでは使用済み水ボトルや光ディスクなど、廃プラスチックをリサイクル素材として活用した「SORPLAS(ソープラス)」なども使用しているが、こちらは一度使われたプラスチックを再利用するマテリアルリサイクルプラスチックとなる。
今回ソニーと三菱商事、東レなど14社が共同構築したのは、ソニーのオーディオ・ビジュアル製品(AV製品)などの高機能製品に使用できるリニューアブルプラスチックを製造するためのグローバルサプライチェーン。5つの国・地域に渡って構築されている。
14社という規模で出発原料からすべてのサプライチェーンを構築・可視化したこと、複数の精密パーツの組み合わせが必要で、品質要求も高いAV製品で採用したこと、そして実際に製品に導入したことが「世界初」だという。
このグローバルサプライチェーンを通じて製造するリニューアブルプラスチックにはマスバランス方式も採用している。
マスバランス方式は、原料から製品への流通・加工工程において、バイオ原料等の特定の特性を持った原料がそうでない原料と混合された場合に、その特性を持った原料の投入量に応じて製品の一部に対してその特性を割り当てる手法。
例えば石油由来の原料3トンと、バイオマス由来の原料1トンを混ぜて、合計4トンの混合製品を製造した場合、このうちバイオマス由来の原料量にあたる1トン分は「バイオマス特性比率100%」、残り3トン分は「バイオマス特性比率0%」として管理する手法となる。
ソニーは、「マスバランス方式でつくられたリニューアブルプラスチックは従来の設備・工程を使え、石油由来樹脂と同等の性能。リニューアブルプラスチックが十分に普及していない現状ではもっとも現実的な選択肢と考えている」という。
同社は環境負荷ゼロを実現するための環境計画「Road to Zero」を推進しており、2050年までに環境負荷ゼロ達成を目指している。今回のリニューアブルプラスチックのグローバルサプライチェーンは、資源における化石由来の資源ゼロを達成するためにスタートしたものとなる。
なお、ソニーによれば、今回構築したサプライチェーンについてはソニーが独占するものではないという。
最上位ブラビアの光学系にもリニューアブルプラスチック採用
こうして作られたリニューアブルプラスチックは、ソニーの完全ワイヤレスイヤフォン「WF-1000XM6」、RGB LEDを採用したブラビア最上位モデル「BRAVIA 9 II」、そして9日に発表されたばかりのステージモニターイヤフォン「IER-M500」に活用されている。
WF-1000XM6では充電ケースの部品として活用。そもそも1000Xシリーズは同社のフラッグシップモデルであり、2世代前のWF-1000XM4では環境に配慮した紙素材「オリジナルブレンドマテリアル」を、ワイヤレスヘッドフォンの「WH-1000XM5」では本体の樹脂素材に再生プラスチックを採用するなど、これまでも環境負荷軽減に積極的に取り組んできている。
WF-1000XM6の場合、開発時点でリニューアブルプラスチックを採用すること自体は決まっていたものの、具体的にどの部品、どの材料に導入するかは未定だったという。
しかし、その段階で製品設計が進んでおり使用を想定している材料メーカー/グレードが固まりつつあったこと、使う樹脂の選定には信頼性評価や音質評価などに時間がかかることなどから、リニューアブルプラスチックを採用すると開発期間が伸びてしまうという声もあったとのこと。
一方で、ケースの部品にはもともと違う材料(マテリアルリサイクル材)を使う予定だったが、その材料が採用できなくなる事態が発生。こうした可能性も考慮して、「LinkBuds Open」や「LinkBuds Fit」で使っていた材料(バージン材)を代替として検討し、各種評価作業も済ませていたという。
そして、そのタイミングで、今回のグローバルサプライチェーンの構築が完了。リニューアブルプラスチックでは、石油由来のバージンプラスチックと同等の性能、同等の仕様のものを環境対応しながら作れるため、ケースの部材として、このグローバルサプライチェーンを活用して製造したリニューアブルプラスチックを採用することとなった。
BRAVIA 9 IIでは、115型を除く全モデルの内部シャーシや光学部品といった一部の内部部品にリニューアブルプラスチックを採用。また65型では背面カバーにも採用している。
ブラビア自体も以前から環境負荷対策に積極的に取り組んでおり、消費電力の削減や梱包材の削減、リアカバーについても使用済みテレビの背面カバーから回収したプラスチックをSORPLASの原材料の一部に活用する形で、再生材を使用してきた。
一方で、こうした再生プラスチックを使いにくいのが内部部品。とくに画質を支える光学系の部品では、わずかな不純物でも透過率が低下し、性能に大きく影響してしまうため、マテリアルリサイクル材を使うのが難しかった。
しかし、リニューアブルプラスチックは不純物の混入がなく、品質も石油由来のバージンプラスチックと同等のため、光学性能を維持しながら置き換えることが可能。ソニーも「一切の性能劣化を伴わずに循環材を適用できた」としている。
また通常、テレビなどの家電製品に用いられるプラスチック材料には、強度と難燃性を高めるための添加剤が含まれている。マテリアルリサイクル材を使う場合でも、難燃性を満たすためにはバージン材の追加が必要だったという。
しかし、この添加剤に使うバージン材をリニューアブルプラスチックに置き換えることで、難燃性を維持するために厚みを増やすといった対策を取ることなく、製品の循環材率をさらに高めることが可能になった。65型では、循環材を約51%使っており、このうち23%にリニューアブルプラスチックが割り当てられている。
IER-M500では、外装のクリアパーツなど製品の35%に循環材を使用している。
開発にあたっては、2025年4月に発売した完全ワイヤレスイヤフォン「WF-C710N」にて、スケルトンが特徴のグラスブルーが好評だったこと、UVレジンで製作するカスタムIEMのようにモニターイヤフォンはクリアデザインのものが多いことから、IER-M500のカラバリ検討時に目立たないクリア(無着色)と、ほか2色についても半透明デザインを採用することになったという。
しかし、上述したブラビアの光学系部品と同じく、マテリアルリサイクル材では無着色のプラスチックを作るのは難度が高いため、石油由来のバージン樹脂と同等の特性を持つリニューアブルプラスチックを使うことで、半透明のデザインや音質を損ねることなく、環境配慮も両立した。
そのほかの取り組みとして、4月に横浜で開催された音楽イベント「CENTRAL 26」では、このサプライチェーンを活用して、すべての飲料カップをバイオプラスチックニ転換。イベントで使われたカップは回収し、次回のソニーイベントグッズに活用される予定となっている。
またソニー社内でのイベントでも、資源循環型カップを使用していることも紹介された。























