ソニー、2.8型有機ELで7.2mmの最薄ウォークマン「A840」

-iTunesからD&D転送。D1動画/歌詞表示/64GBも


A840のブラウンカラー

10月31日発売

標準価格:オープンプライス

 ソニーは、ウォークマンの新Aシリーズとして、「A840」シリーズ3モデルを10月31日に発売する。メモリ容量16GBの「NW-A845」、32GBの「NW-A846」、64GBの「NW-A847」の3機種をラインナップ。価格は全てオープンプライスで、店頭予想価格は16GBが24,000円前後、32GBが30,000円前後、64GBが40,000円前後の見込み。対応OSはWindows XP/Vista。

左がブラウン、右がブラック
 各容量にブラック(B)とブラウン(T)の2色を用意。さらに、ソニースタイルオリジナルモデルとして64GBのアークティックバイオレット(V)モデルを用意。「硬質な緊張感と奥深さを感じさせるカラー」(ソニー)で、通常モデルより3,000円程度高価な直販42,800円。なお、全てのモデルに、外装カラーにマッチするブラック用、ブラウン用、ソニースタイルモデル用の壁紙が3枚全てプリインストールされる。

 Aシリーズは、音楽や動画ファイル再生に機能を絞りつつ、高音質再生に注力したシリーズで、新たに2.8型(240×400ドット)の有機ELディスプレイを採用。A820シリーズの2.4型(240×320ドット)液晶から大画面/高画質化している。なお、ワンセグやWebブラウザを備えた最上位の「X1000」シリーズの画面は3型有機ELで240×432ドット。

 有機ELと強化ガラスを採用しながら、筐体最薄部はウォークマン史上最薄となる7.2mmを実現。最大外形寸法は104.9×47.4×7.7mm(縦×横×厚さ)となっている。重量は約62g。


ウォークマン史上最薄の7.2mmを実現した操作ボタン部底面。イヤフォン端子とWM-PORT、ストラップホールを備えている
後述する別売アクセサリの本革ケースと組み合わせたところ左からA840、同日発表の下位モデルS640、S740、右はSシリーズの従来モデルS630/730厚さの比較

 基本機能として付属イヤフォンを用いたデジタルノイズキャンセリング(NC)機能を備え、外部の騒音を98%カット。ノイズキャンセルモードは「バス・電車」、「飛行機」、「オフィス」の3種類から選べ、ウォークマンのNC機能のみを利用する「外部入力/サイレント」機能も用意している。付属イヤフォンは、単品NCイヤフォン「MDR-NC33」をベースにしたバーティカル・イン・ザ・イヤータイプで、ユニットは13.5mm。

 「クリアオーディオテクノロジー」も搭載。フルデジタルアンプ「S-Master」を採用するほか、高音域補間技術「DSEE(Digital Sound Enhancement Engine)」や、チャンネルセパレーションを向上する「クリアステレオ」、低音の歪みを抑える「クリアベース」などを内蔵する。

ソニースタイル限定の「NW-A847/V」(64GB)。カラーは“アークティックバイオレット


■ iTunesからのドラッグ&ドロップ転送に対応

 Xシリーズと同様に、Windowsのエクスプローラーなどを使った、楽曲のドラッグ&ドロップ転送に対応。映像や写真の転送もサポートする。転送速度も従来機種比で約3倍に高速化したという。

 さらに、iTunesの楽曲管理画面からのドラッグ&ドロップにも対応。iTunesのミュージックライブラリ画面に表示されている楽曲を選択し、ウォークマンの「MUSIC」フォルダにドラッグ&ドロップするだけで転送できる。ただし、iTunes Storeで購入した楽曲など、DRM付楽曲の転送はできない。またiTunesプレイリストの転送にも対応しておらず、アルバムジャケット転送など全ての機能をサポートしているわけではない。


■ 新アプリ「x-アプリ」で歌詞購入

 新モデル最大の特徴は、同期歌詞表示機能を備えたこと。従来の音楽管理・転送ソフト「SonicStage V」の後継となる、PC用の新管理ソフト「x-アプリ」とウォークマンを連携させて実現する機能で、「x-アプリ」から、JASRACと契約して歌詞データを販売しているシンクパワーが提供する歌詞データ販売サービス「歌詞ピタ」を利用。歌詞データを購入/ダウンロードし、「x-アプリ」上で楽曲データと結合。その楽曲をウォークマンに転送し、ウォークマンのディスプレイで再生と連動した歌詞表示を行なうという仕組み。歌詞表示は再生にあわせて自動スクロールする。

 歌詞データの購入は、シンクパワーのPC/携帯サイトで会員登録して利用。決済はPCの場合クレジットカード、携帯サイトでは携帯電話の使用料と一緒に支払える。支払い方法は月額とアラカルトの2種類があり、月額では150円で月10曲分(曲単価15円)、300円で月25曲(同12円)、1,000円で月110曲(同9.1円)などを用意。アラカルトプランは月の縛りが無い、半年間有効なダウンロード権で、10曲分購入で200円(曲単価20円)、22曲で400円(同18.2円)、70曲で1,000円(同14.3円)などとなる。

 なお、ウォークマン購入者には、歌詞データを20曲ダウンロードできる権利がプレゼントされる。同梱のバウチャー番号を「歌詞ピタ」の会員登録時に入力すると、ダウンロード権利が付与される。

歌詞ピタ機能の利用イメージ。歌詞データはシンクパワーから購入する新管理ソフト「x-アプリ」のイメージ楽曲を選んでメニューから「歌詞ピタ」の取得を選ぶと、歌詞を検索してくれる。該当する歌詞データがあった場合はプレビューで内容をチェックして、購入作業に進める

 「x-アプリ」上で、歌詞付の楽曲データには専用のアイコンが付き、認識できるが、x-アプリ上で歌詞を表示する機能は無く、ウォークマンに転送して初めて表示ができる。また、転送は1回のみ可能で、歌詞データをx-アプリに戻す(再転送)する事はできない。さらに歌詞が付いた楽曲を転送する際、“歌詞を転送しない”という設定が無いため、例えば同じ「x-アプリ」で複数台のウォークマンを利用していると、最初に転送したウォークマンに楽曲データが転送される。

 ウォークマン側では歌詞を1行あたり全角13文字の、3行表示が可能。表示のON/OFFが切り替えられるほか、サラウンド機能の「バーチャルホンテクノロジー(VPT)」から、ヴォーカルキャンセル機能の「カラオケ」を選ぶことで、歌詞表示と合わせ、カラオケの練習にも活用できる。別売のAVケーブル「WMC-NWV10」(10月10日発売/実売3,000円前後)を使い、テレビに歌詞を表示することも可能。後述するウォークマン内の動画もテレビに表示できる。AVケーブルには転送/充電用のUSBケーブルも付属している。

同日発表のNW-S740に、歌詞表示を行なっているところ。A840でも同様の表示が行なえる別売ケーブルを使用し、ウォークマンの画面をテレビに出力。画面はVPTのヴォーカルキャンセル機能を選んでいるところテレビ画面で楽曲の歌詞表示が可能

 カラオケ以外にも、語学学習に便利な再生速度変更機能「DPC(デジタルピッチコントロール)」を備え、0.5倍の遅聞きから、2倍の早聞きまで、9段階の調整が可能。A-B間リピート再生や、再生中にボタンを押した回数に応じて再生位置を戻す「クイックリプレイ」機能も備えている。なお、DPCは歌詞表示中も使用できるが、A-B間リピート+クイックリプレイは排他利用。

 新アプリの「x-アプリ」は、従来の音楽管理・転送ソフト「SonicStage V」と、動画・静止画転送ソフト「Media Manager for WALKMAN」を統合したアプリで、10月からダウンロード提供される。なお、新S/Aシリーズの同梱ソフトは「SonicStage V」(5.2)で、「x-アプリ」はダウンロードして利用する形になる。PCがネットに繋がっている場合は「SonicStage V」をインストールしようとすると「x-アプリ」のダウンロードを勧められる。「x-アプリ」インストール時に、「SonicStage V」はアンインストールされる。「x-アプリ」は従来モデルの一部もサポート。また、新ウォークマンには「Media Manager for WALKMAN」は付属しない。

 「x-アプリ」では歌詞ピタと楽曲管理に加え、動画や静止画の転送にも対応。さらに、ソニー製PCソフト「x-Pict Story」や「x-ScrapBook」、「x-Chronology」と連携でき、それらのアプリと関連付けて管理や再生が可能。

 再生に対応する音楽ファイルはMP3/HE-AAC/AAC(DRM無し)/WMA(DRM無し)/リニアPCM/ATRAC/ATRAC Advanced Lossless。動画はMPEG-4 AVC/H.264とMPEG-4、WMV(DRM無し)に対応しており、従来はQVGAまでのサポートだったが、新たに720×480ドット、30fpsまでのファイルが再生できるようになった。

 連続再生時間は、音楽再生が29時間。ビデオ再生は9時間。ダイレクトエンコーディング機能やFMラジオにも対応。音声やビデオのポッドキャストにも対応している。


 

■ BDレコーダやPS3との連携も強化

 ウォークマンはソニー製BDレコーダから、デジタル放送の録画番組を転送する「おでかけ転送」に対応しているが、新しいウォークマンではその連携が強化。転送時にジャンル情報も一緒に転送され、ウォークマン側でジャンル別に番組ファイルが選べるようになった。

 さらに、レジューム機能もサポート。レコーダで途中まで再生し、おでかけ転送すると、ウォークマンで自動的に続きから再生できる。ウォークマンで途中まで再生した番組を、BDレコーダにおかえり転送し、レコーダ側でその続きを再生する事も可能。

 PlayStation 3との連携も可能。USB接続することで、従来のAシリーズでは写真と動画が転送でき、認識/再生可能で、音楽は転送できるものの、ウォークマン側で認識できなかった。A840シリーズでは、X1000シリーズと同様に音楽の転送/認識も可能(DRM非対応)。さらに、A840シリーズでは、ウォークマン内の音楽/映像/静止画をPS3から再生することも可能になった。なお、PS3はAVCHDやDivX、GIF、TIFF、BMPといった多くの動画/静止画形式に対応しているが、これらの形式はウォークマンでは対応していない。しかし、PS3から転送はできてしまうため、転送したが再生できないファイルとなる。


 

■ 豊富なアクセサリを用意

 アクセサリとして、装着したままボタン操作やWM-PORTが利用できるシリコンケース「CKM-NWA840」(10月31日発売/実売2,500円前後)や、クリアケース「CKH-NWA840」(10月31日発売/実売2,800円前後)、本革キャリングケース「CKL-NWA840」(10月31日発売/実売3,500円前後)などを用意する。

 ほかにも、ウォークマンの汎用アクセサリとしてアームバンド「CKA-NWU50」(10月10日発売/実売2,000円前後)や、ノイズキャンセリング機能搭載モデル用のネックストラップ型イヤフォン「MDR-NWN33S」(11月20日発売/実売6,500円/NW-S640/S740/A840用)、「MDR-NWN20S」(11月20日発売/実売6,500円/NW-S730Fシリーズ以前用)なども用意する。

本革キャリングケース「CKL-NWA840」クリアケースやシリコンケースなど、豊富なアクセサリを用意する汎用アクセサリのアームバンド「CKA-NWU50」



(2009年 9月 16日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]