BeeTV、行定監督のドラマ「女たちは二度遊ぶ」配信開始

-相武紗季/水川あさみ/小雪/優香/長谷川京子が競演


舞台挨拶に登場した相武紗季さん、水川あさみさん、小雪さん、優香さん、長谷川京子さん、行定勲監督(写真左から)

3月1日放送開始


試写の前には主演女優5名と行定勲監督の舞台挨拶も行なわれた

 エイベックス通信放送は、同社が運営する携帯電話向けの映像配信サービス「BeeTV」(ビーティービー)で、オリジナルドラマ「女たちは二度遊ぶ」の配信を、3月1日に開始した。それに先立つ2月28日、配信直前記念として、1日限りの限定試写会が、ザ・プリンスパークタワー東京(東京都港区)で開催された。

 試写会にはBeeTVの女性会員150人が招待され、試写の前には、主演女優5名と行定勲監督が一堂に会し、舞台挨拶も行なわれた。

 BeeTVは、NTTドコモのiモーション対応端末で、オリジナルドラマやバラエティなどの番組をストリーミング視聴できるサービスで2009年5月1日より開始された。利用料金は月額315円(パケット料金除く)で見放題となる。会員数は1月末時点で90万人を突破している。

女たちは二度遊ぶ

 今回配信が開始されたドラマは、「パーク・ライフ」で第127回芥川賞を受賞した吉田修一氏のショートストーリー集「女たちは二度遊ぶ」(角川文庫)を原作に、脚本に伊藤ちひろ氏、監督を行定勲氏が務め、相武紗季さん、水川あさみさん、小雪さん、優香さん、長谷川京子さん(配信順)の主演女優に加え、主題歌に安室奈美恵さんの「The Meaning Of Us」を採用するなど、豪華な布陣で制作された。

 「愛されるより、忘れられない女になる」をキーワードに、5つのオムニバスストーリーが展開し、5人の女優が男の記憶に残る忘れられない女たちを演じる。キーマンの小説家として、ユースケ・サンタマリアさんが登場する。全29話で構成され、1話は約5分。配信更新日は月水金の週3回更新となっている。

ステージには、華道家 片桐功敦氏による花が飾られた試写会にはBeeTVの女性会員150人が招待された

●主演女優勢ぞろいの舞台挨拶

行定勲監督

 舞台挨拶には、相武紗季さん、水川あさみさん、小雪さん、優香さん、長谷川京子さん(配信順)の主演女優全員と、行定勲監督が勢揃いし、華やかに行なわれた。

 豪華なキャストが揃ったことに行定監督は、「自分でキャスティングしていてなんですが、いざ集まると自分が、はめられている感じがします(笑)」と会場を笑わせた。

 初めてのケータイドラマの撮影について、「ケータイドラマだという区別も差別もしていません。カット割りもショットも、映画を撮るつもりで撮影を進めました。最初は、携帯で見るということでアップを多用しようなどと考えましたが、映画を撮るというアプローチで取り組んだ方が潔いと思ったんで、手抜きはない。自分の手元で映画が見られる時代が来たと感じた」と作品にこめた意気込みを語った。

 主演女優には、自身が演じた「忘れられた女」について質問が投げかけれれた。「つまらない女」に出演する長谷川さんは「『つまらない女』って言われたら、ショックですよね」と苦笑。「私の演じた役は起承転結がつけられない、オチのつけられない女なんです。監督の小説家の男に一緒にいて刺激がないと思われるのですが、最終的にこの人に支えられているんだ、と気付く内容になっています」と話す。

 唯一オリジナル脚本ということで、「監督の実体験も取り入れられているとの事でしたので、監督のプライベートも垣間見えると思います」と明かした。

「忘れられた女」を主演した、長谷川京子さん

 夢の女に主演する小雪さんは、「見ていただく皆さんがどう感じるかが答えだと思います。目覚めたときに、夢か現実か分からなくなるときがある、そんな役です。まさにそういう瞬間を描いてます。見えるようで見えない、あるようでない、とても抽象的なキャラクター」と自身の役を説明する。

 「どしゃぶりの女」に主演した相武さんは、「一夜限りのはずが、何故かその男性の家に居ついてしまいます。それで本気になったかと思うと姿を消すという女性で、現実にありそうでもあり、今回の作品の中でファンタジーの要素が一番ある役だと思いました」と実感を語った。

「夢の女」を主演した、小雪さん

 「自己破産の女」を演じた水川さんは、「男性に対して何も求めない天真爛漫さがあって、男心を掴みます。でもその反面、一人でいられないようなところもあって儚さ、寂しさのあるお話」と話す。「似ている部分はありましたか?」と聞かれると、「監督からは『そのまま演じてみろ』と言われました」と複雑な表情だった。

 優香さんが演じる「平日公休の女」は、「この中で一番普通の女なんです。だから、一番リアリティのある話になっています。監督からは『イタくやってほしい』と言われて……。『イヤなことしてよ!』というセリフがあるんですが、こういうセリフが言えるのは、強い女だと思います」と話していた。

「自己破産の女」を演じた水川さん

 今回演じた役以外にも、「忘れられない女とはどんな女性か?」と質問されると、「この会見の前で裏でみんなでこの質問について考えていたんですが、夢の時間を与えてくれた女性、男性にとって終らなかった女性かな。夢のような時間をくれる人、自分の中で『終わらなかった人』じゃないかなと思います」と小雪さん。

 相武さんは「ドラマをやってきた経験で言えば、振り回すけど、愛嬌があって憎めない女の子」、水川さんは「私は、まだまだそういう所は勉強中ですが、男に素直で誠実に表すことが出来る人が心に残る人であって欲しいなと思います」、優香さんは「猫のような人ですかね。男としてはどうしていいかわからない。忠実な人よりも何をするかわからない女の方が忘れられない女だと思いましたね。長谷川さん「自立している人ですかね。男にとって思い通りにいかないような、自立している女がそうだと思います」とそれぞれの意見が挙がった。

「どしゃぶりの女」に主演した相武紗季さん

 男性の意見もということで、行定監督に質問が及ぶと、「考えていなかったですね(笑)。僕はダラダラしているので、『しつこい女』が忘れられないですかね」との答え。この男性側の意見に、女性陣は皆、「そうなんだ!」と驚いていた。

 最後に行定監督は、「この原作は本当にすぐれた短編集です。女性は共感し、男性は痛いと感じる作品です。映画ではこのような短編集を表現するのは難しいので、ぜひやりたいと思いました。キャストの皆さんとは水川さん以外、初めて一緒に撮影したんですが、仕事をしたいと思っていた人と今回の作品を通じてやれました。映画だと思って作り、僕の中でお気に入りの作品になりました。ぜひ皆さん、楽しんで下さい」と作品をPRして締めくくった。

「平日公休の女」を演じる優香さん



●男の記憶に鮮明に残った「忘れられない女たち」の5つのリアルな恋愛物語

ユースケ・サンタマリアさん演じる、遅筆な小説家がオムニバスストーリーをつないでいく

 遅筆な小説家(ユースケ・サンタマリア)は、いつもの喫茶店で今日も苦しんでいた。編集者に女と男をテーマにした短編の連載依頼を受けながらも自身の乏しい恋愛経験なんてネタにならず。そこで聞こえてきた、隣の客の甘くて苦い恋愛バナシ。とりもなおさず、真っ白な原稿用紙にタイトルを書いてみるのだが……。

エピソード1:「どしゃぶりの女」(全6話)/3月1日配信開始

どしゃぶりの女


(出演:相武紗季さん、柏原崇さん)
 その女とは、飲み会で一晩きりのつもりだった。どしゃぶりの雨模様となった翌朝、彼女を部屋から追い出すために遠回しに言った「雨が上がるまでいれば」という一言。これが彼女と付き合うきっかけになるなんて、その時はまったく思わなかった。雨は、その日から三日も降り続くことになったのだ。男は、炊事、掃除はおろか、てんこ盛りになった灰皿の吸い殻さえ捨てないような“何もしない女”を愛おしく思い始めたが……。



エピソード2:「自己破産の女」(全6話)/3月12日配信開始

自己破産の女

(出演:水川あさみさん、高良健吾さん)
 友人と二人で入った居酒屋で、泥酔状態でからんできた一人客の女。その女、真理とは、店を出たあとにホテルに入り、翌日から一緒に暮らしはじめた。そのとき求職中の身で、時間だけはたっぷりあった男は、何をするにも、どこにいくにも、彼女と一緒だった。その間の生活費は、消費者金融に就職した先輩のノルマに協力するために以前作った、1枚のカードに頼りきり。1万と2万と、気楽な気持ちで引き出していったが……。



エピソード3:「夢の女」(全5話)/3月26日配信開始

夢の女

(出演:小雪さん、小柳友さん)
 駅で遭遇した目を見張るような美しい女。彼女はいったいどんな女なんだろう。引き寄せられるように、後をつけていった。彼女が入ったのは、その外見のイメージとはほど遠い古い木造のアパート。男は見てはいけないものを見てしまったような気がして後悔した。その数日後、電車の中で女と再会した男は思わず声をかけ、バイト先のバーへ招待する。しかし、彼女は現れない。男は待ちわびるうち、現実と夢の狭間へと迷い込み……。



エピソード4:「平日公休の女」(全6話)/4月7日配信開始

平日公休の女

(出演:優香さん、塚本高史さん)
 友だちの家で彼女と出会い、付き合い始めた。デパートの化粧品売り場に勤めている彼女の公休日は、木曜日。彼女は水曜の夜、男の家に泊まるようになった。彼女は気前がいい女で、食事代をよく出してくれる。なのに男は、かつてつきあっていた恋人を忘れられない。結局その恋人からよりを戻そうと持ちかけられ、彼女をふってしまう。最後、彼女から「別れて良かったと思えるぐらいひどいことをしてよ」と言われた男は……。



エピソード5:「つまらない女」<オリジナル脚本>(全6話)/4月21日配信開始

つまらない女


(出演:長谷川京子さん、ユースケ・サンタマリアさん)
 喫茶店で悶々としながら物語を紡ぐ小説家。偶然い合わせた常連客たちの物語を書いてきたが、限界を迎えた彼に編集者が「自分のことを書いてください」と提案する。小説家はさらに苦悩する。なぜなら彼の女は、「つまらない女」だからだ。交際6年、一緒に暮らして夫婦同然の関係。何も起こらない日常の中、物語になるようなエピソードは何もない。思い詰めた小説家は、彼女に別れてほしいと切り出し、彼女は家を出ていくが……。



(2010年 3月 1日)

[AV Watch編集部 古川 敦]