ナナオ、遅延低減などゲーム向け23型地デジ液晶
-倍速駆動。サラウンドヘッドフォンで敵位置把握
ナナオは、「EIZO FORIS」シリーズの新モデルとして、地上デジタルチューナを搭載した、23型のフルHD液晶ディスプレイ「FX2301TV」を6月24日に発売する。倍速駆動に対応しており、価格はオープンプライスで、直販価格は99,800円。エコポイント(7,000ポイント)対象となる。
ディスプレイ下部のスピーカーカバー「サウンドジャケット」にカラーバリエーションがあり、基本カラーとしてフィーバーレッドとワンダーブラックの2色を用意。さらに、直販サイト、ショールームのEIZOガレリア銀座では、サウンドジャケット部のみを2,980円で販売。アクティブブルー、ディアブラウン、ディライトイエローの3色を用意し、ユーザーが好みに合わせて付け替えられる。また、8月1日までに直販サイトまたは、EIZOガレリア銀座でFX2301TVを購入すると、サウンドジャケットの中から好みの1色をプレゼントするキャンペーンも実施される。
赤い部分がサウンドジャケット | |
ワンダーブラック | 右からアクティブブルー、ディライトイエロー、ディアブラウン |
23型、解像度1,920×1,080ドットのTNパネルを採用した液晶ディスプレイ。バックライトはCCFL。倍速駆動に対応している。輝度は300cd/m2で、コントラスト比は1,000:1、コントラスト拡張時は2,000:1。応答速度は3ms。視野角は上下左右160度。
地上デジタルチューナを1基搭載するほか、HDMI入力やヘッドフォン向けのバーチャル5.1ch技術も投入。PC用ディスプレイ、及びパーソナルテレビとして活用しつつ、特にゲーム機やAV機器との親和性を高めたプライベート空間向けモデルとして訴求する。
■ ヘッドフォンをゲームや映画で活用
最大の特徴はヘッドフォン向けのバーチャル5.1chサラウンド機能を備えた事。ドルビーデジタルのデコーダを内蔵しており、ゲーム機やDVD/BDプレーヤーからHDMI経由で入力されたドルビーデジタル5.1ch信号を内部でデコード。それを、ナナオがゲームメーカーらと協力して、カスタマイズしたというヘッドフォン向けのバーチャル処理する事で、ヘッドフォンで臨場感のあるゲームや映画などが楽しめるという。ステレオミニのヘッドフォン出力は本体前面左側に備えている。
さらに、ドルビープロロジックIIにも対応。HDMI端子から入力されるリニアPCM 2ch信号や、アナログステレオ(RCA)から入力されたステレオ音声を、ドルビープロロジックIIで5.1chに拡張。それを前述のバーチャル処理を通して、ヘッドフォンで楽しむ事もできる。なお、光/同軸デジタル入力は備えておらず、HDMI入力もリニアPCMのマルチチャンネル入力(5.1chなど)には対応していない。
サラウンドモードは、音がどこで鳴っているのかがわかりやすく、主人公視点のシューティングゲーム(FPS)などに適した「ゲーム1」、適度に残響を加えて臨場感をアップさせ、アドベンチャーやロールプレイングゲームに向いた「ゲーム2」、一番長い残響効果があり、低音を強調して迫力を出した「ムービー」の3モードから選択できる。
イヤフォン端子 | サラウンドモード切替画面 |
ボーズのヘッドフォン「around-ear headphones」とディスプレイのセット販売も実施 |
本体下部に5cm径ユニットを採用したステレオスピーカーも装備。出力は2W×2ch。ラインアウト(ステレオミニ)出力も備えており、アクティブスピーカーなどを接続する事もできる。
■ 動画性能
独自の画像処理で、フレーム間に中間フレームを生成し、秒間120フレームの表示を行ない、動画ブレを低減する倍速表示モードを搭載。様々な表示モードを備えており、前述ように補間フレームを生成する「標準」、「強調」に加え、補間フレームを生成せず、同じフレームを繰り返して24Hz表示を行なう、フィルム映画などに向けた「5-5/4-4」モード、補間せずに直前と同じフレームを繰り返して表示し、表示遅延を抑える「遅延低減」モードを備えている。
「遅延低減」モードは、IP変換などの処理をスキップすることで、遅延を0.5フレームに最小化する「スルーモード」機能を使って実現しており、同モードを有効にすると倍速モードが自動的に「遅延低減」となる。リズムゲームや対戦格闘ゲームなど、反応の速さが求められるゲームに最適だという。
さらに、前述モードの「標準」、もしくは「強調」の場合には、映画などのフィルム映像をより滑らかに表示するため、フィルム映像やCG、アニメなどの映像信号の種類を自動判別して最適な補間を行なう「2-3/2-2」、フィルムに対して最適な補間を行なう「2-3」、通常の補間フレーム生成で表示する「オフ」の3モードが追加で選択できる。
倍速駆動に対応 | 各倍速表示モードの図解 | |
各倍速表示モードの図解 |
画面サイズ設定も豊富で、SD映像やポータブルゲーム機など、低解像度映像のドット・バイ・ドット表示や、2倍拡大表示が可能。レトロゲームなど、ドット表示のゲームを2倍拡大した際、ドットを崩さないように表示し、レトロゲームの雰囲気を損なわない「リアルイメージ機能」も利用可能。プレイステーションポータブル(PSP)の映像を画面一杯に拡大表示する事もできる。
画面サイズ設定表 | ポータブルゲーム機の映像をフル画面表示 |
カラーモードも多数用意しており、ビデオ信号時にはコントラストを重視した「Power」、明るく色鮮やかで輪郭がクッキリした「ゲーム」、階調が滑らかな「スタンダード」、温かな色調で暗部表現を重視した「シネマ」、自由に設定できる「カスタム」を用意。テレビ表示時にも、それに合わせた「スタンダード」、「シネマ」、「カスタム」を、PC入力時用には「テキスト」、「ピクチャー」、「ムービー」、「Power」、「カスタム」から選択出来る。
カラーモードを使いこなすために、フロントパネルにモードインジケーターを装備。現在のモードをイルミネーションの色で表示するもので、ユーザーがモードによる色の組み合わせをカスタマイズする事も可能。外光レベルに応じてインジケーターの輝度は変化し、わずらわしさも無いという。
カラーモードにより、フロントパネルのモードインジケーターの色が変化する |
以上のように、プレイするゲームに合わせて、ヘッドフォンのサラウンドモードや、液晶の倍速モード、スルーモードのON/OFF、カラーモードなどを細かく設定できるのが特徴だが、組み合わせには知識も必要となる。そのためナナオでは、ホームページ上にゲームのジャンルごとに、ナナオがお勧めする設定を掲載予定。それを参考に、ユーザーが設定を追い込めるようになるという。
ナナオがお勧めする設定がWebに公開される |
そのほかにも、視野角度に応じてガンマ設定を変更する事で、リクライニングチェアなどでリラックスした姿勢(角度)から画面を見ても、正面からの見え方に近くなるようにガンマ補正する「リラックスモード」、画面を最適な輝度に保つ「Auto EcoView」などの機能も搭載。HDMI CECにも対応している。
■ TV機能
チューナは地上デジタルのみ。EPGにも対応しているが、データ放送や双方向通信機能には対応していない。また、PinP(子画面表示)には対応していないため、ゲームプレイ中に小画面でテレビを表示するといった使い方はできない。
リモコンが付属し、チャンネルキーやダイレクト入力切替ボタンなどを装備。カラーモード、リラックスモード、画面サイズ、スルーモードなど、頻繁に使う機能にもダイレクトにアクセスできるようになっている。
付属リモコン | 背面端子部 | EPG表示に対応 |
入力端子はHDMI×2、HDCP対応のDVI-D×1、D5×1、D5/コンポジット兼用(D端子優先)×1、アナログRGB(D-Sub 15ピン)×1、アナログ音声(ステレオミニ)×2、アナログ音声(RCA)×2。出力はラインアウト(ステレオミニ)×1、ヘッドフォン(ステレオミニ)×1。
上20度、下5度のチルト機能を装備、100mmピッチのVESAマウントにも対応する。最大消費電力は80W。スタンドを含む外形寸法と重量は、547×275×445mm(幅×奥行×高さ)、約9.1kg。
(2010年 6月 10日)
[AV Watch編集部 山崎健太郎]