ソニー、3D BRAVIA購入者に3D版「THIS IS IT」を提供

-TVで「Life-X」。年末商戦でウォークマンシェア50%


年末に国内投入を予定している、電子書籍端末「Reader」を手にするソニーマーケティング栗田伸樹代表取締役社長

 ソニーは8日、特約店向けに製品ラインナップを紹介する「ディーラーコンベンション2010」を開催。BRAVIAなど、3D対応関連製品を一堂に揃え、コンテンツ制作から映画館での上映、家庭での体験を含めて、グループの総力を結集して3Dビジネスの拡大に取り組む姿勢を強調した。

 なお、コンベンション会場で展示された新製品については、別記事で紹介している。

 ソニーマーケティングの栗田伸樹代表取締役社長は、3D表示に対応した液晶BRAVIAの投入や、FIFAワールドカップでの3Dパブリックビューイング開催、3D撮影対応デジカメの投入など、同社の3Dへの取り組みを改めて紹介。「年末にかけて、さらに多くの製品が揃う。その後もますます拡充させていくので、ご期待ください」と語る。


キャンペーンでプレゼントされるソフト

 さらに、「普及にはコンテンツの普及が不可欠。年末に向けて映画、音楽、ゲームと、幅広いコンテンツを供給するソニーグループの力を結集し、3Dビジネスの立ち上げに総力戦で挑む」と宣言。例として、ソニー・ピクチャーズから「マイケル・ジャクソン THIS IS IT 3Dエンハンスト・エディション」(収録内容の一部を3D化したもの)が登場すること、ソニー・ミュージックからは3Dの音楽ソフト、ソニーコンピュータエンタテインメントからは、3Dゲームが一足早く投入されており、年末向けに拡充予定である事などを紹介した。

 そして、3D普及に欠かせない“コンテンツの普及”を促進するための施策として、「3D <ブラビア>コンテンツ バンドル 大キャンペーン」を発表した。

 これは、液晶テレビBRAVIAの3D対応モデル、もしくは3D対応のフロントプロジェクタ「VPL-VW90ES」の購入者に「マイケル・ジャクソン THIS IS IT 3Dエンハンスト・エディション」、「アリス・イン・ワンダーランド 3D」、「くもりときどきミートボール IN 3D」と、「ソニーブルーレイ3D 体験ディスク」のBlu-ray 3Dソフト合計4枚と、PlayStation 3で楽しめる3Dゲーム4種類の、合計8個のソフトをプレゼントするもので、10月1日から実施される。

 この中の「マイケル・ジャクソン THIS IS IT 3Dエンハンスト・エディション」は、全編ではなく、一部シーンのみ3D映像で楽しめるバージョンになるという。3Dコンテンツの収録時間は10分以上で、スリラー、スムーズ・クリミナル、アース・ソングが3Dで楽しめる。「アリス・イン・ワンダーランド」のBlu-ray 3D版も未発売のもので、「本キャンペーン専用ソフトの非売品」とされており、ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンによれば「現時点で、(3D版の)単品発売の予定は無い」という。

 対象モデルはBRAVIAのLX900、HX900、HX800、HX80Rシリーズ、プロジェクタの「VPL-VW90ES」。応募期間は10月1日~2011年1月31日まで。対象商品を購入の上、My Sony Clubで製品登録を行ない、キャンペーンに応募したユーザー全員にプレゼントされる。キャンペーンの詳細ページは10月1日11時に専用ページが開設される予定。

 なお、3Dゲームのプレゼントは、6月1日~9月30日までの期間で実施されているキャンペーンが、2011年1月31日まで延長されるものとなり、Blu-ray 3Dソフトのプレゼントと、3Dゲームのプレゼントへの応募は別々に行なうことになる。




■ 年末商戦でのウォークマンシェアは50%を狙う

コンベンションでラインナップが一気に展示されたBRAVIA

 栗田社長は、ソニーの国内における3Dテレビの販売状況について、「6月の発売から8月までの実績カウントで、3D対応のHXシリーズを含め、テレビ全体で3Dが1割近い出荷構成比になった」と報告。「この秋から年末にかけ、液晶テレビ30機種の内、11機種が3D対応となる。来年は40インチ以上の大型は、ほぼ全てが3D化される予定。3D化の流れは止まることはない。2010年度を通し、3Dテレビでシェア50%以上を獲得し、ナンバーワンを目指していきたい」と抱負を語る。

 2011年7月24日に迫るアナログ停波については、駆け込み需要が予測される一方で、停波後の需要激減も予測され、「アナログ停波を“クライシス”(=危機)と呼ぶ人もいる」(栗田社長)。しかし、「それは何年も前からわかっていたこと。私はこの変化を“予見可能な未来”と認識しており、“クライシスにしてはいけない”と考えている。我々メーカーはその対策をしっかり準備し、7月24日以降は、新たな“メーカー主導の需要”を創造する必要がある」と語る。


 栗田社長は、その1つの柱として、テレビにおけるインターネット機能の強化を説明。PC向けに展開している、ライフログサービス「Life-X」をBRAVIAから利用できるようにする新サービス導入を、今年の秋に予定していることを明らかにした。

 これは、ユーザーがオンライン上にアップロードしている静止画の写真を、「Life-X」を通じて、BRAVIAから閲覧できるようにするもので、「Life-X」がサポートしているmixi、Flickr、Picasa、フォト蔵の各サービスに登録されている画像をまとめてBRAVIAから閲覧できる。従来の「BRAVIAポストカード」は、離れた場所で暮らすおじいちゃん&おばあちゃんのBRAVIAに、孫の写真を携帯電話などから送付する機能も備えているが、1通あたり写真3枚までという制限がある。新サービスはその拡張機能としても使用できる。

 PCの「Life-X」から、任意のBRAVIAに向かって、画像を保存したフォルダごと送付(実際にはフォルダ内の画像を閲覧できるアドレス)を送付する機能を追加予定で、“夏の旅行の写真集”など、まとまった数の写真を、友人のBRAVIAに送るといった事も可能になるという。サービスの実装時期は未定。2010年度に発売された、対応BRAVIAで利用できるという。

PCの「Life-X」から、任意のBRAVIAに向かって、画像を送付BRAVIAで送付された、オンライン上のアルバムを見ているところ音楽付きのスライドショー表示も可能で、コメント付きの画像では、コメントも表示される
年末商戦における、各ジャンルでのシェア目標

 年末商戦について栗田社長は、「デジタル放送への移行を控え、テレビエコポイント終了に向けた駆け込み需要もあり、かつてない大市場を想定している。延長されるエコポイントの影響については、年明けへの、一部の需要のシフトがあるとしても、今年の12月がアナログ停波前の最大商戦期であることに代わりはない。製販ともに取りこぼしのない体制を準備し、テレビのシェア20%以上を目指していく」と目標を発表。

 全ラインナップの3D化が完成したBDレコーダでは、シェア目標を30%以上とし、カメラでは金額ベースで総合シェア30%以上のトップシェアを狙うとする。さらに、ウォークマンは「シェア50%以上に挑戦していきたい」と宣言した。PC VAIOのシェア目標は15%以上で、参考展示されている3D対応モデルを、2011年春までに導入する計画も発表した。

 最後に栗田社長は、「強いソニーの復活にむけ、ソニーらしい強力な商品が揃うこの年末、2011年、2012年と継続的な成長を続けていくためには、この年末商戦の成功が絶対に必要。ソニーマーケティングは全社を挙げて目標達成に向けて最大限の努力を行なう。それを可能にする商品郡をご覧頂き、意気込みの強さを感じて欲しい」とまとめた。


(2010年 9月 8日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]