NHKとNTT、IPを使ったスーパーハイビジョン国際伝送実験

-24Gbps映像を220MbpsのAVC圧縮で伝送


中継システムの概要

 日本電信電話(NTT)と日本放送協会(NHK)は18日、共用タイプのグローバルIPネットワークを利用したスーパーハイビジョンの国際間(東京-ロンドン間)ライブ中継に世界で初めて成功した。

 7,860×4,320ドット映像と22.2チャンネルの音声からなるスーパーハイビジョン(SHV)番組をIPネットワークを通じて、国際伝送する実験。将来的に海外で開催される大型スポーツイベントの模様を安全、確実に配信、上映することを目標にしている。

 NTTとNHKでは、2006年12月末に紅白歌合戦の模様を専用線サービスを利用して、東京、大阪間でスーパーハイビジョンライブ中継した。今回は、NTTが開発した高信頼、高速IP伝送技術と、NHKによる次世代映像、音響技術を活用し、東京世田谷区のNHK放送技術研究所から英国ロンドンのBBC、NTT武蔵野研究開発センタをつないだネットワーク間でSHV伝送を行なった。

 具体的にはNHKが開発した符号化装置により、ベースバンド24Gbpsの映像を約220MbpsのMPEG-4 AVC/H.264にエンコード。音声も48kHz 22chでトータル27.6Mbpsの信号をMPEG-2 AACで約1.9Mbpsに圧縮し、IPインターフェイス装置により2つのIPストリームとして出力。そのストリームをNTTが開発したIP伝送技術により、グローバルIP実験網を介して伝送し、受信側でNHKが開発したデコーダと専用プロジェクタを用いて、SHV再生した。

グローバルIP実験網の構成IP伝送システムの構成

 今後も双方の先端技術を持ち寄り、SHVのIPネットワーク中継に関わる将来の標準となるような技術を先導開発。大型スポーツイベントや劇場中継などのスーパーハイビジョン・パブリックビューイングイベントの開催を検討していくという。


(2011年 2月 22日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]