オンキヨー、薄型デジタルステレオアンプの上位機種

-VL Digitalを見直した音質優先設計の「A-7VL」


A-7VL

 オンキヨーは、80mmの薄型筐体を採用するプリメインアンプの上位モデル「A-7VL(S)」を3月12日に発売する。価格は115,500円。

 独自のデジタルアンプ「VL Digital」を搭載したプリメインアンプで、'09年5月に発売された「A-5VL」の上位機種。シャーシ構造の見直しや、電源回路のディスクリート化などで高音質化を徹底。また、音質を優先するため、A-5VLで搭載していたトーンコントロール機能を外したほか、フォノイコライザはMMカートリッジ専用とし、MCへの切替回路を省いている。

 VL Digitalは、同社フラッグシップアンプ向けに開発されたデジタルアンプ技術で、PWM方式をベースに、パルス性ノイズを抑制する独自の積分型変調回路を組み込んでいる。この技術はA-5VLにも搭載しているが、A-7VLはその設計を抜本的に見直し、より低域まで再生できるようにカップリングコンデンサの容量を2倍以上に強化。また、高域のマスキングを低減させるため、より振動を抑制するパーツを採用。発熱部品の熱量を下げ、安定した動作を実現したという。最大出力は90W×2ch(4Ω)、定格出力は40W×2ch(8Ω)でA-5VLと同じ。

A-5VLでは前面に搭載していたトーンコントロールなどを省いている

 電源部には、大容量ながら薄型化を実現したEIタイプトランスを左右独立で2基搭載。また、別途マイコン制御回路用に1基搭載している。さらに、各電源回路に給電するローカル電源をディスクリート化している。信号経路のストレート化も追求。そのうえで、音質を重視するためトーンコントロール機能を省いたほか、デジタル回路/ボリューム回路/フォノイコライザ/ヘッドフォンアンプの各回路のセパレート化を徹底した。電解コンデンサーは、10,000μF×4基を搭載する。

 DA変換時のデジタルノイズに対し、可聴帯域の信号波形のみに反応する独自のフィルタ回路「VLSC」を搭載し、音の実在感や音場感を向上。DACはA-5VLと同じくバーブラウンの24bit/192kHz対応「PCM1796」をL/R独立で搭載している。

 フォノイコライザは、セパレーションの向上とグランドラインの閉ループ化による安定動作を目的とし、L/R独立基板としてマウント。銅板のスタビライザーにより制振性を高めている。MMカートリッジ専用としたことで、微小電圧の増幅段にMCへの切替機構を不要とし、SN比は80dBを実現している。

 電子式の高精度ラダー抵抗切替による「オプティマムゲイン・ボリュームを採用。ボリュームノブは、A-5VLより重みのあるアルミ無垢材パーツを採用し、振動抑制を徹底している。筐体は、1.6mm厚の鋼板ボトムシャーシを使用し、トランス直下の場所にはシャーシと同素材の補強プレートも備えているが、本体の高さは80㎜を維持している。側面は肉厚アルミ材を使用し、天面とは独立した構造になっている。

 こうした設計の見直しにより、音質としては「より重心が下がった低音感を実現した。高域はA-5VLの方が元気はあるが、A-7VLは上品に仕上がっている」という。メインの用途はピュアオーディオだが、テレビと接続する省スペース機器としての利用も想定している。

アルミ材を用いたボリュームノブ。見た目より重量感がある天面。左下に見えるのが、フォノイコライザ部の銅板のスタビライザー

 

 周波数特性は5Hz~60kHz、SN比は105dB。入力端子は光/同軸デジタル×各1(最大24bit/96kHz)、アナログ音声×4、PHONO×1。アナログ出力端子は金メッキを施した削り出し品を採用。スピーカー端子は芯径4㎜まで対応するネジ式で、バナナプラグ対応。なお、A-5VLではスピーカー端子がA/Bの2系統だったが、A-7VLでは1系統とした。そのほか、標準プラグのヘッドフォン出力を備える。

 外形寸法は435×343×80mm(幅×奥行き×高さ)、重量は10.7kg。同社の「RI」対応機器の操作も可能なリモコンや、電源ケーブル(2m)が付属する。

 

背面付属リモコン


(2011年 2月 25日)

[AV Watch編集部 中林暁]