「HI-END SHOW」開幕。DYNAUDIO新スピーカー世界初披露

-GENELECの民生用SP。“水”をイメージしたSPも登場


会場は東京・有楽町の東京交通会館

 オーディオメーカーと輸入商社などが参加する展示・試聴イベント、「HI-END SHOW TOKYO 2011 SPRING」が13日、東京・有楽町の東京交通会館で開幕した。期間は5月13日~5月15日までの3日間。入場は無料。春(5月)と秋(10月)の年2回開催されている。

 交通会館12階のダイヤモンドホールに各社が試聴コーナーを設けており、各社ローテーションで再生デモを行なうのが特徴。




■DYNAUDIO

 DYNAUDIO JAPANのブースでは、イベント初日の午後に到着したばかりという高級ブックシェルフスピーカー「CONFIDENCE C1 Signature」が注目を集めている。

CONFIDENCE C1 Signature写真のモデルの仕上げは「モカ」

 同社「CONFIDENCE」シリーズは、今後「MARKII」にマイナーチェンジしていく予定で、ブックシェルフのハイエンドである「CONFIDENCE C1」(ペア86万1,000円)がその第1弾の「CONFIDENCE C1 MARKII」として今後発売される予定。今回参考展示されたC1 Signatureは、この「MARKII」をベースに、エンクロージャの仕上げを変更し、同社オーナー・Wilfried Ehrenholz氏のネームプレートなどが追加されたものとなる。エンクロージャの仕上げは、モカとボルドーの2色。

 そのため、「CONFIDENCE C1 Signature」とは別に、通常の「CONFIDENCE C1 MARKII」も発売される。詳しい仕様や日本での価格は未定だが、海外での価格は「C1 Signature」がペアで7,300ユーロ、「C1 MARKII」がペアで6,600ユーロとされている。

 なお、同モデルの展示は、ドイツ・ミュンヘンでのオーディオショウに先駆けて行なわれたもので、世界初の展示だという。

表面の仕上げこちらは従来のCONFIDENCE C1


■“水”をイメージしたスピーカー

 スピーカーユニットのコーン紙を手がけるプラス産業が出展。同社製コーンを使ったブックシェルフスピーカー「sui」を参考展示している。今年の暮れあたりの商品化を目指しているというもので、価格は未定。

 コーン紙の設計には有限要素法(数値解析手法)を採用。円錐形状からの磁場構造解析を行なっているという。さらに、磁気回路には扇形形状に、ゆるやかなR曲面を用いており、素材には純鉄を採用。ボイスコイルには和紙材料を紙管とし、導線を巻き付けた部品を用いている

 また、エッジ形状も座屈解析により作られている。コーン紙そのものには、紙幣にも使われる三椏(みつまた)を混合。こだわり抜いた和紙で作られている。また、ユニットのフレームなど、各所に国内メーカーのパーツを使っているのも特徴。

 水の流れをイメージしたというエンクロージャはリアバスレフで、製品名の「sui」には“水”という意味だけでなく、“粋”や“酔”といった意味合いも含まれている。なお、製品化の際にはエンクロージャに、漆塗りの仕上げが施される予定。

水の流れをイメージしたというスピーカー「sui」リアバフレスとなっている。滑らかな曲線を描くエンクロージャに注目。仕上げには漆が使われる予定若干異なるデザインのモデルも参考展示されていた


■GENELECの民生用スピーカー

 GENELECといば、スタジオ用モニタースピーカーで知られるメーカーだが、Escartのブースでは、初の民生用製品「6000A-TM」を参考展示している。5月末の発売を予定しており、価格は73,500円。

 円筒形のアクティブスピーカーとスタンドをセットにした製品で、ユニットは筒の両側に搭載。バスレフとなっており、ポートは下に向けて空いている。アナログの音声入力を搭載し、iPodなどを接続し、気軽に広がりのあるサウンドが楽しめるという。

 製品はACアダプタで動作するが、電源供給用のUSB端子も備えており、iPodのDock端子などを接続することで、プレーヤーの充電もできるのが特徴。USBオーディオ機能などは備えていない。キャリングケースも用意しており、「出張先などでも良い音を楽しみたいというニーズに応える製品」だという。

GENELEC初の民生用スピーカー「6000A-TM」円筒形のエンクロージャ両脇にユニットを搭載スピーカーをスタンドから外し、底面を見たところ。電源供給用のUSB端子を備えている

 同じくEscartが、6月頃の発売を予定しているのが独finite elementeというオーディオラックメーカーが手掛けた、シアター機能を内蔵したサウンドボード「HOHRIZONTAL 51」。価格は89,250円。

 一見するとピアノブラック仕上げの棚に見えるが、前面左右に2基のツイータ、さらに底面左右に各2基、合計4基のウーファユニットを搭載。アンプを内蔵し、天面にiPod用Dockを備え、iPodのサウンドを再生できるサウンドボードになっている。

 さらに、アナログ音声入力やUSB入力を備え、DACも搭載。PCとUSB接続し、PCの音声を再生する事もできる。設置した壁などに音が反射する事で、サイズからは想像できないスケール感のあるサウンドが楽しめるのが特徴という。

独finite elementeのサウンドボード「HOHRIZONTAL 51」前面にツイータを搭載底面に左右各2基のウーファを内蔵
iPod Dockを搭載壁に取り付ける際は専用の金具を使用。スタンド設置も検討しているという


■ポーカロ・ライン

 ポーカロ・ラインのブースでは、先日の「春のヘッドホン祭 2011」でも展示された、新ブランド「KEY Sound」のUSB DAC「UDA923BF」を参考出展。6月中の発売を予定しており、価格は3万~35,000円前後の見込み。

 USBバスパワーで動作するDACで、、Windowsの標準ドライバやASIOドライバが利用できる。USB DACから出力まで全段直結のDC構成で、アナログ信号経路をコンデンサーレスにすることで、高音質化を図っている。

 さらに、初披露の参考展示モデルとして、米Microsharの新製品「DAC311」、「DAC211」、「DAC111」が登場。いずれもコンパクトな筐体のUSB DACで、全モデル24bit/96kHzの音楽データに対応。

新ブランド「KEY Sound」のUSB DAC「UDA923BF」米Microsharの新製品。左から「DAC311」、「DAC211」、「DAC111」背面。左から「DAC311」、「DAC211」、「DAC111」

 「DAC111」は純粋な単体USB DACで、同軸デジタル出力とアナログRCA出力を各1系統装備。残りの2機種も同様の出力を備えているが、「DAC311」はヘッドフォンアンプ機能と、バスコントロール機能を搭載。「DAC211」はヘッドフォンアンプ機能を追加したバリエーションとなる。6月頃の発売を予定しており、価格は未定。、

車載用の「Λ3.16 the mini」

 また、オーディオルームの床などに設置するだけで、「音楽が目覚め、音質はそのままに、お使いのオーディオ機器が信じられないほど鮮明に蘇る」という「Λ3.16 professional」という製品で話題となったAiTECの新製品も展示。

 同じ「Λ3.16」のシリーズに位置する「Λ3.16 the mini」というモデルで、カーオーディオ用の車載バージョンになるという。その効果は「車内の過反射や過吸収などの環境に左右されることなく、さらに様々な雑音に関係無く、全ての音階が聞こえるようになる」という。直径40mm、高さ30mmが本体で、直径65mmのケースに収納される。5月下旬発売予定で、店頭販売価格は118,000円。




■完実電気

 完実電気のブースでは、ヘッドホン祭で披露された、PS Audioのパワープラント「P5」や「P10」が展示されたほか、DAC「PerfectWave DAC」に挿入することで、ネットワーク経由での音楽再生を可能にする拡張ボードとして、4月から発売されている「PerfectWave Bridge」も展示している。

 また、ミックスウェーブが取り扱う製品として、個性的なデザインが特徴の、Sonic Weld製DDコンバータ「DIVERTER192」を参考展示。USBでPCと接続し、同軸デジタル出力を行なうDDコンバータで、USBバスパワー駆動ができ、超低ノイズ電源や精密なクロック回路を備えている。

 同じデザインの「DIVERTER」というモデルが既に発売されているが、同モデルは24bit/96kHzまでの対応であり、「DIVERTER192」では、24bit/192kHzまでに対応したのが特徴。天面に新たにディスプレイを備え、192kHzなどの表示が出るようになっている。Mac OSではドライバ不要で24bit/96kHzで動作するが、Windowsでは専用ドライバが必要で、このドライバが現在開発中だという。6月頃の発売を予定しており、価格は未定。

PS Audioのパワープラント「P5」や「P10」が展示Sonic Weld製DDコンバータ「DIVERTER192」手前にあるのが、24bit/96kHz対応の従来モデル「DIVERTER」

 ミックスウェーブは他にも、既発売のCEntrance製USB DAC/ヘッドフォンアンプ「DACmini」(オープン/実売9万円前後)の新バリエーションとして、スピーカードライブ用のアンプも追加した「DAC mini PX」を参考展示。25W×2chのデジタルアンプを内蔵し、Mac miniなどと組み合わせてコンパクトかつ高音質なデスクトップオーディオと、ヘッドフォン再生環境が構築できるという。このシステムとマッチする、CEntrance製ブックシェルフスピーカーも参考展示された。

CEntrance製USB DAC/ヘッドフォンアンプ「DACmini」「DACmini」にパワーアンプを追加した「DAC mini PX」を参考展示されたCEntrance製ブックシェルフスピーカーも参考展示された

 さらに、Aurorasoundが発売している、24bit/192kHz対応のDACとプリアンプを組み合わせた、ハイブリットDAC「CADA」のデモも行なっている。

 DACのLSIは、バーブラウン「PCM1794A」をモノラルのディファレンシャルモードで動作させ、ステレオで2個採用。アナログバッファアンプ部に、'60年製の直熱双三極管「RCA3A5」を採用し、L/R専用マイナスグリッドバイアス回路によりパラレル接続とすることで、内部インピーダンスを下げ、ノイズや歪率を低減。直熱フィラメントは半導体レギュレータと小型チョークコイルによるDC点火とし、「リップルノイズを皆無にした」という。出力ライントランスには日立金属の「ファインメットコア」を採用している。価格は592,000円。

AurorasoundのハイブリットDAC「CADA」「CADA」の背面

 フックアップは、Antelopeの、最高384kHzに対応したUSB対応DAC「ZODIAC GOLD」と、専用の電源ユニットを展示。384kHzに対応するため、カスタムデザインされたUSBコントローラーを搭載しているのが特徴。独自のジッタ除去技術も搭載し、ジッタ除去/リロック処理されたデジタル音声出力(AES/EBU、S/PDIF)に対応する。「ZODIAC GOLD」の価格はオープンで、実売398,000円前後。

 ほかにも、DPAT Technorgyのデジタルオーディオプレーヤー「MODEL0037 CONTINUUM(コンティニューム)」(1,344,000円)も紹介。約60GBのSSDをストレージとして内蔵し、WAV/FLAC/MP3などの音楽ファイルが再生できるプレーヤーで、24bit/96kHzまでのファイルに対応。

 特徴はネットワーク接続したPCから、VNCを使って本体を遠隔操作し、再生操作などを行なう事。さらに、TCSS技術(Total Clock Synchronized System)という、デジタルオーディオクロックから内部デジタル演算クロックまでを、通常使われているクリスタルオシレーターの10万倍の精度を持つというルビジウムアトミック信号によってシステム全体を総合的にクロック管理する技術を投入。同じ技術を使ったマスタリングシステム「Mastermind」を、民生用プレーヤーにリファインしたモデルとなっている。

Antelopeの、最高384kHzに対応したUSB対応DAC「ZODIAC GOLD」と、専用の電源ユニットDPAT Technorgyのデジタルオーディオプレーヤー「MODEL0037 CONTINUUM」。写真は、ContinuumのラックタイプとAntelopeの10Mルビジウム発信機「Isochrone 10M」を特製ラックにラッキングしたセット製品「Model 0037 Continuum Perfection」(2,184,000円)


■その他

 音元出版ブースでは、今回も3日間に渡り、様々な試聴イベントが開催。前述のDYNAUDIO「CONFIDENCE C1 Signature」も、評論家の炭山アキラ氏のナビゲートのもと、実際に音を聴くことができた。なお、最終日の15日13時からは、歌手のSuaraさんを迎えてのトークショー&ミニライブも予定されている。

音元出版ブースで再生された「CONFIDENCE C1 Signature」イベントスケジュール音元出版ブースではFURUTECHのALPHA DESIGN LABSブランドのポータブルヘッドフォンアンプ「CRUISE」(24bit/96kHz対応のUSB入力装備)など、各社新製品も展示されている
イーフロンティアのブースでは、「ヘッドホン祭」でも展示されたナインウェーブの新イヤフォン「NW-STUDIO」が展示同じくナインウェーブの新製品として、卵型カプセルに入ったイヤフォンも参考展示。中身は上位モデル「NW-STUDIO PRO」だが、ケーブルやハウジングがホワイトモデルとなっており、イヤーパッドもグレーになる。付属ケースを省き、卵型カプセルに収納して販売することで低価格化。「NW-STUDIO PRO」は実売15,800円前後だが、13,800円程度で販売されるという。来月に1,000個限定で販売予定トライオードも新製品を参考展示。右のモデルは300Bを使ったシングルステレオプリメインでフォノイコライザーも搭載した「TRV-A300SER」(6~7月発売で189,000円)
トライオードの「TRX-M845」は、同社リファレンスシリーズ第1弾。845ドライブ、845パラシングル純A級50Wのモノラルパワーアンプで、7~8月に発売予定。価格はペアで120~150万円になるというトライオードのMC/MM対応フォノイコライザ「TRV-EQ4SE」(6~7月発売/94,500円)と、DACの「TRV-DAC1.0」(7~8月/価格未定)も参考展示。DACは6DJ8/FETの切り換えが可能「TRX-HD82」は、6BM8/FETを切り替え可能なヘッドフォンアンプ。6~7月発売予定で、99,750円

(2011年 5月 13日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]