'10年の国内TV市場は前年比88%増。'12年まで減少傾向に
-富士キメラ総研調査。BDプレーヤーは4倍増を予測
富士キメラ総研は9日、テレビやレコーダなどの市場調査をまとめた「デジタルAV機器市場マーケティング調査要覧(2011年版)」を発表した。
調査は3月~5月に行なったもので、テレビ5品目、ディスプレイ3品目、レコーダー/プレーヤー4品目、カメラ5品目、チューナ/STB 5品目、ポータブル機器5品目、ホームオーディオ6品目の計33品目について、国内市場と世界市場(世界市場は28品目)を調査/分析、予測している。また、エンターテインメント/情報機器7品目、デバイス/技術/サービス10品目についても市場動向をまとめている。
■ テレビは2012年まで縮小傾向
2010年の液晶テレビ国内市場(10型以上)は、エコポイント制度の延長などもあり、前年比88.5%増の2,450万台。エコポイントが半減する直前の11月には駆け込み需要で前年同月比2.5倍以上の伸びとなった。2011年は、3月のエコポイント終了を控えた1月~2月が前年同月比1.2倍超となったが、3月以降は東日本大震災の影響で消費が落ち込んだ。
地デジ完全移行の7月(岩手/宮城/福島以外)までは駆け込み需要が期待されるが、需要が前倒しとなった反動で、8月から急激に減少すると予測。また、震災による部材不足で供給減少も予想されることから、通年では市場は大幅に縮小すると見ている。市場縮小は2012年まで続き、2013年以降は買い替え需要により、堅調に拡大すると予測している。
サイズ別では、2010年はエコポイントの恩恵が大きい40型以上の大型製品や、低価格化が顕著だった30型台の製品が、11月までは供給不足になるほど大きく伸長した。一方で徐々に20型前後の割合が拡大し、2011年は寝室や子供部屋などの2台目需要が増加している。
画面サイズ | 2010年 | 2011年見込 | 2015年予測 | '10年比 |
10~19型 | 125万台 | 90万台 | 90万台 | 72.0% |
20~29型 | 660万台 | 450万台 | 400万台 | 60.6% |
30~39型 | 1,420万台 | 700万台 | 470万台 | 33.1% |
40~49型 | 205万台 | 65万台 | 120万台 | 58.5% |
50型~ | 40万台 | 15万台 | 40万台 | 100.0% |
合 計 | 2,450万台 | 1,320万台 | 1,120万台 | 45.7% |
■ BDレコーダは微減、BDプレーヤーは約4倍の増加を見込む
BDレコーダ/プレーヤーの市場は前年比68.3%増の530万台。BDレコーダは2011年をピークに縮小する一方、BDプレーヤーは堅調に拡大すると予測している。
BDレコーダは、2010年にエコポイント制度で急伸したテレビとのセット購入が増加、前年比66.7%増の500万台となった。特に駆け込み需要でテレビが大きく伸びた11月には、BDレコーダも前年同月比2倍を記録した。2011年は7月までテレビと共に伸び、8月以降テレビは減少するが、BDレコーダはテレビと時期をずらして購入されるケースもあることから、2011年がピークになると見ている。
また、東日本大震災の影響で、東北地方における大幅な需要減や部品工場被災による製品供給の遅れなどから、震災前の見通しよりも需要は減少すると見込んでいる。
BDプレーヤーの市場は2010年に前年比2倍の30万台となった。BDレコーダと比べると市場規模は1割程度だが、テレビとのセット購入や、低価格製品の登場で伸びている。パッケージソフトのDVDからBDへのシフトや、低価格化の進行により、2012年にはDVDプレーヤーを逆転すると見込む。それ以降は、上位機種のBDレコーダとの競合も考えられるが、価格差があるため市場には大きな影響はないと見ている。
製品 | 2010年 | 2011年見込 | 2015年予測 | '10年比 |
BDレコーダ | 500万台 | 600万台 | 480万台 | 96.0% |
BDプレーヤー | 30万台 | 60万台 | 140万台 | 466.7% |
合 計 | 530万台 | 660万台 | 620万台 | 117.0% |
■ AV機器市場全体は前年比62.5%増の2兆6,404億円
アンプ、スピーカー、サブウーファなどがセットとなった「パッケージシステム」と、これらが一体となったラック/サウンドバーなどの「一体型サラウンドシステム」についても触れられている。
パッケージシステムの市場は2010年が19万システムで、前年比9.5%の減少。一体型サラウンドシステムの市場は2010年に49万台と、前年比8.9%拡大した。2011年はテレビの売上減により、こうしたオーディオシステムのセット購入も減少すると見られるほか、テレビ需要の小型へのシフトや、震災の影響などで市場縮小は2012年まで続くと予測している。
そのほか、ミラーレス一眼デジタルカメラの2010年の市場は前年比62.5%増の26万台で、今後も市場は拡大推移すると予測している。
デジタルAV機器全体の2010年国内市場は、ホームオーディオやポータブル機器、ディスプレイ(シアタープロジェクタ、ポケットプロジェクタなど)が縮小したものの、テレビやレコーダ/プレーヤー、チューナ/STB、カメラの拡大で、前年比29.6%増の2兆6,404億円となった。しかし、2011年は1兆7,752億円へ大幅に減少すると見ている。
2011年以降はテレビ需要が低迷すると見られる一方、スマートフォンやスレート端末需要の急拡大や、インターネット対応テレビと連動した機器の登場などで、テレビの需要も喚起されると予測している。
(2011年 6月 9日)
[AV Watch編集部 中林暁]