ソニー、2.1倍明るい3D投写が可能なSXRDプロジェクタ

-約66万円の「VPL-VW95ES」。クロストークも低減


SXRDフロントプロジェクタ「VPL-VW95ES」

 ソニーは、従来機より約2.1倍明るく、クロストークも抑えた3D影像を表示できるというSXRDプロジェクタ「VPL-VW95ES」を10月20日に発売する。価格は66万4,650円。10月上旬から銀座・ソニーショールーム、ソニーストア 大阪にて先行展示が予定されている。

 解像度1,920×1,080ドットの、0.61型SXRDパネルを使ったプロジェクタ。0.2μmの狭画素間スペースにより、メッシュ感の少ない滑らかな映像表現を可能にするという。また、パネルの高速応答性能を活かし、240Hzで駆動させる事で、フレームシーケンシャル方式のフルHD 3D表示に対応。アクティブシャッター方式の新型3Dメガネ「TDG-PJ1」も2個同梱し、同期用のトランスミッタもプロジェクタ本体に搭載している。

 入力された映像を解析し、明るさに応じてランプから投射する光の量をアイリス(絞り)で自動制御する「アドバンストアイリス 3」を搭載。ダイナミックコントラスト比150,000:1を実現。光源は200Wの高圧水銀ランプで、高効率化した光学エンジンと組み合わせる事で、輝度1,000ルーメンを実現している。

 3D映像投写時でも、新型ランプとチューンアップした周辺回路を組み合わせたランプ制御技術を活用。左目用、右目用の映像表示と 3Dメガネのシャッター開閉に合わせてランプの輝度をダイナミックに制御し、従来機「VPL-VW90ES」(出荷設定時の輝度)と比較し、約2.1倍明るい3D映像を実現したという。

 シャッターが開いているタイミングで、2D映像視聴時より高い輝度でランプを光らせる一方、 左目用、右目用の映像を書き換える間のクロストークが出やすいタイミングではランプの輝度を下げる仕組みも採用。従来モデルよりクロストーク現象を抑え、くっきりした3D表示も実現したとしている。

 3Dメガネとの同期用トランスミッタは、プロジェクタ本体のレンズ周辺部に内蔵。スクリーンから5m以内の視聴距離であれば、シンクロ信号をスクリーンに反射させ、同期できる。5m以上の場合は。別売トランスミッタ「TMR-PJ1」を市販のLANケーブルで接続する。

 2D、3Dそれぞれに、専用の画質モードを搭載。それぞれに7つのプリセット画質モード、お好みの設定を保存できる2つのモードを加えた合計9つのモードを用意。3種類の「Cinema」モード(フィルム画質、デジタルシネマ画質、プロフェッショナルモニターに合わせた画質)、遅延が少なく、PlayStation 3などの3D立体視ゲームにも最適という「Game」モード、デジタル写真用の「Photo」モードなどが用意されている。

 「2D→3D変換機能」も搭載。2D映像から擬似的な3D映像を表示でき、効果は3段階で調節可能。また、3D映像の奥行を5段階で調整したり、3Dメガネの明るさを5段階で調整する機能なども備えている。

 リモコンは新型の「RM-PJ21」で、3Dに関する設定を行ないやすくした「3D」ボタンを追加。9つの画質モードを直接選べるボタンも備えている。

 シネマスコープ(2.35:1)の映像を、16:9のプロジェクタで投写するためにはアナモフィックレンズを使用したり、レンズ・ズーム・シフトを使ってサイズや位置を調整する必要があるが、これを手軽に行なうための新機能、新「ピクチャーポジション」を搭載。事前に調整したポジションを記憶し、簡単に呼び出せる機能。シネマスコープサイズやビスタサイズだけでなく、字幕位置にも配慮し、最大5つの画面サイズをメモリー可能。リモコンから呼び出す事ができる。

 高度な画質調整機能も搭載。黒補正機能は±3ポイントの7段階調整、同じ補正段階に対応した白補正調整機能も搭載する。ガンマモードは11あり、約500通りの調整が可能。ソニーが推奨する、フィルムが持つ画質性能を再現した画質モード、デジタルシネマの画質モード、ソニーのプロフェッショナルモニターと同等の画質モードの3種類を用意。色彩は、RCP(リアルカラープロセッシング)を用いて、色あい、彩度、明るさを調整できる。

 レンズは1.6倍の電動ズームで、「ARC-F(オールレンジクリスプフォーカス)」レンズを採用。アルミの鏡筒にガラスレンズを収納、全レンズに前面マルチ反射防止処理コーティングを施し、高い解像度を実現したという。投写画面サイズは40~300型。電動レンズシフト機能(上下65%、左右25%)も搭載する。

 入力端子はHDMI×2、コンポーネント×1、コンポーネント兼用のアナログRGB(D-Sub 15ピン)×1を装備。リモート端子(RS-232C)、RI入力、3D同期用端子なども備えている。

 冷却のエアフローシステムを最適化したことで、ファンを低回転化。風切り音と駆動振動を低減した。さらに、エアフローをストレート化し、低風量で冷却できるランプハウジングを採用。ファンノイズは約20dBまで低減したという。

 外形寸法は470×484.9×179.2mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約11kg。消費電力は最大300W、スタンバイ時で8W、待機時で0.5W。別売で天井取り付け金具「PSS-H10」(80,850円)、交換用プロジェクターランプ「LMP-H202」(31,500円)などを用意する。


(2011年 9月 6日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]