「HI-END SHOW」開幕。オンキヨー新製品が一挙に
-MM01Aのフロア型登場。“アカエイ”アンプも
有楽町の東京交通会館 |
オーディオメーカーと輸入商社などが参加する展示・試聴イベント、「HI-END SHOW TOKYO 2011 SPRING」が7日、東京・有楽町の東京交通会館で開幕した。期間は10月7日~9日までの3日間。入場は無料。毎年春(5月)と秋(10月)の年2回開催されている。
交通会館12階のダイヤモンドホールに各社が試聴コーナーを設けており、各社ローテーションで再生デモを行なうのが特徴。
各社の参考出品や新製品を中心にレポートする。
■オンキヨー
オンキヨーブースでは、前日の6日に発表したばかりの新製品ラインナップを一挙に展示。デモ時間には、実際に音を聴く事もできる。
用意されたのは、USB DAC機能(24bit/192kHz、アシンクロナス伝送対応)も備えたステレオプリメインアンプのリファレンスモデル「A-9000R(S)」(10月29日発売/23万5,200円)を筆頭に、9000RからUSB DAC機能を省いて、「クアッドプッシュプル3段インバーテッドダーリントン回路」をパラレルプッシュプル構成とするなどして低価格化した「A-9070(S)」(11月中旬発売/17万6,400円)。
ステレオプリメインアンプのリファレンスモデル「A-9000R(S)」。USB DAC機能も備えている |
さらに、DLNAやradiko.jpに対応し、FLAC/WAV/MP3などの再生に対応、24bit/192kHzのデータもサポートしたネットワークオーディオプレーヤー「T-4070(S)」(12月中旬/10万5,000円)。ウォルフソン製の24bit/192kHz対応DAC「WM8742」をL/Rチャンネル独立で搭載するCDプレーヤー「C-7070」(10月29日発売/8万4,000円)。
価格を抑えたプリメイン「A-9070(S)」 | 筐体には肉厚のアルミ素材を使っており、梁構造で回路基板を支持し、振動対策をしているのが特徴 | ネットワークオーディオプレーヤー「T-4070(S)」 |
いずれのモデルにも、デジタル音楽再生時の“動的ノイズ”を大幅に削減するという「DIDRC」回路を搭載。リファレンスシリーズのみで搭載されていた「DIDRC」が、購入しやすい価格帯の製品でも楽しめるようになったのも特徴と言える。
CDプレーヤー「C-7070」 | デジタル音楽再生時の“動的ノイズ”を大幅に削減するという「DIDRC」回路を搭載 |
■サエクコマース
サエクコマースのブースでは、リボンツイータを採用したコンパクトブックシェルフとして人気の、mhiブランド(米MICRO HOME INSTALLATION製)「Evidence MM01A」の“トールボーイ版”と言える新製品を参考展示。予定価格はペアで189,000円。
モデル名は「MM07A」で、「MM01A」と同様に、ツイータにピュアアルミ製のTrueリボンを採用。ウーファはダブルウーファになっている。細かな仕様は未定で、年明け春頃の発売を目指しているという。
右が既発売の「Evidence MM01A」、左が参考展示されたトールボーイ「MM07A」 |
■フックアップ
その独特の外見で、一際注目を集めていたのが、フックアップブースに出展された「Stingray iTUBE」。'97年に、米国のManley社が発売した「Stingray」という真空管プリメインアンプをスタートとしており、そのアンプにRF/IRリモコンを追加した「Stingray II」というモデルと、iPod用Dockを備えた「Stingray iTUBE」というモデルが、新たに作られた。会場に展示されたのは、このiPod対応の「Stingray iTUBE」で、10月下旬発売、価格は682,500円となる。「Stingray II」も10月下旬発売で、62万円。
Stingrayは“アカエイ”を意味しており、その名の通り、上から見るとエイのような筐体デザインを採用しているのが特徴。奇抜なスタイルを狙ったものではなく、信号経路レイアウトの純度と対称性を追求した結果のデザインだという。
「Stingray iTUBE」 | 上から見たところ |
付属リモコンも本体に負けず劣らずのダイナミックなデザイン&サイズが特徴。「Stingray iTUBE」では搭載したiPodの操作もできる(iPodとの接続はアナログ)。リモコンは無線タイプだが、本体は赤外線の受信も可能で、赤外線の学習リモコンなどから操作する事も可能。ヘッドフォンアンプ機能も備えている。
ダイナミックなデザイン&サイズのリモコン | 左チャンネル側の背面 |
■スペック
スペックのブースでは、同社ステレオプリメインアンプの第3弾モデルとして、9月16日から発売が開始されている「RSA-M1」(609,000円)をメインにアピール。「RSA-F1」と同一のデジタルパワーアンプユニットを採用しながら、新開発のオイル・コンデンサーと組み合わせることで、米国ヴィンテージオーディオ機器特有の、“濃厚で多彩かつ重厚感あふれるサウンド”の獲得も目指した製品。再生デモでは、JAZZなどで濃厚・重厚な旨みのあるサウンドでありながら、現代的な抜けの良さも併せもつ「M1」ならではのサウンドが体験できる。
このオイル・コンデンサーは、往年の米国製真空管アンプなどに搭載された、ヴィンテージのコンデンサと共通する音質面の特長を持っており、M1に搭載されているものは、米Arizona Capacitorsが、M1専用に開発したもの。オイル・コンデンサ単体でもスペックから販売している。
ステレオプリメインアンプ「RSA-M1」 | 「RSA-M1」の背面 | 「RSA-M1」に搭載されているオイル・コンデンサー |
また、会場には、同社の第1弾製品であり、スピーカーからの逆起電力を吸収する事で、音質を高めるというオーディオ用周辺機器「RSP-101」に、このオイル・コンデンサーを使った新モデルも参考展示。M1と同様、音に濃厚さや重厚さが出てくるという。12月発売予定で、価格はペアで6万円程度になる予定。
さらに製品化は未定だが、同社アンプ製品と組み合わせるSACDプレーヤーの試作機も展示された。電源が別筐体になっており、あくまで「スペックがプレーヤーを手掛けるなら、このような製品になるだろうという試作機」とのことだが、デモ時間に音を聴く事ができる。
手前が「RSP-101」、奥にあるのがオイル・コンデンサーを搭載した新製品 | SACDプレーヤーの試作機も参考展示された。電源が別筐体になっている |
■ヘッドフォン/イヤフォン関連
ゼンハイザーブースでは、同日発表されたヘッドフォンの新製品を展示している。いずれも年内発売予定で、価格は未定。デザインに特徴があるHD400系の「HD 449」、「HD 439」、「HD 429」、「HD 419」と、コンパクトなHD 200系の「HD 239」、「HD 229」、「HD 219」。詳細は別記事で紹介している。
デザインに特徴があるHD400系 | コンパクトなHD 200系 |
■ラトック
ラトックのブースでは、高精度なルビジウムを使ったクロックジェネレータを参考展示。直販のみのモデルとして、早ければ年内の発売を目指しているというもので、特徴は40~50万円程度と、ルビジウムクロックジェネレーターとしては価格を抑えている事。背面にシリアルポートも備え、PCと接続し、現在のクロック周波数の確認や変更ができるようになる予定。
直販限定ではない、通常モデルも用意する予定で、そのモデルにはクロック周波数を確認するディスプレイなどを備え、別のデザイン&価格になる予定。
デザインに特徴があるHD400系 |
さらにその後には、クロック入力を備え、光/同軸デジタル入力に対応し、USB DAC機能も備え、iPodとのデジタル接続も可能なDACを開発予定。価格としては20万円以下を目指しているという。
■その他
ミックスウェーブのブースでは、10月上旬発売の台湾Mhdt Laboratory製USB DDコンバータ「USBridge」(オープンプライス/店頭予想価格19,500円前後)を展示。USB Audio Class 2.0に対応したUSB DDコンバータで、USB 2.0入力1系統と、光/同軸デジタル、I2Sを各1系統備え、16/24bit、44.1~192kHzに対応する。2系統の同時出力も可能。
さらに、Red Wine Audioの新製品も参考展示。Red Wine AudioのDAC内蔵ヘッドフォンアンプ「Isabellina(イサベリーナ) HPA」は、バッテリを内蔵し、バッテリを充電してから使用することで、電解コンデンサなどを排除でき、電源ノイズの発生を抑制しているのが特徴だが、新製品でもこの特徴を踏襲。
DACはUSB用と光/同軸入力用の2系統を備えており、スイッチで切り替え可能。USB接続時は16bit/48kHz対応だが、光/同軸入力時は24bit/96kHzまで対応。真空管も備えており、ラインアウト・ヘッドフォンアンプのどちらも、真空管を通した音が楽しめるという。発売時期は未定で、価格は40万円台になる見込み。
台湾Mhdt Laboratory製USB DDコンバータ「USBridge」 | Red Wine Audioの新製品 | モニタースピーカーとして様々なアーティストやエンジニアに使われているというSONODYNEのモニタースピーカー。コンシューマ向けに販売する事も検討しているという |
台湾のメーカーKingRexも出展。32bit/384kHzまでの入力に対応した、USB DDC「UC192」(32,900円)や、そのDDCをさらに高音質駆動させるというバッテリユニット「U Power」、電源部を別筐体としたヘッドフォンアンプ兼プリアンプ「Headquarters/HQ-1」などを開発しており、いずれも価格を抑えているのが特徴。だが、現在日本での代理店を探している状態だという。
32bit/384kHzまでの入力に対応した、USB DDC「UC192」(左)と、バッテリユニット「U Power」 | ヘッドフォンアンプ兼プリアンプ「Headquarters/HQ-1」など、展開しているモデルを一堂に紹介 |
音元出版のブースでは、今回も豊富なイベントを予定。7日にはTADの新フロア型スピーカー「Evolution one TAD-E1-WN」の試聴イベントが行なわれたほか、今後もPCオーディオの体験イベント、アクセサリの使い方を紹介するイベントなどが予定されている。さらに、ブース内にはPCオーディオ関連の新製品なども多数展示されており、ヘッドフォンで自由に試聴する事も可能だ。
音元出版のブース。内側にあるのがTAD「Evolution one TAD-E1-WN」 | PCオーディオ系の様々な新製品が揃えられている | ブースイベントスケジュール |
(2011年 10月 7日)
[AV Watch編集部 山崎健太郎]