キヤノン、無線LAN対応などビデオカメラ「iVIS」3機種

-スマホ/タブレット向けMP4録画。DLNAでTV表示


無線LAN内蔵「HF M52」のブラックモデル

 キヤノンは、ビデオカメラ「iVIS」シリーズの新製品として、スマートフォンやタブレット端末との連携を実現し、無線LAN機能も内蔵した「HF M52」と、「HF M51」の2モデルを3月上旬に発売する。価格はどちらもオープンプライスで、店頭予想価格は「HF M52」が85,000円前後、「HF M51」が8万円前後。32GBメモリを内蔵する。

 さらに、ファミリー向けモデルとして同じく32GBメモリを内蔵した「HF R31」も3月上旬に発売。価格はオープンで、店頭予想価格は7万前後。


 



■スマートフォン/タブレット連携強化

 3機種に共通する特長として、スマートフォンやタブレットとの連携を強化。最大の特徴は、AVCHDの動画撮影に加え、スマートフォンやタブレットでの視聴を想定したMP4ファイル形式での撮影にも対応した事。

 MP4撮影時は1,280×720ドットで、MPEG-4 AVC/H.264のMain Profile、記録レートは9/4Mbps。フレームレートは30p/24pから選択可能。音声はAACとなる。最大記録時間は30分で、最大ファイルサイズは4GB。拡張子は.mp4で記録される。

 AVCHDで撮影する場合は、1,920×1,080/1,440×1,080ドット、記録レート24/17/12/7/5Mbpsから選択。MPEG-4 AVC/H.264のHigh Profileで、音声はAC3。フレームレートは60i/30p/24pから選択。最大記録時間は12時間、最大ファイルサイズは2GBとなる。ファイル拡張子は.MTS。なお、AVCHDとMP4を同時に記録する事はできない。

無線LAN内蔵「HF M52」のレッドモデル「HF M51」のシルバーモデル「HF R31」のレッドモデル
DLNAサーバーとして動作しているところ

 これに加え、M52はIEEE 802.11b/g/nの無線LAN機能を内蔵。DLNAにも対応しており、ビデオカメラ内の撮影動画(AVCHD)を、対応テレビから直接ネットワーク経由で視聴する事が可能。

 また、PCに付属ソフト「Network Utility」をインストールする事で、無線LANを介してPCに動画を保存でき、PCからYouTubeなどにアップロードする事も可能。前述のMP4モードで撮影した動画であれば、iPhoneから視聴・保存ができ、iPhoneからYouTubeなどにアップロードする事もできる。

 そのためのアプリとして、iOS用の「Movie Uploader」を無償提供。YouTubeだけでなくFacebookへのアップロードにも対応しており、対応OSはiOS 4.0~4.3、5。iPhone 4/4S、iPad/iPad 2、第4世代touchに対応。なお、Android版アプリについては「現在のところ予定はしていない。検討課題の1つと認識している」(キヤノン)という。

 なお、AVCHDで撮影した動画の場合、Webへのアップロードに適したMPEG-2形式に、カメラ内でダウンコンバートする機能も備えている。


アプリ「Movie Uploader」をiPadにインストールしたところ無線LANでビデオカメラと接続アプリからビデオカメラの中を見る事ができる

 無線LANはWPSに対応し、3ステップで簡単に接続やセキュリティ設定が可能。接続先は3カ所保存でき、一度設定すれば、次回からは接続先を選ぶだけでネットワークにアクセスできる。

 3機種に付属するソフトは2種類あり、AVCHD用にピクセラ製「VideoBrowser Ver.2.0」を用意。YouTubeやFacebookへのアップロードに対応するほか、M52のみ、ビデオカメラから外付けHDDに直接保存した動画のフォルダを自動検出し、PCのライブラリに登録できる機能も備えている。対応OSはWindows XP/Vista/7。

 MP4ファイル向けには「ImageBrowser EX」というソフトも同梱。MP4動画と静止画を1つのブラウザで管理・編集・共有できるもので、MP4のカット編集にも対応。YouTube/Facebookへのアップロード機能も備えている。対応OSはWindows XP/Vista/7、Mac OS 10.6/10.7。

 



■撮像素子

 上位モデルのHF M52/M51は32GBの内蔵メモリを搭載。撮像素子に、業務用モデルで採用したものと同じ、セルサイズが大きな「HD CMOS PRO」を採用。サイズは1/3型で、総画素数は約237万画素、有効約207万画素。2011年モデルと比べ、マイクロレンズとカラーフィルターの透過率を改善。光の感度が20%向上し、最低撮影照度が従来モデル(M41)の1.5ルクスから、1.2ルクスになった(シャッタースピード1/30秒時)。

無線LAN内蔵「HF M52」

 HF M52とM51の違いは、前述の通り無線LANの有無だが、M52のみに搭載されている機能として、外付けHDDへのバックアップ機能がある。これは、ビデオカメラと外付けHDDを直接USB接続し、PCを使わずにバックアップができるもの。HDDを接続したビデオカメラから、テレビなどに撮影動画を表示する事もできる。

 下位モデルのR31は、有効約207万画素の1/4.85型CMOSセンサーを採用。独自のオンチップノイズリダクションによりクリアな画質を実現したという。さらに、従来モデルと比べ、フォトダイオードの上にあるマイクロレンズの透過率を改善。約3%の感度向上を実現している。

 

M52/51の「HD CMOS PRO」は、マイクロレンズとカラーフィルターの透過率を改善。光の感度が20%向上したR31のCMOSセンサーも、マイクロレンズの透過率を改善する事で、約3%の感度向上を実現


■撮影補助機能

 3機種とも手ブレ補正機能は従来モデルと大きな違いはないが、撮影状況に応じて、4種類のブレ補正制御をカメラが自動的に切り替える「マルチシーンIS」に対応。デフォルトでは、歩き撮りでもブレを抑える「ダイナミックIS」モードだが、望遠時には、体の揺れなどの低周波の手ブレを強力に補正する「パワードIS」、角度ブレやシフトブレを補正する「マクロIS」を用意している。さらに、三脚撮影を検知すると、自動的に三脚モードとなり、手ぶれ補正機能は停止される。

 M52/M51の焦点距離は、35mm換算で43.6~436mmの光学10倍。F値は1.8~3.0。動画撮影時はデジタル併用で200倍ズームも可能。

 R31のレンズは、35mm換算で38.5~1,232mmの光学32倍ズーム。撮像素子の有効エリアを効率的に使用する事で、ズーム領域を拡大させるアドバンストズーム使用時では51倍の33.9mm~1,729mmとなる。なお、AUTOモードでは光学ズーム+マルチシーンISで、アドバンストズームはマニュアルモードで使用可能。デジタル併用では1,020倍のズームも可能。

音声のノイズカットモード。赤いラインが雑音を抑えたノイズカットモードの特性

 M52/M51では、音声面も強化。撮影場面に合わせてシーンを選ぶと、最適なオーディオ設定で録音できるという「オーディオシーンセレクト」を搭載。音の広がりや音色を豊かに収録するという「音楽」や、正面に立った人の声をメインに収録する「スピーチ」、ロードノイズの多い走行中の自動車内でも、ノイズや環境音を抑え、音声を明瞭に収録できる「ノイズカット」などから選択できる。

 3機種共通の撮影補助機能として、シナリオモードを用意。機能は強化され、従来モデルの10テーマから、13テーマに拡大された。これは、学校行事やイベントなど、テーマを選び、ガイダンスに沿って撮影していく事で、本格的な動画ができるというもの。新たに「赤ちゃん誕生」、「料理」、「ビデオダイアリー」が追加される。


撮影アシスト機能のイメージ

 また、テーマの追加だけでなく、撮影アシスト機能自体も強化。従来モデルでは、例えば「旅行」のテーマを選ぶと「ワクワク・ドキドキ・準備万端!」、「旅のスケジュール紹介」、「旅の仲間を紹介!」など、撮り忘れを防ぐ撮影シーンの提案が行なわれたが、新モデルでは「旅の仲間の表情を順番に撮影しましょう」、「相手の目線の高さにカメラを合わせて構え、固定すると良いでしょう」、「おすすめ撮影時間は4秒」など、撮り方のコツや、より具体的な撮影アドバイスが表示されるようになっている。

 付属のスタイラスペンを使い、映像にデコレーションできる「タッチデコレーション」機能も強化。27種類の合成フレームが選べ、従来は番号で表示されていたアニメーション効果が、アイコンで表示されるようになり、よりわかりやすくなっている。

 液晶モニタは全機種3型で、23万画素相当のフルフラットタイプ。タッチした被写体にフォーカスを合わせるタッチフォーカス機能や、タッチ追尾、タッチ露出も可能。


R31R31とR51のサイズ比較

 



■サイズと重量

 M52/51のサイズと重量は同じ。68×121×64mm(幅×奥行き×高さ)で、従来モデル(M41)と比べて、体積で15%、重さ約10%の小型・軽量化を実現。重量は50g軽くなり、約310g。

M51を横から見たところM52とM51のサイズは同じ

 R31は、54×115×55mm(幅×奥行き×高さ)で、従来モデル(R21)と比べ、容積比で約20.8%の小型化を実現。部品点数も15%削減する事で、20gの軽量化を実現した、約250gとなっている。

 M52/51用にはウォータープルーフケース「WP-V4」を発売。本格的な水中撮影が可能で、水深40mまで対応できるほか、64mm径のフィルタやワイドコンバージョンレンズなどを取り付け可能。水中モードが選択できるほか、水上モードも用意されており、水上での使いやすさも考慮したという。

 なお、iVISのコミュニケーションパートナーとして、新たに芦田愛菜ちゃんの起用が決定しており、CMなどへの出演も予定されている。


(2012年 1月 19日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]