「東京スカイツリー」開業まで2カ月。水族館もオープン

-100%人工海水。“魚に近い”プール型水槽など


左から、オリックス不動産の専務執行役員 運営事業本部 森川悦明氏、キャラクターのソラカラちゃん、テッペンペン

 自立式電波塔として世界最高の634mを誇る「東京スカイツリー」が5月22日に開業。同じく22日には商業施設やオフィスなどの「東京スカイツリータウン」がオープンする。

 その約2カ月前となる3月19日、東京スカイツリータウン内でのオープンを控えた都市型水族館「すみだ水族館」の施設概要などを説明する記者発表会が行なわれた。


すみだ水族館のロゴマーク

 すみだ水族館は、「いきものを見学するだけの水族館に留まらず、展示はもちろんイベントや体験プログラムなどを提供する」としており、テーマは“いのちのゆりかご~水 そのはぐくみ~”。「都市にいながら、『いきもののいのち』とそれをはぐくむ『水』を体感していただける施設を目指す」という。

 大小合わせて64本の水槽に、約400種類/1万点の展示を計画。生き物の数や希少性などを重視した従来型の水族館とは異なり、水草の光合成と魚や微生物の呼吸で循環し、共生する自然の姿を再現した展示や、飼育スタッフの世話の様子を観られるバックヤード展示、ペンギンやオットセイと飼育スタッフに近い距離から観られる水量約350トンの屋内開放プール型水槽などを特色とする。


展示イメージ「水のきらめき ~自然水景~」「ゆりかごの連なり Part1 水の記憶 ~クラゲ~」「ゆりかごの連なり Part2 小さな仲間たち ~アクアギャラリー~」
「つながるいのち ~東京湾・東京諸島~」「いのちのゆりかご・水の恵み ~東京大水槽~」「水といのちの戯れ ~ペンギン・オットセイ~」

 この水族館は、2004年にリニューアルした新江ノ島水族館や、3月14日にオープンした京都水族館を手掛けたオリックス不動産が、スカイツリータウンを運営する東武鉄道に提案した形で実現。水槽内の海水は全て人工海水としたことで、CO2排出が伴う海水運搬を不要としている。100%人工海水を採用したのは、京都水族館に続き2館目で、関東では初としている。

 休館日は無く、営業時間は9時~21時。入場料金は、大人2,000円、高校生1,500円、小中学生1,000円、3歳以上の幼児が600円。最寄駅は、東武伊勢崎線の「スカイツリー駅」(3月17日に業平橋駅から改称)。収容人数は約2,000人としており、混雑時には整理券を配るなどして入場制限を行なうこともあるという。

 初年度の目標入場者数は175万人。2年目以降は200万人の集客を維持することを目指している。オープンに先駆け、4月1日より年間パスポート(料金は通常の2回分)の販売や、団体予約の先行受付、法人会員の受付を開始する。

すみだ水族館の外観イメージ料金などの施設情報東京スカイツリータウンの概要


■ 何度でも来たくなる施設に

オリックス不動産の森川悦明氏

 オリックス不動産の専務執行役員 運営事業本部 森川悦明氏は、'04年の新江ノ島水族館のリニューアルを振り返り、「ミナミゾウアザラシやラッコが開業後に亡くなって大変だと思ったが、それに勝る感動を与えるプログラムなどによって、多くのファンを作ることができた。その過程で感じた思いを、新たな場所で伝えるために開設したいと願っていた」と述べた。

 また、「スカイツリーを見て、634mの高さまで一分の狂いもなくつなげるという“技術の粋”を感じた。水族館は古典的か、というとそうではない。海中に600m潜ることはなかなかできないので、知られている部分は少ない。まだ知られていないことへ夢を膨らませることへの感動の入り口を担っていくことができれば」とした。


東武鉄道の木村吉延氏

 東武鉄道の賃貸事業統括本部 SC事業部の木村吉延課長は、すみだ水族館の開業を決めた経緯を説明。「タワー施設のため、経年とともに来場者数が減少することや、天候が来場動機に影響するといった懸念があったため、別の大型集客施設が必要と考えていた。オリックス不動産からの水族館という提案は想定外だったが、既に運営している新江ノ島水族館の発想や、何度でも来たくなる施設を目指すことなど、私たちの目指すコンテンツと一致した」と述べた。


発表会場にも様々な生き物の水槽が用意された。左写真の水槽はミズクラゲとデバスズメダイ、右はハナミノカサゴ発表会が行なわれた東京ファッションセンターから見た、東京スカイツリー


(2012年 3月 19日)

[AV Watch編集部 中林暁]