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プラネタリウム“天空”がリニューアル。43.4ch音響+4Kレーザー投映機に
2017年11月21日 18:55
東京スカイツリー開業5周年に合わせて、11月22日にリニューアルオープンする「コニカミノルタプラネタリウム“天空” in東京スカイツリータウン」。報道関係者向けに事前公開され、目玉となる43.4ch立体音響「SOUND DOME」システムや刷新された投影機材、三日月をモチーフにしたプレミアムシートなどの施設内装が披露された。
投影システムを刷新。高輝度LED光源を新たに採用した光学式投映機「Infinium S(インフィニウム エス)」や、ソニーのネイティブ4Kレーザープロジェクタ2台を使ったデジタルプラネタリウムシステム「Media Globe Σ(メディアグローブシグマ)」に加え、ドームの裏側や床下に配置した43.4chスピーカーを駆使する立体音響「SOUND DOME(サウンド・ドーム)」システムを新たに導入。通常のサラウンドよりもきめ細かな音像移動を実現するという。
リニューアルコンセプトとして、夕暮れの星が瞬き始めるわずかな時間帯に辺り一帯が青に染まる現象にちなんだ“Magic Blue(マジック・ブルー)”を掲げ、マジック・ブルーのような「特別な瞬間」を体感できるエンターテインメント施設を目指す。
オープン初日の22日から、通常のプラネタリウム番組に加えてリニューアル記念の新番組2つを上映開始。SOUND DOMEシステムに対応した番組「フランス 星めぐりの空で」(約40分)と、ヒーリングプログラムの「きみを乗せたこの列車の向かう先には 美しい星空が待っている~Ticket to Starry Night~」(約45分)で、上映期間は'18年9月17日まで。
料金はプログラムによって異なるが、「フランス 星めぐりの空で」は'18年1月31日まで特別価格1,500円で鑑賞できる(通常料金は1,700円)。
プラネタリウム“天空”の場所は、複合商業施設「東京スカイツリータウン」(墨田区押上1-1-2)のイーストヤード7階。
リアルな星空や高精細な映像を投写する投映システム
プラネタリウム“天空”ではコニカミノルタの光学式投映機と、デジタルプラネタリウムシステムのMedia Globe Σを活用した作品上映を行なう。
これまで光学式投映機の光源には白熱ランプを使っていたが、高輝度LEDに置き換えることで星々の明るさを上げてよりきれいな星空を映せるようにした。さらにデジタルプラネタリウム投写機は、JVCのD-ILA 4K2Kプロジェクタ×2からレーザー光源を採用したソニーのネイティブ4Kプロジェクタ×2に刷新。4,096×2,160ドットのSXRDパネルとレーザー光源で高精細な映像投写が行なえ、階調表現も向上しているという。投写用レンズはコニカミノルタ製。静音性は35dBで従来よりも静かに鑑賞できるとする。
「リッチな音場再現」を特徴としており、ドーム裏側には天頂部まで頭上360度を覆うように合計43個のスピーカーを配置し、床下のサブウーファ4個と合わせた計43.4chスピーカーで音響システムを構築。これを、ドイツのミュージアム・ラボラトリーZKMで研究されている3D音場システム「Sound Dome」をベースにした専用ソフトウェアでコントロールし、ドーム内で音像を前後左右や上下に動かしたり、回転させることが可能。また、楽曲のボーカルやピアノ、ストリングスなど各パートの音源をドームに合わせて定位させることも可能だという。
なお、SOUND DOME対応コンテンツは、'18年9月17日まで上映する「フランス 星めぐりの空で」の1番組のみとなる。
シート配列は傾斜型タイプ。従来のものから全席入れ替えて、新たにインバウンド旅行者向けの多言語音声再生システムとイヤフォンジャックをシート脇に内蔵した。日本語/英語/中国語/韓国語に対応し、来場者は手持ちのイヤフォンを挿して利用できる。「ナレーションの声優の声をより鮮明に聴きたい」という需要にも応える。イヤフォンは館内でも貸し出す。
さらに、前列には三日月デザインの新たなプレミアムシートを導入。池袋のコニカミノルタプラネタリウム“満天”で導入している「芝シート」が好評なことを受けたもので、椅子やソファの特注家具の製作などを行なうミネルバが手がけた。3席限定で、利用料金は1シート2名(小学生以上)で4,000〜4,400円(プログラムによって異なる)。
ショップやホワイエ(ロビー)もリニューアル。カップルや若い女性を主なターゲットとし、ショップは「星空のある豊かな生活」をコンセプトに、星や宇宙にまつわる雑貨などを取り揃えた。全面改装したホワイエは、ドーム入場まで壁面全体を使ったプロジェクションマッピングを楽しめる空間になっている。
コニカミノルタプラネタリウムの持田啓介社長は「東京スカイツリー開業5周年に合わせ、今回のプラネタリウム“天空” のリニューアルを行なった。来場者はオープン以来累計245万人となった。年間で40万人近く、池袋のプラネタリウム“満天”と合わせると年間80万の方にご来場いただいている。プラネタリウムメーカーとして、科学館などに投映機器を作って納めるだけではなく、自社でコンテンツを作り自社施設で楽しんでもらうことを直営事業としてやっているのが特徴で、来場者に(星を見る)喜び、驚き、感動を伝えていきたい。2018年冬には有楽町マリオンにプラネタリウムを中心とした複合型映像体験施設の開設も計画している」とした。
新番組「フランス 星めぐりの空で」は、小説「星の王子さま」の作者・サン=テグジュペリにちなみ、フランス各地の星にまつわる施設を旅していくコンセプトの作品。セーヌ川越しのパリの夜景や、夜空に浮かぶモンサンミッシェル、フランス各地の天文台から見える満天の星々などの実写映像の合間に、現地で見られる星空を光学式投映機で再現する。上映時間は約40分。
SOUND DOMEシステムに対応しており、音楽や効果音だけでなく、実際の街の雑踏や列車の走行音などの環境音も立体的に表現する。シンガーソングライターのAimerが楽曲提供しており、ナレーションは声優・梅原裕一郎が担当する。
新番組のもうひとつがヒーリングプログラム「きみを乗せたこの列車の向かう先には 美しい星空が待っている~Ticket to Starry Night~」で、オリジナルのアロマの香りとともに、作家・山崎ナオコーラの新作書き下ろしエッセイを交えた星空投映が楽しめる。声優・早見沙織がナレーションを担当。上映時間は約45分。