クリプトン、24bit/192kHz対応の新スピーカー「KS-3HQM」
-オールアルミ筐体で実売約9万円の上位機。店頭販売も
HQMデジタル・オーディオシステム KS-3HQM |
クリプトンは、PCとのUSB接続に対応し、24bit/192kHzまでのハイレゾ音楽ファイルの再生も可能なアクティブスピーカー「HQMデジタル・オーディオシステム KS-3HQM」を10月中旬に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は89,250円前後。
同社直販サイトに加え、各地のオーディオショップでも展示・販売する。具体的には、キャビン大阪屋、のだや 宇都宮店/郡山店/福島店、ノムラ無線、シマムセン、ロイヤルオーディオ、サウンドマック、シキデン、MAXオーディオ 小倉店/福岡店で取り扱う。店舗は今後も増加予定。
スピーカーベースやインシュレータもセットになっているのが特徴 |
クリプトンは2010年に、DACを搭載し、スピーカーベースやインシュレータもセットにしたアクティブスピーカー「KS-1HQM」(49,800円)を直販限定で発売。その後、バリエーションモデルとして、ホワイトカラーの「KS-1HQM(W)」や、ボーカリストのMAYAさんとコラボしたカナリアイエローのMAYAバージョン「KS-1HQM(M)」を発売している。
今回の「KS-3HQM」は、これら「KS-1HQM」シリーズの上位モデルと位置付けられている。なお、「KS-1HQM」シリーズは今後も併売される。
KS-3HQM | 既発売の「KS-1HQM」 | 左から、カナリアイエローのMAYAバージョン「KS-1HQM(M)」、ホワイトカラーの「KS-1HQM(W)」、「KS-1HQM」 |
■KS-1HQMからの強化点
KS-3最大の特徴は、24bit/192kHzまでに対応するDDCを、スピーカー内に搭載した事。KS-1は24bit/96kHz対応のDACだったので、ハイレゾ音楽再生への対応が強化された事になる。USB入力を備えており、PCと接続し、ハイレゾ音楽ファイルが再生可能。対応OSはWindows/Macで、WindowsのサポートはWindows 7の32bit、64bit。Windows 7用のドライバを同梱する。
KS-3HQMの右スピーカー背面。USB入力に加え、光デジタル、ステレオミニのアナログも備えている | 左スピーカーの背面。リアバスレフだが、ダンプドバスレフ型(後述)になっている |
KS-1ではDACを内蔵し、デジタル音声をアナログに変換、その後、アナログアンプで増幅してスピーカーをドライブしていた。KS-3では、このDACがDDCに変更され、アンプもピュアデジタルアンプに変更。DDCからデジタル音声信号のまま、デジタルアンプに伝送され、デジタルアンプがユニットをドライブする構造になっている。
これにより、より鮮度の高い再生ができるとしている。アンプの出力は25W×2ch。
筺体も変更。サイズやデザインはKS-1と同じだが、素材が異なる。KS-1は筐体の真ん中部分がアルミ、左右の側面がモールド樹脂だった。KS-3では、側面も含め、全てがアルミ製となっている。こうしたことで、筐体の強度も向上したという。
KS-1と同様に、スピーカーベースをセットにしている。これは、スピーカーからの振動を吸収し、机などに伝えない役割を担うもので、内部に鉄球が入っている。この構造は、KS-1のベースと同じだが、若干ベースの高さが低くなっており、それに合わせて鉄球も少なくし、重さ(2台合計)が800gから700gに減少した。これは、強度が向上し、スピーカー側の重量が増加した事とバランスをとるためだという。
全モデルを並べたところ。右端が「KS-3HQM」 | 「KS-1HQM」(左)との比較。サイドパネルもアルミとなった | 「KS-3HQM」(右)のスピーカーベースが若干低くなっているのがわかる |
スピーカーベースとスピーカーの接点に使う、ハイカーボンインシュレータも同梱。これはKS-1と同じで、三点支持となる。
ユニットはKS-1と同じで、ティファニー(旧ピアレス)製の6.35cm径、フルレンジを採用。エンクロージャはリアバスレフで、ダクト部分を改良。低域が無制動となり歪む事を防ぐため、連続気泡型のモルトプレーンを使い、ダクト内をダンプ。バスレフだが、密閉との中間的な、ダンプドバスレフ型になっている。
スピーカーベースとスピーカーの接点に使う、ハイカーボンインシュレータも同梱 | ダクト部分のパーツ。モルトプレーンを使ったダンプドバスレフ型になっている |
■その他の特徴
ACアダプタや電源ケーブルは同じ |
入力はUSBに加え、光デジタル、ステレオミニのアナログも用意。光デジタルを使ってテレビなどとの接続も想定している。また、24biit/192kHzまでに対応している事を活かし、モニタースピーカーとしての利用や、DTMでの利用も提案。専用キャリングケース(15,000円)も用意する。
スピーカー部のサイズは、87×105×173mm(幅×奥行き×高さ)、重量は左が約1.05kg、右が約1.1kg。スピーカーベースは100×120×42mm(同)で、2台合計約700g。スピーカーセット合計では、左が1.8kg、右が1.9kgとなる。消費電力は最大60W。付属のACアダプタで動作し、リモコン、スピーカーケーブル、USBケーブルも同梱する。
■ファーストインプレッション
ニアフィールドで試聴した |
短時間ではあるが、クリプトンの試聴ルームでKS-1と比較試聴ができたので、音の違いをレポートしたい。音源は24bit/96kHzや、24bit/192kHzのハイレゾファイルを使っている。
左右パネルのモールド樹脂が太鼓のように振動し、量感のある低音を出していたKS-1と比べると、オールアルミになった事で低域がタイトに、よく締まるようになっている。このため、迫力という面ではKS-1の方が派手だが、KS-3はギターの低音の弦の動きや、オーケストラの低域のうねりの中にある音の動きが非常に見やすくなっている。
また、付帯音がさらに減り、中高域もクリア&明瞭になる事で、音場がKS-1よりも拡大。奥行きもより深く、立体的に感じられる。再生中にKS-1とKS-3の側面パネルを触り比べてみたが、激しく振動しているKS-1と比べ、KS-3は振動がグッと減り、剛性が高まったことがわかる。
24bit/192kHz対応になったことで、ハイレゾ音楽の再生により強いモデルになったわけだが、低域の細かい描写、音が消える間際の空間表現といった、ハイレゾ音源が得意とする細かい描写が、“より味わいやすくなった上位モデル”と表現できそうだ。
(2012年 9月 11日)
[AV Watch編集部 山崎健太郎]