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アップル、“最大の挑戦”で生まれたiPhone 5など発表

−大画面でも親指操作を重視。iPodシリーズも刷新


米国で行なわれた発表会のビデオが日本でも上映された

 米Appleは12日(現地時間)、iPhone/iPodシリーズやiTunesなどの新製品発表会を開催。新しいiPhone 5や第5世代iPod touch、第7世代iPod nanoなどを披露した。

 日本でもその模様を録画映像で13日午前10時からマスコミ向けに上映するとともに、タッチアンドトライコーナーを設け、新iPhone/iPodをアピールした。


発表された新製品
iPhone 5 iPod touch iPod nano
iTunes iPod shuffle Ear Pods
(イヤフォン)


■ 「一番のチャレンジ」だったiPhone 5

ティム・クックCEO

 Appleのティム・クックCEOは、直近のトピックとしてiPadのセールス状況を報告。4〜6月のiPad販売台数は1,700万台で、3月に第3世代モデルが発表されてから、6月までの累計台数は8,400万台を達成。

 タブレットの4〜6月世界シェアを昨年と比較すると、2011年はiPadが62%だったが、2012年は68%まで拡大。さらに、利用状況(Webトラフィック)を見るとiPadが91%を占めていることから「他タブレットは一体何をやっているんだ?」と笑いを誘った。App Storeで提供されているiOSアプリが最近70万アプリを超えたこと、iPad専用に作られたアプリは25万種類に達するという。また、6月までのiOS端末全体の売上は4億台に上るとした。こうした好調な成績に留まらず「今日、さらに次のレベルに引き上げたい」として「iPhone 5」の登場を明らかにした。


Webトラフィックでみると、タブレットの9割がiPadだという iPadなど、現行のiOS端末 iOS端末の売上は4億台に達したという
フィル・シラー氏

 iPhone 5は、ワールドワイドマーケティング担当上級副社長のフィル・シラー氏が登壇して説明を行なった。

 「初代iPhoneから始まって毎年新しい機能やイノベーションを加え、新しい金字塔、新しい標準を打ち立ててきた。今日、また同じことをしたい」としてiPhone 5を紹介。ステージにiPhone 5がステージの中央に登場した。「まるで宝石のようですね。我々が作ってきた中で最も美しい製品です」と自信を見せた。

 iPhone 5のハード/ソフト機能について「我々のチームが今までやってきた中で、一番チャレンジングだった。でもその達成感はすごいものだ」として、iPhone 4Sより18%薄いという薄さ7.6mmや、重さがわずか112g(4Sに比べ20%減)という点を挙げ、「iPhone 4Sと同じ機能を入れて大きくするならだれでもできる。そんなのはチャレンジではない」と強調。

 ディスプレイは高精細なRetina(網膜)を採用し、同じ幅ながら画面サイズを4型に拡大したことについては「電話は手にしっくり収まらなければならない。また、縦に向いている“親指”という我々が持つ魔法のデバイスでうまく使いこなせなければならない」として、片手で操作できることの重要性をアピールした。

これまでのiPhoneシリーズ ステージ中央からiPhone 5が登場 画面を大きくしても、親指での快適な操作にこだわったという
iPhone 5

 新しいCPU「A6」については、A5に比べてCPU速度とグラフィック処理速度がそれぞれ2倍になったことだけでなく、22%小型化したことで、スペースもエネルギー効率も改善。Pagesアプリの起動やiPhotoでの画像保存、ミュージックアプリのロード時間など、「何をしても大体2倍の速度でできる」とした。

 本体の薄型化にあたり、「カメラのデザインで最も難しいのは薄さ」とし、本体を薄型化しながら、iPhone 4Sと同じF2.4レンズを維持したことなどをアピール。また、フォーカス精度の向上のため、光学系ではミクロンレベルでレンズの測定/アライメントを行ない、画質も向上したという。さらに、レンズのカバー部には「サファイアクリスタルカバー」を初めて採用。レンズを保護するとともに画像をよりクリアに、シャープにするという。

 画像処理用のプロセッサをA6に内蔵。ノイズ対策として、周囲にある画素を見てノイズ除去を適用するという「空間ノイズ低減」や、ノイズ除去前後の画像を比較して、除去が必要かどうかを判断するという「スマートフィルター」などの機能が利用可能。さらに、暗い場所での撮影にもより強くなったほか、写真撮影までの時間もiPhone 4Sに比べて40%高速化したという。

カメラも機能を向上しながら薄型化を両立 A6プロセッサは、処理能力向上だけでなく22%の小型化も実現 A6採用による性能向上の一例


■ Lightning対応スピーカーも年末に向けて登場予定

 もう一つ、発表前から噂になっていた新しいコネクタ「Lightning」を紹介。2003年から登場した30ピンのDockコネクタは、これまで10年近く機能してきたが、現在ではBluetooth/AirPlayを使ったワイヤレスオーディオ再生や、iTunesとのワイヤレス同期、クラウドバックアップといった接続状況の変化が起きていることを挙げ「今が進化の時」と指摘。

 新しいLightningは端子が80%小さくなっただけでなく、上下の向きを気にせず接続できるほか、耐久性も向上。アクセサリメーカーとも協力し、このホリデーシーズンに登場する製品として、ボーズやJBL、B&W、バング & オルフセン(B&O)が対応スピーカーを準備していることを予告した。

 従来の製品については、Lightningコネクタから30ピンDockコネクタへの変換プラグを用意することも明らかにし、具体例として「車の中で使う時などに、iPhone 5を車で充電しながら音楽を聴くことができる」とした。

 ソフトウェアの大きな進化は、4型Retinaディスプレイを念頭に開発されたという「iOS 6」の登場。地図アプリの3D表示対応/ナビゲーション機能や、Safariにおける機能強化でiCloudを介してMacやiOS端末で開いたタブを同期できること、メールで特定の相手をまとめて扱える「VIP」などを紹介。iOS 6の公開は9月19日としており、新機能は200以上に及ぶという。

新コネクタのLightning 従来の30ピンDockコネクタ用変換アダプタを用意 変換アダプタを介してカーオーディオと接続したところ
Lightningコネクタ対応スピーカーと見られる製品。写真はJBLのもの B&Wは「Zeppelin」シリーズの新機種が登場すると予測される B&Oからもユニークな形のスピーカーが登場するようだ
新しい地図アプリの画面例。建物などの立体表示は日本ではまだ導入されていない
バッテリの持続時間も改善されている 音声ガイド/コンシェルジュ機能のSiriは、スポーツの試合結果表示や、レストランの予約などに対応 iOS 6は、200以上の新機能を搭載したという
iTunesの最新版

 iPhone 5に続いて、iPod touchやiTunesの新バージョンを発表。クック氏は「我々がもう一つ愛してやまないものがある。それが音楽だ。まさに音楽はAppleのDNAに深く深く組み込まれている。それが理由でiPodとiTunesを作った。そして音楽業界に革命を起こした。今日、音楽を簡単に、よりよくエンジョイできる製品を発表できる。iTunesとiPodの両方で、とてもエキサイティングな更新がある」として、新しいiTunesや、第5世代iPod touchや、第7世代iPod nanoを紹介した。

 iTunes Storeは昨年は23カ国での展開だったが、現在は63カ国まで拡大。iTunesアカウントは4億3,500万人増えたという。また、ここ数年の傾向として、ダウンロード全体数の2/3が直接iOS端末からのダウンロードだったという。そこで昨年からiOS端末向けiTunesストアのリニューアルに取り組んできたことを紹介。

 新しいiTunesにはiCloudを直接組み込み、iCloudにアップロードしてある音楽や動画などのコンテンツをパソコンのiTunesから再生できることや、よりシンプルなインターフェイスを採用したことなどが特徴。新たに、ライブラリ全体とプレイリストの曲を同時に表示可能。ウィンドウを最小表示するミニプレーヤーも機能強化され、「次はこちら」ボタンをクリックすると、次に再生される曲名を表示できるほか、その曲のスキップも可能。ミニプレーヤーから曲名などの絞込み検索も行なえる。

 第5世代iPod touchは、A5プロセッサによる処理能力向上や、iSightカメラの搭載、パノラマ撮影、初のAirPlayミラーリング対応など、よりiPhoneに近い高性能を獲得してきたが、こうした機能強化だけでなく、touchで初の5色展開や、ストラップの「iPod touch loop」といったユニークな点もアピール。また、iPod nanoは、前モデルでは無くなっていたビデオ機能を復活させたことや、Nike+機能の内蔵、nanoで最大という30時間の連続再生などを紹介した。

5色展開になった第5世代iPod touch ホームボタン搭載など、形や機能が大きく変わった第7世代iPod nano iPod nanoは、世代を追うごとに大きくデザインが変化している

 そのほか、今回の新製品から新たな同梱品となったイヤフォンの「EarPods」の開発についても説明。これまで、iPodなどで6億台以上のイヤフォンを出荷してきたというAppleだが、このイヤフォンにも新たな「チャレンジ」があったという。

 耳穴の形は人によって異なるため、同社は設計に3年以上をかけ、600人以上の耳でテストしてこの形状にたどり着いたという。従来のカナル型(耳栓型)のように密着しないという点は、意図的に行なったものだとしており、本体に複数のポート(穴)を装備。このポートはユニットとの適度な共鳴を実現するほか、空気の出入りで内圧を逃がすことでユニットの自由な動きを助け、豊かな低域を可能にするという。「皆さんがAppleの製品を体験するためにヘッドフォンは重要。これをベストなものにしたいと考えていた。できるだけ早く出したいので、アクセサリとして今日から単品発売もする。EarPodsで、音楽体験をすぐにアップグレードできる」と自信を見せた。

発表会の最後を締めくくるライブには、フー・ファイターズが登場した


(2012年 9月 13日)

[ AV Watch編集部 中林暁]