ひかりTV、音楽配信「ひかりTVミュージック」を12月開始

AAC 320kbps。“読み聞かせ”対応の電子書籍も11月に


2012年度の取り組みを説明する、NTTぷららの板東浩二社長

 NTTぷららは5日、映像配信サービス「ひかりTV」の2012年度上期における取り組みや、下期の事業展開に関する記者説明会を開催した。

 このなかで、定額音楽配信サービス「ひかりTVミュージック」を12月に、電子書籍サービスの「ひかりTVブック」を11月中旬に開始すると発表。また、2012年度下期に投入予定としていたAndroid OS採用の新STBのデモも行なった。



■ 数百万曲をテレビやスマートフォンなどに“業界最安値”で定額配信

ひかりTVミュージックの概要

 12月から開始予定の「ひかりTVミュージック」は、定額制のストリーミング音楽配信サービス。家族で一緒にテレビを使って音楽を聴いたり、AVアンプなどに接続して楽しむといったことを想定している。ひかりTVチューナを接続したテレビだけでなく、PCやスマートフォンからも利用可能。スマートフォンのみの契約も可能となっている。料金は「調整中」として明かされなかったが、「業界最安値を目指している」(板東社長)とした。

 この配信サービスは、ひかりTVがおすすめするプレイリストや、ユーザーが作成したプレイリストをテレビやスマートフォンなどで聴くというもの。検索機能ではジャンル/アーティスト/アルバム名/年代などから探すことが可能。文字入力はテレビ画面に表示するソフトウェアキーボードでの入力となるが、インクリメンタルサーチに対応し、1文字入れるごとに対象が絞り込まれ、素早く検索できるという。

 利用する端末ごとにサービス開始時期が異なり、スマートフォン(iOS/Android対応)は12月より利用できるが、ひかりTVチューナの対応は2012年度内で、機種は「PM-700」、「ST-770」、「M-IPS200」より順次対応予定。PC(Windows/Mac)も2012年度内の対応となる。

 楽曲ラインナップは邦楽/洋楽含め「数百万曲以上」。スマートフォンで作成したプレイリストを家のひかりTVチューナからテレビで聴くこともできる。配信楽曲はAAC 320kbpsを予定。ひかりTVチューナ利用時は、HDMIや光デジタル音声、アナログ音声のどれからでも出力可能。テレビはHDMI接続、AVアンプに光デジタルを接続して画面を見ながら聴くことが可能となっている。スマートフォンは3G/無線LANどちらでも利用可能。地下鉄など通信が途切れる場合を想定し、数百曲分をキャッシュする機能も備える。


ひかりTVミュージックのトップ画面検索画面(ジャンル別表示)再生画面

 11月中旬に提供予定の電子書籍サービス「ひかりTVブック」は、ひかりTVチューナやスマートフォン/タブレット、PC向けに約5万冊を配信するというもの。スマートフォンのみの契約もできる。参加する出版社名は明らかにしていないが、数百社から供給を受けるという。

 ジャンルはコミックや文芸、絵本、写真集などを用意。ユニークなのは絵本のコンテンツで、テレビ画面に表示しながら「読み聞かせ」の音声も再生。読み聞かせ用の音声コンテンツはひかりTVが独自に制作するという。なお、読み聞かせ機能はテレビ向けのみの対応で、絵本作品のみが対象となっている。電子書籍のファイル形式はXMDFや.BOOKを予定しており、今後、SpinMediaへの対応も進めていくという。

ひかりTVブックのサービス概要絵本の読み聞かせ再生画面本棚の表示
タブレット画面(小説)マンガ作品もひかりTVブックの特徴


■ Android搭載STBを下期に投入。UIも一新

Android搭載STBの試作機。2社のメーカーが作ったものを参考出展している

 2012年度下期に投入予定とするAndroid STBの特徴は、従来のSTBの約10倍というハードウェア性能。CPU名は明かしていないが、デュアルコア構成で、メモリバス幅を64bitに拡張し、テレビ向けの性能を高めている。開発時点でOSはAndroid 4.0.3を搭載しており、4.1対応も検討している。

 現在のひかりTVサービスや、前述の音楽/電子書籍といった新サービスに対応予定で、ショッピングなども利用可能。番組視聴と、USB HDDへの2番組同時裏録画に対応。録画番組のBlu-rayレコーダへのダビングも行なえる。スマートフォンとの連携にも対応予定で、番組を屋内外で視聴できるようになる予定。本体にトランスコーダを内蔵し、スマートフォンなどに適したサイズへ変換して視聴できる。SDカードへの番組持ち出しも可能。RFIDタグに対応し、スマートフォンと簡単に紐付けできるという。

 現在のSTBからUIも一新。「番組表」や「ビデオ」、「ツイッター」、「ブックストア」などカテゴリの内容を一覧できるパネルを並べて横スクロールする「フリックパネル・ユーザーインターフェース(仮)」を採用し、リモコンの左右キーで簡単に操作できる。背景画像のカスタマイズも可能。


高速動作やHTML 5対応などが特徴。スマホ連携も強化するパネルを左右にフリックして切り替える新UIを採用



背面

 Android端末として、サードパーティ製のアプリも利用できる。なお、テレビ画面上で正常に動作するアプリが限られるため、このSTBで使えるアプリをまとめたマーケットのような仕組みについても検討しているという。また、HTML5対応ブラウザを搭載し、Webアプリも利用できるという。



■ 新サービス拡充で月5万会員増、年度内に255万会員へ

 放送コンテンツでは、地方のテレビ局による人気番組をひかりTVが毎日編成するという新たな取り組みも開始。テレビ埼玉の「方言彼女。」や、名古屋テレビ放送の「ウドちゃんの旅してゴメン」、北海道テレビ放送の「おにぎりあたためますか」などを、11月から毎日夜10時~11時に放送。VODやモバイルでも配信するという。

 さらに、IPTV初という地上波の生番組同時放送も実現。TOKYO MXで毎週月~金曜の夜9時~9時56分に放送される生番組「ニッポン・ダンディ」を、11月5日よりひかりTVの独自編成チャンネル「ひかりTVチャンネル」でも同時放送する。

 VODサービスでは、2012年内に「マイチャネル」というサービスを開始予定。現在、VOD番組は連続ドラマなどで1話分が終わると次の話を見るためのボタン操作が必要だが、マイチャネルはこれを簡単に連続視聴できるという機能。1話~5話まで連続で視聴するといったことなどが可能になるという。その他にも、第4四半期には「ゲームサービス」や、映像配信の「ダウンロードレンタル」も開始予定。

ローカル番組を、全国に放送地上波との同時放送も実現2012年度の取り組み。ゲームや映像ダウンロードレンタルなども今後対応する



9月から提供しているサービス「りもこんプラス」

 ひかりTVでは、9月からスマートフォン/タブレットを使ったリモコン機能「りもこんプラス」を会員向けに提供しているが、これを機能拡張した「InfoSkin」(仮称)という機能も10月末~11月に提供開始予定。アプリのアップデートで対応するという。当初はiOSのみに対応し、Androidも順次対応予定。

 この機能は、テレビで視聴中のコンテンツに関連するWikipediaなどの情報を手元のタブレットで「ながら見」したり、関連商品をショッピングサービスで購入したりできる機能。あるVOD番組を視聴すると、タブレット画面上に関連すると思われるアイコンが“ふわふわと”集まりはじめ、興味がある場合はタッチすると詳しい情報を表示。ほかのVODコンテンツの場合はタブレット中央のエリアにドラッグすると再生が始まる。


「InfoSkin」(仮称)のタブレット画面中央にVODコンテンツを持っていくと再生関連するコンテンツが、数珠つなぎで紹介される



「りもこんプラス」の機能をデモする板東社長

 ひかりTVの会員数は、2010年度末で141万、2011年度末は約200万だったが、今回紹介された新たなサービスの追加などで、2012年度末には255万会員(モバイル契約のみの会員も含む)を目標に設定。9月末の会員数は224万人を見込んでいるが、3月末までに255万会員とするためには、ひと月あたり約5万の増加が必要となる。

 板東社長は「255万会員の達成は簡単ではないが、(既存ユーザーの)満足度を上げながら、目標を達成しなければと思っている。これまで、ひかりTVのサービスは映像が中心だったが、これからは音楽や書籍、ゲームへと広げていって、“いつでも(Anytime)、どこでも(Anywhere)、なんでも(Anything)、どれでも(Anyway)使える、取り出せる”という方向にビジネスを展開したい」との意向を示した。


9月末までの会員数の推移2012年度255万会員が目標ひかりTVが目指すIPTVの未来


(2012年 10月 5日)

[AV Watch編集部 中林暁]