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Samsung、55型有機ELテレビや85型4Kテレビを発表
CES開幕前会見。TVをスマート化する小型キットも
(2013/1/8 21:14)
Samsung Electronicsは7日(米国時間)、International CESの開幕を前にプレスカンファレンスを開催。キーワードは「DISCOVER」で、テレビや家電の連携に注力していく方針を示している。会場では、85型の4Kテレビなどの新製品も披露された。
まず、同社のBoo-Keun Yoon社長が登壇。昨年、音声やジェスチャーによるテレビコントロール機能のように、人々とコンテンツの間にある障壁を取り除くような機能を提供してきた、と話す。ただ、これはあまり普及しなかったとYoon社長は認め、今年は「全く新たな体験を作り出す」ことを目指したという。
テレビをスマート化する「Samsung Evolution Kit」。55型有機ELや85型4Kテレビ発表
「今年の目標は、人々が"可能性の世界を発見する"ことを手助けすること」とYoon社長。そのため、まずはコンシューマーがよりシンプルに、より簡単に、テレビのユーザーインタフェイスを通してコンテンツにアクセスできるようにするという。
さらに、テレビの画面から、テレビ番組以外の情報にもアクセス可能。同社の調査では、80%のコンシューマは、新技術が開発された場合、それを今のテレビで利用したいと考えているとのこと。そのため、同社は「Samsung Evolution Kit」を提供。これによってテレビは「進化」し、「あなたの家族とともにテレビも成長する」という。このキットは小型のボックス型で、テレビの背面に装着することで、今回のCESで同社が発表した新技術に対応できるようになる。
具体的な新技術は、米SamsungのTim Baxter社長が説明した。テレビの新製品は「Samsung LED TV F8000」。フラッグシップモデルのテレビで、新デザインの「アークスタンド」を採用した狭額縁の外観で、最大75型までをラインナップ。画質の強化も図られているという。初めてクアッドコアプロセッサを採用し、パワフルな動作を可能にしている。
機能としては、自然言語による音声操作とレコメンド機能「S-RECOMMENDATION」を搭載。例えば「何か面白いものはある?」と音声でマイクに話しかけると、テレビがそれを認識して、コンテンツをレコメンドする、という。サッカーの試合が見たければ、「今日プレミアリーグの試合はある?」と話しかける、といった具合だ。
新しいUIとして、「Smart Hub」を採用。5つのパネルを左右に切り替え、テレビ放送、VOD、コンテンツ、アプリ、SNSなどのコミニュケーション、というパネルが用意され、切り替えも手の動きのジェスチャーで操作できるようになっている。
テレビパネルである「On TV」は、パーソナライズ機能も搭載。多チャンネル放送の米国ならではだが、視聴傾向を分析して、時間帯によって「今お勧めの番組」「次にお勧めの番組」といった番組表を提示してくれる。
VOD用のパネルである「Movies & TV Shows」は、ストリーミングの映像をインターネット経由で視聴できるパネル。デバイスに保存された写真やビデオ、音楽といったコンテンツを再生できるパネルが3つ目。写真や映像のズームイン、回転などをジェスチャー操作することもできる。
4つ目は「Social」パネルで、FacebookやSkypeといったコミニュケーションをテレビで行なえる。5つ目の「Apps」は、Samsung Smart TV Appsのアプリを利用して、さまざまな機能が実現できる。アプリの中にはNetflixやHulu Plus、Amazonなどの映像サービスも用意されている。Smart TV Appsは、HTML5ベースのアプリで、公開されるSDKを使うことで開発ができる。
これらのSmart Hubは、前述したSamsung Evolution Kitを装着することで、2012年発売のSmart TVでも利用可能になる。
さらに、55型の有機ELディスプレイ(OLED)採用のテレビ「F9500」も紹介された。ユニークな機能として、1台のテレビで、2人が同時に別々の番組を視聴可能。一つの画面に二つの映像を表示し、見るときはスピーカー付きの3Dメガネをかけることで、映像と音声を別々に楽しめるという。ただし、実機は登場しなかった。
さらに、「テレビの次のフロンティア」として、4K2K対応テレビ「S9 UHD TV」が登場。サイズは85型で、HDやフルHDの映像を4Kレベルの画質にアップコンバートできるとしている。
今回のCESでSamsungは、技術的な部分というよりも、「どのようなテレビが求められているか」にフォーカスした説明を行なっていた。有機ELテレビや4K2K対応テレビなど、最新技術へのアプローチもあるが、スマートフォンなどで一般化した「クアッドコア」という表現で性能をアピールしつつ、パネルを切り替える新UI、ジェスチャーや音声操作といった操作性、レコメンド機能による提案など、テレビの新しい使い方を紹介する形で他社との差別化を図っているようだ。