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スカパー、'14年3月末でH.264化をほぼ完了。4K放送実現への取り組みも

 スカパーJSATは9日、2012年度の決算を発表。この中で、有料多チャンネルサービスのH.264移行の進捗状況や、4K放送の実現に向けた取り組みなどについて説明した。

 既報の通り、スカパー! プレミアムサービスにおけるMPEG-2の標準画質放送は2014年5月31日に終了し、MPEG-4 AVC/H.264形式に移行することが決まっている。2013年3月末時点で、MPEG-2標準画質放送の累計加入件数は73万件、H.264は103万件。2014年3月末には、MPEG-2が37万件(基本料のみのユーザーを含む)、H.264が125万件へ移行すると見込んでおり、「2014年3月末時点でH.264化をほぼ完了する」としている。

 4K放送の実現に向けた施策としては、3月9日にJリーグのFC東京VS柏レイソル戦において、4K映像制作と衛星を使用したライブ伝送実験を行なったことなどを報告。2012年に実施したライブ伝送実験に比べて、カメラの台数を増やし、スロー映像やテロップの挿入など、より実際の放送に近づけた形で行なった。

 その他にも、アジア諸国に向けた日本チャンネルの立ち上げを計画。インドネシア最大のDTHサービスであるインドビジョンにおいて、トライアル放送を行なっているほか、インドネシアのLIPPOグループや、ミャンマーなどのDTH事業者とも交渉。2014年度の本放送開始を目指している。

 VODサービスについては、「スカパー! オンデマンド」において、J1/J2リーグ戦の全試合をライブ配信する「スカパー! JリーグLIVE」などを行なっている。スカパー! オンデマンドの登録会員は3月末時点で12万6,000件で、今後もコンテンツ/対応デバイスの拡大などにより、2015年3月末には30万件のアクティブユーザー獲得を目指す。さらに、メタデータを活用したメディア横断情報サービスの「テレコ!」の検索機能を強化していく。そのほかにも、J SPORTSの「LIVE+オンデマンド」や、フジテレビONEの「SWALLOWS BASEBALL L!VE 2013」、GAORAの「FIA WTCC世界ツーリングカー選手権2013」など、新規チャンネル/コンテンツによりサービス強化を図っている。

 対処すべき課題として、加入者基盤の維持・拡大を目的に「コンテンツの差別化」を掲げており、自主コンテンツと各放送事業者によるチャンネルとの連携を図りながら、BSスカパー! での露出を促進していく。また、加入プロセスの整備などにより、新規ユーザー獲得や、年々増加しているという解約率の減少などを目指す。

 2012年度の通期決算は、売上が前年比2.8%増の1,596億900万円、営業利益が同7.6%減の161億5,300万円、当期純利益が13%増の96億8,200万円。このうち有料多チャンネルの売上は1,144億1,500万円、営業損失8億1,900万円で「新規加入計画の未達で営業収益は計画を下回ったが、諸費用の抑制等を図り、ほぼ計画どおり」としている。

 通期の新規加入件数は62万2,000件で、目標の68万3,000件を下回った。一方、ハイビジョン化率(プレミアムサービスの加入件数のうち、標準画質専用チューナーの加入件数を除いた比率)は58.5%で、目標(54.7%)を上回っている。なお、2015年度中期経営計画で掲げた、2015年度末累計加入件数400万件については未達(約380万件)になると見ている。

(中林暁)