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NHK、三菱と共同で8K/SHV対応のHEVCエンコーダを開発
17分割して処理、つなぎ目の画質を改善。技研公開に出展
(2013/5/9 18:44)
NHKは9日、三菱電機と共同で、世界初となる8K/SHV(スーパーハイビジョン)対応のHEVCリアルタイム符号化装置(エンコーダ)を開発したと発表した。
HEVC(MPEG-H HEVC/H.265)は、今年、国際標準化される見込みの映像符号化方式。ISO/IEC/ITUが共同で標準化を進めている。MPEG-4 AVC/H.264の2倍、MPEG-2の4倍の圧縮効率を実現している点などが特徴。
NHKと三菱電機が共同開発したHEVC符号化装置は、7,680×4,320ドットのSHV映像を、横方向の短冊状に17分割(7,680×256ドット)し、それぞれの領域での符号化処理を並列化。SHV映像をリアルタイムで符号化可能とした。符号化処理に必要な、移動する物体の速さや方向などの動き情報を複数の領域間で共有。これまで課題とされていた、分割した領域のつなぎ目の画質劣化を抑制するという。
符号化方式は、MPEG-H HEVC/H.265のMain 10 プロファイル@レベル6.1相当。フレームは60Hz。色差形式は4:2:0。階調は10bit。入出力インターフェイスは3G-SDI×17系統。外形寸法は431×496×312mm(幅×奥行き×高さ)。
今後は、120Hzのリアルタイム符号化の実現に向け、研究開発を進めていくという。
30日からの技研公開でハイブリッドキャストなども出展
NHKは、NHK放送技術研究所の一般公開「第67回 技研公開」を、5月30日(木)~6月2日(日)に開催。上記のHEVC符号化装置や衛星/地上放送の伝送技術などスーパーハイビジョン関連を中心に、37の研究成果を展示する。
テレビ放送とインターネット通信を連携させるハイブリッドキャスト関連では、今年中に一部の番組で試行的に開始する予定のサービスを紹介する。
スポーツ番組などで活用が見込まれる多視点ロボットカメラシステムも開発。複数のカメラを連動制御して、1台の主カメラと8台の副カメラの注視点(カメラが見ている点)が一致するように撮影する。被写体の位置と動きに応じたダイナミックな多視点映像を撮影でき、例えばスポーツ選手の被写体を取り囲むように配置した複数のカメラ映像を切り替えることで、時間を止めた状態で被写体の周囲を回り込んで見ているかのような映像表現などを可能にするという。
また、物の輪郭を指でなぞる感覚を再現できるという「触力覚提示装置」も出展。手や指先が物に触れたときに生じる力を力覚デバイスによって提示し、そこに物体があるかのように仮想的に再現するもので、これまでは、指先の1点に力を発生させる方式だった。新開発のデバイスは、一つの指先の5点に独立した力を発生させる方式を採用。物の形状を、より明確に識別できるようになったという。