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薄型テレビは単価上昇傾向、40型以上が3割超に。BCN調査
「デジタル家電はデフレ脱却」。“2トップ”のXperia躍進
(2013/7/11 10:55)
BCNは10日、薄型テレビやデジタルカメラなどのデジタル家電がデフレを脱却したとの調査結果を発表した。
BCNの市場分析は、家電量販店など全国22社、2,441店舗(2013年6月現在)のPOSデータを集計したBCNのデータをもとに行なっている。Amazonなどを中心としたネット店舗のデータも加味した形で前年同月比を算出。メーカー直販店の売上は含まれない。発表データ内の金額は全て税抜きとなる。
デジタル家電・パソコン全体の市場動向の現状について、BCNの道越一郎アナリストは「どのアイテムも平均価格は上昇傾向にあり、長く続いたデフレは脱却しつつあると思われる。しかし、需要の増加に伴う価格上昇ではないため、市場はまだ脆弱な状況。不況下の物価上昇(スタグフレーション)の恐れもある。製品の価値を高めることで需要を創造していくことが重要になっていく」と分析した。
テレビは40型以上の比率が初めて3割超に。大型化が価格上昇をけん引
薄型テレビ(液晶+プラズマ+有機EL)の販売台数/金額は、引き続きマイナスの状態だが、6月の金額は前年同月比92.5%と、前年並みまであとわずかという状況。一方、販売台数は前年同月比79.2%と2桁割れが続いている。平均単価は4月から継続して上昇しており、6月時点では57,500円となった。
サイズ別では、40型以上の台数比率が初めて3割を超え、平均画面サイズも過去最大の32.8型となるなど、画面の大型化が進んでいることを示している。単価については、各サイズで価格が回復してきているが、「ボリューム帯である30型台と、けん引役である50型以上の回復が、全体的な上昇に影響を与えている」としている。
メーカー別シェアでは、一時は2位の東芝に迫られていたトップのシャープが、4月以降回復基調にあり、6月のシェアは1位のシャープが43.7%、2位東芝が17.2%、3位パナソニック14.6%と、再びその差を広げてきている。
道越アナリストは、薄型テレビの価格が回復してきている状況について、画面の大型化が進んでいること以外に、「型落ち製品を安く売り販売台数を稼ぐ形態が縮小し、単価の維持、上昇の状態を生みやすくなった。薄型テレビは価格下落を抜け出した」としている。
レコーダの販売台数は停滞、デジカメは高級化が明確に
Blu-rayレコーダは、2013年1月以降、価格がゆるやかに上昇しているものの、販売台数/金額は前年同月比で2桁割れの状態が続いている。6月の販売台数は前年同月比81.4%で、金額は85.5%。平均単価は42,900円と、4万円台を維持。種類別の台数構成比は、「BDXL」が6月時点で85.9%、「BD」(XL以外)が6.3%、「その他」が7.8%。
デジタルカメラは、レンズ一体型(コンパクト)で前年同月比マイナスが続くも、一眼レフやミラーレスなどのレンズ交換型が好調。2013年6月のデジタルカメラのタイプ別構成比は、レンズ一体型が72.2%で、レンズ交換型が27.8%。レンズ一体型の販売台数は前年同月比79.3%、金額は80.4%。平均単価は17,400円。レンズ交換型の販売台数は147.4%で、金額は141.6%。平均単価は68,900円。
トピックとして、デジタルカメラ全体で価格が上昇していることが取り上げられた。5月のデジタルカメラの平均単価は32,200円で、過去3年間で最高となった。その要因として、レンズ一体型カメラでは高画素化や高ズーム倍率化、撮像素子1/1.7型以上の高級コンパクトカメラが価格をけん引していることが挙げられた。また、一眼レフやミラーレス型が引き続き好調であることからも、デジタルカメラ市場が高級化路線にシフトしていることが明確に現れているとしている。
出口の見えないパソコン。スマホはソニー躍進
森英二アナリストは、パソコン市場について、Windows 8発売以降、デスクトップ/ノート型ともタッチパネル搭載機など高い価格の製品が増え、平均単価が上昇していると述べた。しかし、販売台数/金額とも減少が続き、「出口の見えない状況にある」と説明した。タブレット型については、「アップルの価格改定によりブレーキがかかったが、引き続き元気な市場」としながらも、「市場の拡大にはアップルとシェア2位のASUS以外の第三勢力が必要」との見解を示した。
スマートフォンについては、成熟期に入り販売台数が横ばいになっていると述べた。6月のキャリア別のシェアは、ドコモが43.8%、auが31.3%、ソフトバンクが22.9%であったが、これについて、「6月のドコモの契約者数は純減になったが、BCNの調査は家電量販店での販売実数に基づいており、量販店での販売数はドコモが強い」と説明した。また、「6月のメーカー別販売台数のシェアは、2位のソニーが28.2%と躍進し、1位のアップル(34.9%)に接近していることもドコモにプラスとなった」と説明した。
ドコモのツートップ戦略にも言及し、同社の2013年夏モデルの機種別シェアは、ソニーのXperia Aが60%、サムスンのGALAXY S4が28.4%と、ツートップの2機種で90%近くを占めたと説明。一方、2012年冬モデルのシェアで28.5%を占めたシャープは5.6%に、同11.3%だった富士通は4.5%に大きくシェアを落とし、「キャリアの後押しを得られないメーカーは非常に厳しい状況になる」と述べた。