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宮崎監督は「かぐや姫の物語」をどう観たか? 「もののけ」BD発売トークショー。「かぐや姫」遅れはAKBが原因!?

左からSKE48の松井玲奈さん、鈴木敏夫プロデューサー、松井珠理奈さん、西村義明プロデューサー

 ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンから12月4日にBlu-rayが発売される、スタジオジブリの「もののけ姫」と「猫の恩返し」。11月23日からは高畑勲監督の「かぐや姫の物語」の上映もスタート。BD発売と「かぐや姫」公開を記念したトークイベント「“もののけ姫”と“かぐや姫”〜二人の“姫”はこうして生まれた〜」が2日、都内で開催され、ジブリの鈴木敏夫、西村義明プロデューサーが登場。サプライズゲストとしてSKE48の松井珠理奈さん、松井玲奈さんも参加した。

宮崎監督と高畑監督の描くヒロインの違い

トークイベントの模様

 トークイベントは、会場からの受け付けた質問に2人が答える形式で展開。「プロデューサーとしての経験で一番印象深かった事」を聞かれると鈴木氏は、高畑監督の「火垂るの墓」で、製作が間に合わず、未完成の状態で上映をスタートしなければならなかった事を回想。「やっちゃいけないと思っていたのだけれど、そうなってしまった。その時は無我夢中だった」と振り返った。

 “製作スケジュール”はプロデューサーにとって常に悩みの種のようで、今回BD化される「もののけ姫」も「当時は2年かけて1つの作品を作るというのはなかなか無かったんです。この映画にはエボシ御前が登場し、最後に片腕を失い、彼女のタタラ場も炎上してしまう。でも、絵コンテが出来上がった段階で、そういうのは一切無く、もっとアッサリ終わっていたんです。映画自体も15分くらい短くて。“これはなんとかした方がいいのでは?”と思ったんですが、宮さん(宮ア駿監督)に言うときっと映画が長くなる。そうすると間に合わなくなるかもしれない(笑)。1日、2日、悩みました」と苦笑い。

鈴木敏夫プロデューサー

 結局、音楽を手掛ける久石譲さんの元へ向かう電車の中で、鈴木氏は宮崎監督に「エボシの考えている事は正しいけれど、物語の構成上、彼女は死ぬべきではないか? 舞台も(今までの宮崎作品で多かったように)最後には炎上した方が良いのでは?」と提案。すると、宮崎監督は「僕もそう思っていたんだ、鈴木さん!」と、その後1日で追加の絵コンテを描ききってしまったという。

 鈴木氏は「つい口から出ちゃったので仕方ない(笑)。やれる事はやろうという心境でした。結局、テレコム(アニメスタジオ)の全員が手伝ってくれる事になって、なんとかなりました。宮さんも“援軍が来た!”とか言ってました(笑)」と、製作当時を振り返った。

 西村氏は、8年という長期間、高畑監督と共に「かぐや姫の物語」を作り上げて来たプロデューサー。「脚本ができるまで3年かかったのですが、その脚本が3時間半分ありました(笑)。映画にするには削らなければならないのですが、高畑監督も削りたくないエピソードばかりで」と、難航した脚本作りのエピソードを披露した。

 もののけ姫には、山犬に育てられたサン、かぐや姫にはかぐやというヒロインが登場する。宮崎監督と高畑監督、それぞれが描くヒロインの特徴について、西村氏は、「高畑監督は観客が“こうあって欲しい”と思うヒロインではなく、実際はこうだという、現実的な映画を作ろうとする。映画の中と現実を切り結ぼうとする。男性、女性と言う以前に、1人の人間として敬意を払っていると思います」と分析。

 鈴木氏は、「宮さんは“男は強いもの”で、女を守らなきゃという、エスコートヒーロー的な面がある」と分析した。

高畑監督は「風立ちぬを」、宮崎監督は「かぐや姫」をどう観たのか

 なお、高畑監督は「かぐや姫」を完成させ、宮崎監督も「風立ちぬ」を作り上げた。気になるのは、両監督が、相手の作品について、どのような感想を抱いたのかという点だ。

西村義明プロデューサー

 西村氏によれば、「風立ちぬ」を観た高畑監督は、「素直な作品だった。(今までの作品は)設定に無理があるものもあったけれど、今回は無理がなく、素直だった」と評価。主人公についても好意的だったという。

 鈴木氏は、「宮さんに(かぐや姫を)いつ観るの? と聞いたんですが、初号試写を観るためには五反田のイマジカに行かなきゃならなかったんです。そうしたら、“会社(ジブリ)でも試写をやるんでしょ?”と僕に聞いてきて、翌日にやると答えたら、“そこで観るよ”と言っていたんです。でも、試写の日が近づいてくるとソワソワしてきて(笑)、(ジブリでの試写の日は)用事ができたからと言って、その前に五反田まで行って観ていました。たいした用事じゃないんですよ(笑)」。

 「試写後に、感動して泣いている人が多いんですよ。宮さんはキョロキョロしながら出てきて、僕と宮さんと親しい、奥田さん(日本テレビの奥田誠治氏)が目を真っ赤にしているのを見つけると、“この映画で泣くのは素人だよ!”って言ってました。……今でも意味がわからなくて(笑)。玄人だとどうなるんだろう(笑)」と首をかしげる。

 鈴木氏によれば、宮崎監督はそれから「かぐや姫」については、何も語っていないという。ちなみに、現在宮崎監督は、「某模型雑誌のためにせっせと漫画を描いています。チャンバラみたいなものを。なんで? って言いたくなるほど緻密なものを描いてます(笑)」とのこと。

松井玲奈さんはタタリ神が大好き!?

SKE48の2人が花束を持って登場

 トークショー後半には、ゲストとしてSKE48の松井珠理奈さん、松井玲奈さんが登場。2人のプロデューサーに花束を贈呈した。

 ジブリ作品の大ファンだという2人。「かぐや姫」を観て6回も泣いてしまったという珠理奈さんは、ジブリアニメの気になるポイントとして“音”を挙げる。例えば、湯屋が舞台の「千と千尋」では、実際に銭湯で音を録音するなど、ジブリ作品は映像だけでなく、音にも深くこだわっていると指摘。西村氏によれば、「かぐや姫」で高畑監督は、姫が暮らす家の床の音にまで気を配り、どのような木で、上を歩くとどのような音がするのかまで細かく決めていたという。

松井珠理奈さん
SKE48の2人もトークに参加

 玲奈さんは、「かぐや姫」で、姫が成長していく過程が、童歌とリンクしていると指摘。ジブリアニメで好きなキャラクターは、なんと「もののけ姫」の冒頭に登場する、恐ろしい“タタリ神”とのこと。「今までのアニメには無い動きに魅了された」のが理由で、映画館に飾られていたタタリ神のぬいぐるみを母親にねだるほどだったという。2人のマニアックな感想に、鈴木氏も関心していた。

以前から「ジブリ作品への出演が夢」と語っていた松井玲奈さん。しかし、実際にプロデューサーを前にすると「そんなアピールは厚かましいかなと……」と控えめ。しかし、いかにジブリ作品が好きかという想いは伝わったようだ

 SKEの2人から質問を受けていた西村氏は、逆に「実は(2人に)言わなければならないことが」と切り出し、かぐや姫製作の終盤、ジブリのスタッフにAKBの大ファンがいて、「(作業をせずに)AKBのプロモーションビデオばかり観ていて遅れたんです」と冗談交じりに裏話を語り、SKEの2人を驚かせ、会場が笑いに包まれる一幕もあった。

もののけ姫 猫の恩返し/
ギブリーズ episode 2

(山崎健太郎)