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NEC、世界初4K/60pリアルタイムエンコーダ販売開始。4K放送に向けNTTと協力

VC-8150

 NTTとNECは、4K/60p高精細映像のHEVC(High Efficiency Video Coding)によるリアルタイム圧縮を世界で初めて実現したと発表。NECは、4K/60p対応のリアルタイムエンコーダ「VC-8150」を世界で初めて開発し、12日から販売開始する。

 NECが開発したのは、MPEG-4 AVC/H.264の2倍の圧縮性能を持つ最新の映像圧縮技術H.265/HEVCに準拠し、4K/60pのリアルタイムエンコードが可能な「VC-8150」と、デコーダ「VD-8100」。出荷時期は4月を予定しており、価格はオープンプライス。

 圧縮処理はすべてハードウェアで行ない、HEVCのMain10プロファイルに対応。4K映像を10bit階調でリアルタイム圧縮できる。入力は3G-SDI×4もしくは1.5G-SDI×8に対応する。今回の製品は、4Kに対応した次世代放送サービスの実現・普及を目標としたもので、両社の技術を利用することで、世界で初めて4K/60pのHEVCによるリアルタイム圧縮を実現。NECは今後4年間で100台の販売を目指すとしている。

 NTTは、HEVCの特徴である、可変ブロックサイズに適応したフレーム間予測やフレーム内予測におけるハードウェアアルゴリズムを検討した結果、複数のブロックサイズでの探索と広い探索範囲を実現する高い予測効率を持つ動き予測や、映像の特徴を解析した上で事前に予測方向を絞り込むイントラ予測等のハードウェアアルゴリズムを確立。SoC(System on Chip)にて実現可能である見通しを得たという。

 NECはNTTによる成果を受けて、画像をいくつかのブロックに分割して行なう映像圧縮処理で、瞬時に画像を分析して最適なブロック分割を行なう「最適圧縮パラメータ推定技術」を開発。既存の方法のように、想定される全ブロック分割パターンを試行した上で処理する必要がなくなったことから、処理量を約1/5に削減し、4K映像のリアルタイム圧縮を実現したという。また、従来の圧縮装置では、4K映像を4領域に分割した画像を各々処理して結合表示していたが、この場合、各領域を跨ぐ部分の映像品質低下が課題となっていた。NECは、境界部分の画像劣化を抑える「画像境界処理技術」を開発し、継ぎ目のない高画質な4K映像圧縮を可能としたとしている。

(臼田勤哉)