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家庭内のテレビやスマホへのマルチ編成伝送。IPDC活用の実証実験
(2014/3/20 22:22)
IPDCフォーラム ライフライン研究会は20日、ケーブルテレビ網を利用したIPDC(Internet Protocol Data Cast)の実証実験を行ない、その活用例を発表した。
IPDCとは、インターネットなどで使用されるパケットを、放送波に乗せて一斉配信を行なうサービスの総称。IPDCフォーラムは、IPDCを基盤とした新しいサービスの創出などを目的として、課題の抽出や動向調査、セミナーなど活動を行なっている。
今回の発表会では、既に構築されているテレビ放送網を利用した複数のデバイスへの情報伝送を実証するため、テレビや家電などがインターネットに接続されたスマートハウスをモデルに、ケーブルテレビのネットワーク網によるIPDCの活用例を展示。テレビ映像やニュース・天気情報などのファイルデータ、デバイスコントロールコマンドなど内包したマルチ編成の放送データをケーブルネットワークを通じて各家庭に配信し、無線LANを通じて家庭内の様々なデバイスに情報を伝送するデモンストレーションが行なわれた。
テレビ放送をより楽しむための例として、CATVネットワーク上でのマルチ編成伝送実験のデモが行なわれた。タブレットやスマートフォンなどから無線LAN経由でテレビ放送を視聴することを想定したもので、テレビ視聴中にバックグラウンドで関連動画データをデバイスに蓄積させ、お知らせ情報として画面上にアイコンを表示。そのアイコンをタップすると、蓄積していた動画が再生されるというもので、テレビを視聴しながらシームレスに動画の再生に移ることができ、番組宣伝や広告、VODなどへ視聴者をスムーズに誘導できるという。
このほかにも、ラジオのストリーミング配信と共に照明をコントロールするコマンドを伝送し、曲調にあった照明に自動で調整するといった例や、料理番組とレシピデータを合わせて伝送し、番組を見ると電子レンジに料理のレシピが配信されるなどの活用方法が挙げられた。
また、災害時の活用例として、緊急情報を複数のデバイスに一斉配信するデモも行なわれた。緊急情報をIPDC伝送すると、テレビには震源地情報など詳細な情報を表示し、インターホンのモニタには警報のみを表示するなど、そのデバイスに適した情報を表示。同時に照明をコントロールするコマンドを流すことで、照明を点滅させたり、赤や黄色の光に変えて災害発生を知らせることも可能。テレビを消している場合や、耳が聞こえにくいお年寄りにも情報を伝達しやすいという。
IPDC伝送では、一方的な情報送信だけでなく、双方向の情報のやり取りも可能。テレビへの緊急情報送信と同時に、スマホやタブレットに安否確認をプッシュ通知し、受信者が安否と位置情報を送信すると、受信者の近隣の地図情報や安否情報などを配信する。これにより、近くの避難所に速やかに移動したり、助けを求める人の救助活動に役立てることができるとしている。