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オーテク“浮かんで光る”ターンテーブル「Hotaru」実機見た
2025年12月5日 11:15
オーディオテクニカは12月4日、全世界1,000台限定で発売する光るターンテーブル「Hotaru」のお披露目イベントを東京都内で開催した。同日から一般販売がスタートした実機を一足先にチェックしてきた。
Hotaruは、レコードの音楽を光に変換し、より深くアナログの音楽を楽しめるというスピーカー内蔵のターンテーブル。これまで特設サイトで限定先行予約を受け付けていたが、12月4日より公式オンラインストアほかで一般販売がスタートした。直販価格は165万円。
大きな特徴は磁気反発による浮遊構造を採用していることと、音楽と連動するライティング機構を備えていること。
磁気反発による浮遊構造はデザインだけでなく、ターンテーブルとしてのサウンドも追求した機構。レコードは髪の毛よりも細い音溝を、カートリッジの針先で読み取って、それを音楽信号に変換している。
この繊細な動作を、より正確に行なうために、ターンテーブルを宙に浮かせる構造とすることで、筐体内外の振動が針先に伝わることを最小限に抑え、カートリッジの再生精度を最大限まで高めている。
Hotaruでは、ネオジムマグネットを使った反発磁力による浮遊構造を採用。同極の磁石を向かい合わせにすることで生まれる反発力を使って、ターンテーブルを浮かせている。
実機では、スピーカーやアンプなどを内蔵している黒い本体下部と、ターンテーブル機能を備えた本体上部が分離されている形。横から覗くと、3本の細い柱でターンテーブル部分を支えているように見えるが、ここにマグネットが仕込まれていて、空中に浮遊。実際にターンテーブル部分を軽く指で押してみるとフワフワと反発する感覚があった。
本体下部とターンテーブル部分をつなぐ配線なども、この3本の柱を通して行なわれているとのこと。また、電磁石ではないため、電源を入れていない状態でもターンテーブル部分は浮遊したまま。
もちろん、音質面ではオーディオテクニカが60年以上に培ってきた技術も投入。開発に携わったオーディオテクニカの商品戦略部グローバルプロダクトマネジメント課の村上勇馬氏によれば、緻密な筐体構造を採用することで「従来製品であれば、このサイズ感では感じられないようなスピーカーのボリュームや質感、量感、きめ細やかな音像を、この筐体構造で実現できている」とする。
また付属のカートリッジも、オーディオテクニカの独自技術であるVM型カートリッジを採用。型番は「AT-VM740xML」だが、Hotaruのための特別仕様モデルとなっている。そのほか、カーボントーンアームとサブプラッター方式も採用している。
もうひとつの特徴が、レコードから読み取った音が光と融合するライティング機構。選んだレコードから流れる音楽に、20種類のカラーパレットから生まれる光が反応する。
開発に携わったオーディオテクニカの商品戦略部グローバルプロダクトマネジメント課の村上勇馬氏は「弊社の製品説明などでは“音がきらびやか”という表現をすることがあります。これは例えとして使われるものですが、今回のHotaruでは音に姿・形を与えることができているので、“きらびやかさ”を視覚情報として感じることが可能です」とした。
「生の演奏を聴くと、会場の臨場感や、他の観客と共有する一体感などを、五感すべてを使って感じ取るため、演奏から得られる感動がより大きくなると言われています。したがって、通常聴くようなストリーミングやレコードも、聴覚だけでなく、視覚的にも音を採り入れることで、より感動が増すと考えています」
Hotaruは「アナログとインテリアの融合」
お披露目イベントには、オーディオテクニカの専務取締役、マーケティング本部ゼネラルマネージャーの成原公太郎も登壇。「近年、アナログオーディオの回帰という流れもあり、当社のカートリッジとターンテーブルの事業は、拡大の意図を遂げております。現在はアメリカ、イギリス、フランスなど、世界各国でナンバーワンのターンテーブルブランドになることができました」と、同社のターンテーブル事業の現状を語った。
「今回Hotaruは当社のアナログ技術をふんだんに詰め込みまして、唯一無二のデザイン性も合わせ込むことで付加価値を高め、アナログとインテリアの融合を実現いたしました。Hotaruは、新しい音楽体験、そして極上のオーディオ体験の創出を目的とした、スピーカーがついたオールインワン・ターンテーブルとなります」
このHotaruは4月の発表以降、ミラノデザインウィーク2025や、ニューヨークなどで披露され、世界最大級のデザインコンペティションである「A' DESIGN AWARD 2025」では、「Audio and Sound Equipment Design」カテゴリーで、最高峰のプラチナ賞を受賞するなど、デザイン面でも高い評価を得ている。
今後に向けて、開発に携わった村上氏は「これまで63年以上続けてきた従来の高品質なオーディオ製品の提供のみならず、今後もデザインやインテリアという観点で、アナログやオーディオの楽しみを拡張し、提案し続けていくことができるようなプロダクト開発に勤しんでまいりたい」とした。













