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e☆イヤホン・ラボのオーダーメイドイヤピとは? 耳栓も作った反田葉月さんにインタビュー

オーダーメイドイヤーピース「eA-R」

e☆イヤホンに自分専用のイヤーピースが作れるサービスがあるのをご存知だろうか。自分の耳の型を取り、その型に合わせて成形することで、ぴったりとハマる正真正銘自分専用のイヤーピースで音楽を楽しめる。

耳型から作成するオーダーメイドのカスタムIEMに興味を持ったことがある人なら、「自分専用のイヤフォンを作ってみたいけど、ちょっと費用が……」と考えたことがあるかもしれない。もう少し手軽に、なんなら普段聞き慣れているイヤフォンのイヤーピースだけ変えられたら……

そんな要望にバッチリ応えてくれる製品が、e☆イヤホンラボが展開するオーダーメイドイヤーピース「eA-R」。そして、イヤーピースだけでなく、耳栓も作ることができる。何より驚きなのが、それが全て秋葉原の地で手作業で作られていること。今回は実際に製品が作られている秋葉原のラボに潜入。実際にイヤーピースと耳栓を制作した声優の反田葉月さんにその使い心地も聞いてみた。

秋葉原のe☆イヤホン・ラボで全て制作するメイド・イン・秋葉原

eA-Rの注文の流れとしては、e☆イヤホン店舗へ来店するか、Webでラインナップから機種を選択、カラーやカスタマイズのオプションを選択。その後インプレッション(耳型)の作成をして、後日その耳型から制作された製品を受け取るという形だ。納期は約1カ月とのこと。

ラインナップはスタンダードな「eA-R」(30,000円から)、耳甲介腔まで広範囲に覆い、遮音性と安定性をさらに向上した「eA-R C」(+6,000円から)、eA-R Cの形状で耳甲介腔周りの縁を程よく残して中心付近に穴を空けた「eA-R C Plus」(+12,000円から)、外耳道のカーブ、コンチャの一部、ヘリックスの三か所でホールドする形状で重量タイプのイヤフォンにも対応する「eA-R He」(+13,000円から)の4種類。

左からeA-R、eA-R C、eA-R C Plus、eA-R He
eA-R Heは装着するとこのような感じ

イヤフォンのボディにも合わせて作られるため、選んだ機種専用のイヤーピースになる。対象機種はWebページで確認できる。

早速、実際にeA-Rを制作しているe☆イヤホン・ラボに伺い、チーフエンジニアの稲垣雄太氏に制作工程やこだわりを聞いた。

eイヤホン・ラボでは、eA-Rだけでなく、eイヤホン・ラボから展開している製品を実際に秋葉原の地で企画、制作、梱包までを行なっている。取材日には、ちょうど発売を控えていたイヤフォンケーブル「Turquoise」へのコネクタの取り付けと梱包を行なっていた。

Turquoiseにコネクタを付ける作業が行なわれていた
梱包前のTurquoise

そしてeA-R Cの作業スペースには、たくさんの人の耳型が並べられている。

インプレッションで制作された耳型

まずこの耳型にシリコンを流し込んで耳の穴の方の型を制作。これを作ることで、最後にイヤフォン本体との組み合わせたときに耳に触れないか、などの確認が行なわれる。ちなみにこの耳の穴の型は購入も可能だ。イヤーピースの大きさの確認などを視覚的に行なえるので、けっこう人気な製品なんだとか。

インプレッションの型から作られた耳の穴の方の型。6,000円で買えるそう

インプレッションで作られた耳型は、専用のシリコンが使われているが、このシリコンが若干膨張するのだという。このため、そのまま作ってしまうと、大きくて耳に入らなかったり、本当の意味で密閉されてしまう。それを防ぐために、耳型をカットしていく。

耳を完全に密閉してしまうと、三半規管に影響してめまいなどを起こす場合もある。耳型から作成されるIEMなども、ピタッとハマっているように感じるが、実際にはちゃんと隙間が設けられている。この隙間の部分をどの程度設けるか、という点でこのカットの作業にも各社でノウハウが異なるそうだ。e☆イヤホン・ラボでは、確かな装着感と快適性のバランスを追求しているという。

そして、実際のeA-Rを作るために型として使われるのが、先ほど耳の形を再現したシリコンではなく、工業用寒天。

シリコンよりも粘度が低く、より精密に型が取れるほか、eA-Rを作成するのに必要な分だけ型が作りやすいのだという。また、寒天なので溶かして再利用することもできる。専用の機材で固まる直前の温度に保たれており、10分から20分程度ですぐに型ができる。

工業用寒天で作られた型

eA-Rのボディは、紫外線で固まるレジンで作られる。工業用寒天で作られた型に、中に気泡ができないようにレジンを流し込み、紫外線を照射する装置で硬化させる。また、酸素がある空間で硬化するとレジンの表面にべたつきが出るため、それを防止するために装置内に窒素を充填して硬化していくのだという。

工業用寒天の型を使って、eA-Rの原型を作る

もちろんこれで完成ではない。ここからさらに尖った部分などを削り、イヤフォン本体との調整を行なう研磨の作業に入る。このときに登場するのが、最初にシリコンで作った耳の穴の方の型だ。ここにeA-Rと使うイヤフォンのボディを当てて、耳に当たりすぎないか、などを確認しながら調整していく。

研磨作業

そして、音が通る穴“音管”も手作業で作っていく。研磨作業自体がそもそも職人技なのだが、どのような耳の構造に対して、どのように穴を空けるべきか、という耳の構造についての知識もしっかり身につけていないとできない作業だ。

音の通り道となる穴を空けている様子。耳の構造に関する知識も必要な工程だ

最後に表面側と音感の中も仕上げのコーティングを施して完成。本当に全ての工程がこの秋葉原のラボ内で行なわれていた。

仕上げのコーティング。穴の内側もコーティングしていく

「仕事で使うイヤフォンも可愛くあってほしい!!」反田葉月さんにインタビュー

タレント、アイドル、声優などで活動している反田葉月さん

そんな、こだわりのeA-Rだが、今回、声優などで活躍する反田葉月さんが実際に「eA-R C」を制作。制作当時の様子を見せてもらいつつ話を聞いた。反田さんは、eA-R Cだけでなく、耳栓のラズライトも作成している。

取材日には、e☆イヤホンのYouTubeチャンネル用の動画収録も行なわれていた。ここでも反田さんのeA-Rとラズライト制作中の様子がVTRで紹介されている。動画は12月5日20時に公開予定だ。

——4種類あるeA-Rから今回選んだ機種と、その理由を教えてください。

反田:私が作ったのはeA-R Cという、耳の窪みの部分(耳甲介腔)まで使ってフィットするものです。担当してくれたスタッフさんにヒアリングしてもらって、オススメされたのがこのeA-R Cで、自分でも納得して選びました。

耳に付けたときにもちらっと見えるところも可愛くて気に入ってます。

——色選びもだいぶ悩まれたようですね。

反田:選べる色とバリエーションがすごく多いんです。元々自分のカラーである紫系の色か、混ぜたら紫っぽくなるピンクとブルーにしようかなと決めてきていたのですが、ピンクだけでも、パステルっぽいピンクがあったり、ちょっと暗めなピンクがあったりと、カラー自体もたくさんあるんです。そこにさらにラメやホロなどもたくさんあって……この色選びに一番時間がかかりました(笑)

でもこの工程が一番楽しいんですよね。とくに女の子はここで時間をかけて選ぶの、とても好きなんじゃないかなと思います。

大人っぽく行くか、可愛く行くかと色々悩みましたが、今回は大きめのホロがざくざく入っているカラーに決めて、右側をピンク、左側を水色に決めました。元々ライブでも使うつもりだったので、ヘッドフォンのように右側に赤系、左側に青系を使って、付けるときに迷わないようにしました。

色を選んでいるときの様子
スタッフの説明をじっくり聞いている様子
反田さんのeA-R C

——今回のeA-R Cは、Maestraudioの「MAPro1000」用に作ってもらったのですね

反田:このイヤフォンは長距離移動のときによく使っているのですが、この音質が好きなんです。eA-R Cに替えても、音質はそのままなのも気に入ったポイントです。

——実際の着け心地はどうでしょうか?

反田:すごく良いです!!

私は耳が小さくて、一番小さいイヤーピースにしてイヤフォンを付けていても、しばらくすると耳から落ちてしまうことが多くて、TWSをよくなくしてしまっていました。そしてなくす度に買い換える、みたいなことをしていたのですが、eA-R Cはピタッと耳元に留まってくれます。

耳に入れるときもにゅるっと入って、自然な感覚です。違和感みたいなものがなくて、普通のイヤフォンを着けいたときに感じていたストレスが無くなりました。

——イヤーピースと一緒に耳栓も作ったそうですが、そちらはどうでしょうか

反田:遮音性はイヤーピースよりも耳栓の方が良いですね。飛行機で重宝しそうです!! それに、イヤフォンの分の重さもなくなって、こちらは着けている感覚が無いんですよね。

使ってみて気付いたのですが、耳栓を外すときのピンが便利で。イヤフォンの部分がなくても着けたり外したりに困らなくて良いです。

イヤフォン本体部分がない耳栓は、着脱用のピンが設けられている

——イヤーピースとは違うカラーになりましたね

反田:イヤーピースはライブやお仕事でも使うのですが、こちらの耳栓は完全にオフの時しか使わないので、オン/オフの意味で色を変えてみました。こちらは右を水色、左をピンクにしてます。パールが入っていて光が当たると青っぽく光るんです!!

耳栓 ラズライトはeA-R Cとは少し違うテイストのカラーで制作している
ラズライト(左)とeA-R C(右)

——収録では両親にも作ってほしいと言っていましたね

反田:私の両親も音楽が好きなので、片耳だけ同じ色にして作ってほしいですね(笑)

あとは、(カラーやカスタマイズなど)色々選んで決めていくのは女の子が好きそうなので、友達にも勧めたいです!

——最後にeA-Rの魅力を読者の方にもお伝えできればと

反田:私は「可愛い屋さん」なので、可愛いに忠実でいたいと思っています。仕事に使う物に対してもそうで、eA-R Cを作ったことで、自分好みに可愛くなって、使いやすさ、音質はそのままなので、お気に入りの最高のイヤフォンになりました!!

野澤佳悟