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iPhone/Androidハイレゾ再生アプリ「HF Player」、'15年1月にDSDへの変換再生対応

 オンキヨーは、スマートフォン/タブレットでハイレゾ音源が再生できるアプリ「HF Player」のバージョンアップを'15年1月に実施。新機能としてiOS/Android版ともにMP3などからDSDへの変換再生に対応する。「第六回ポータブルオーディオフェスティバル2014 in 秋葉原」(ポタフェス)内の発表会で明らかにした。

HF Player。左がiOS版、右がAndroid版

 現在、HF PlayerアプリはiOS用が正式版、Android用がトライアル版としてリリースされている。iOS版は、1,000円のアプリ内課金を行なうことでDSDのDoP(DSD over PCM)出力や、192kHz/24bit WAVなどのハイレゾ音源も再生可能。Android用のトライアル版は88.2kHz以上のハイレゾファイルの場合44.1kHzにダウンサンプリングして再生する仕様となっており、フル機能のバージョンは年末に発表予定としていた。'15年1月に実施されるアップデートにより、Android版もフル機能バージョンとなる。なお、Android版が有償となるかどうかという点は改めて発表される。

設定画面

 1月の最新版ではAndroid版もDSD 2.8/5.6MHzのDoP出力に対応。DSDを含むハイレゾファイルを変換せずにUSB DACなどへ出力して再生可能になる。同社によれば、単にファイルとして再生できるというだけでなく、ビットパーフェクトで出力されているかどうかもチェックしているという。

 USB DACなどへDoPで出力する場合は、'15年春に同社が発売するハイレゾポータブルプレーヤー/アンプの「DAC-HA300」だけでなく、他社のDSD対応USB DAC(一部機種を除く)へもDoP出力できる見込み。

 また、DSD 3MHz、6MHz、12MHzファイル再生にも対応。同形式に対応しないUSB DACの場合は、DSDの出力形式をDoPに設定していても、設定OFFを選ぶことで自動的にDSD 3MHz、6MHz、12MHzのみPCM変換出力にできる。

 DSD再生時の機能として、「DoPのポーズ動作」にも対応。これはDSD再生時の操作中などにポップノイズが入るという問題に対処するもの。DSD再生時は一時停止や曲間などに、自動でPCM信号を待つ状態に切り替わり、その際にポップノイズが発生する恐れがあることから、同機能をONにすると、音が出ていない間もプレーヤー側でDSD信号を0dB(無音)で最大10分間出し続けることにより、この問題の発生を回避できるという。

DSDの出力形式でDoPを選ぶと、DSDを変換せず再生可能。従来と同じPCM変換も選べる
DSDネイティブ再生時の画面
DoPポーズ動作の設定画面

 さらに、MP3やWAV、FLACといった音源をDSD 2.8MHzまたは5.6MHzへ変換して再生する機能をiOS/Android版ともに搭載。PCソフトではコルグの「AudioGate」がDSDへのリアルタイム変換に対応しているが、スマートフォンアプリでの実現は世界初だという。なお、従来通り変換せず元のファイル形式のままで再生することも可能。

 DSDへの変換機能は、単にフォーマットを変えることで高音質を謳うのではなく、オーディオで重要とされる「音の入り口」をより良くするための取り組みだという。DACチップなどのパーツに音質を任せてしまうのではなく、アプリでDSDへ変換する過程においてハイレゾ以外のファイルも同社が推奨する音質で送り出せる利点があり、「(回路構成を自由に変えられる)FPGAに近い思想」としている。変換後のDSDも、他のDAC/ポータブルアンプなどへDoP出力可能。入力するDAC/アンプは通常の1bit信号として受けられる。

 変換時には、通常の2.8/5.6MHzに加え、それぞれに「高精度」というモードも用意。これは演算の乗数を倍以上にしてより正確に計算し、結果的に通常の2.8/5.6MHzよりもSN比が高くなるというもの。これにより、DSDの弱点とされる音圧の低下も防ぐことができたという。

 DSD変換機能は、スマートフォンが持つ処理能力が大幅に向上していることを背景に実現したものだが、高速な処理性能が必要なためスマートフォン全機種で利用できるわけではない。また、高精度モード時は消費電力も大きくなり、2倍以上になる場合もあるという。

リアルタイムDSD変換の設定画面。「高精度」のモードも選べる
iPhone 5sのHF Playerから、オンキヨーが'15年春発売予定のハイレゾポータブルプレーヤー「DAC-HA300」と接続したところ
MP3からDSDへの変換再生。試聴したところでは、MP3らしい高域のザラつきが緩和され、低域の量感や音圧も上がることが確認できた

(中林暁)