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パナソニック、'14年4-12月期は営業利益10%増の2,902億円
テレビ海外生産拠点再編。宇都宮でもテレビ生産へ
(2015/2/3 20:01)
パナソニックは3日、2014年度第3四半期(2014年4月~12月)の連結業績を発表。売上高が前年同期比0.7%増の5兆7,193億円、営業利益は10.3%増の2,902億円、税引前利益は32.2%減の2,080億円、当期純利益は42.2%減の1,404億円となった。
河井英明代表取締役専務は、「テレビ事業をはじめとする課題事業の影響、ヘルスケアなどの事業売却の影響があったため、為替影響を除くと実質減収となったが、リチウムイオン電池やソーラーなどの車載、住宅関連事業は堅調に推移。また、課題事業であった液晶パネルが黒字化するなど、改善は着実に進み、前年並みの営業利益を確保。営業利益率は第2四半期に続き、5%台を確保し、5.7%となった。第3四半期単独では、主要セグメントすべてで増収になった。円安はパナソニック全体にメリットとなり、1円で10億円のプラスになる。第3四半期は50億円のプラス効果、第4四半期も20億円のプラス効果が見込める」と総括した。
なお、税引前利益および当期純利益が前年割れとなっているのは、前年度第1四半期に年金制度改革に伴う一時金を計上していることの反動だという。
地域別売上高は、円ベースにすると、国内が前年同期比3%減の2兆6,776億円。海外では、米州が6%増の9,053億円、欧州が3%減の5,511億円、中国が3%増の7,897億円、アジアが9%増の7,956億円。海外全体では4%増の3兆417億円となった。
「日本では家電や住宅関連に加えて、車載関連でも減収。中国でデバイス関連の売上高減少。米州および欧州では車載関連が伸張したほか、アジアではエアコンをはじめとするアプライアンス製品が堅調に推移した」という。
テレビ事業は海外生産拠点を再編
セグメント別では、アプライアンス社の売上高が前年同期比1%増の1兆3,807億円、営業利益は68%増の446億円。そのうち、テレビ事業に関しては、第3四半期単独の売上高が7%減の1,486億円、営業損失はマイナス54億円の赤字となった。
「2014年10月には、4Kによる高付加価値製品を投入したものの、急激な価格下落や、テレビ事業では為替のマイナス影響もあり減益となった。第3四半期では販売台数も前年を下回った。今後も厳しい状況は変わらない。テレビ事業は量を追うのではなく、収益を重視したい」と述べた。
だが、2014年度通期の見通しについては、「テレビ事業はまだ赤字が残るが、もうひと息で黒字化するところまで改善している。その次の策として、海外生産拠点の再編を行なう。日本市場向けには、為替への影響を考慮し、マレーシアの主力工場に加えて、宇都宮でも生産を行なう。欧州ではチェコ工場での製造を継続し、米国は、ファクトリーダイレクト方式への改革がかなり進んでいるが、生産拠点については検討していく。米国の三洋電機のテレビ生産拠点はすでに売却が完了しており、中国向けはこのほど生産終了を決定した。絞り込みを進めるなかで、高付加価値の製品へのシフトを図っていく」と語った。
また、テレビ事業の位置づけについて改めて言及。「テレビはパナソニックのブランドイメージの維持、向上、そして、住宅事業に力を注ぐなかで、家全体を作り上げるには大事な要素になる。BtoBにおけるブランドイメージ向上にも波及する」と述べた。
なお、アプライアンスでは、白物家電、コールドチェーン、モーター、美容健康関連商品が売上げ増に貢献したという。
エアコンは、日本では天候不順の影響があったものの、アジアでの増販効果があったという。また材料合理化の効果が増益につながったという。
AVCネットワークスの売上高は、前年同期比1%減の8,278億円、営業利益は134%増の216億円。
「プラズマテレビの撤退影響があったものの、為替のプラス影響があったほか、PC事業などを含むモビリティ事業、アビオニクスを含むバーティカル事業での増収があった。昨年来、取り組んできた課題事業の改革成果が出ている」とした。
課題事業のひとつであるデジカメ事業に関しては、「第3四半期は黒字化しており、高い利益率となっている。台数は年間210万台と、当初計画に比べて絞り気味ではあるが、ミラーレスや高級コンパクトデジカメが高い評価を得ている」と、大幅に改善していることを示した。
エコソリューションズは、売上高が2%増の1兆2,243億円、営業利益が7%増の757億円。「国内では、消費税増税後の住宅市場の需要が減少するなか、住宅用ソーラーやLED照明が好調に推移。海外ではトルコのVIKO社の新規連結効果、インドなどの戦略地域での伸張が見られた」という。
エコソリューションズのうち、エナジーシステム事業部は、家庭用ソーラーの好調により、売上高は8%増の1,050億円。「高効率の発電性能を持つHIT太陽電池に高い評価が集まった」という。同事業部はコストダウン効果より増益だという。だが、ハウジングシステム事業部は、住宅着工件数の減少により、前年同期比2%減の983億円と減収。今後はリフォーム事業の強化、海外事業への取り組みによって成長を図るという。ライティング事業部は2%減の888億円、パナソニック エコシステムズは20%増の433億円となった。
オートモーティブ&インダストリアルシステムズは、売上高が2%増の2兆791億円、営業利益は11%増の803億円。「車載関連および電子部品実装機が好調で、事業終息や譲渡による減販をカバーした。将来に向けて車載関連の研究開発費は増加しているが、固定費削減などの効果が増益につながっている」とした。
また、液晶パネル事業については、第3四半期単独の売上高が前年同期比4%減の209億円、営業利益は前年同期の35億円の赤字から0.3億円とわずかに黒字転換した。「4Kテレビ向けや海外向け小型パネルが伸張。非テレビ向けでも成果が出ている。為替の効果も大きい。液晶パネル事業は、全力で黒字化に向けた手を打っており、来期に向けてさらなる合理化に取り組む」と語った。
その他事業では、売上高が18%減の4,472億円、営業利益は85%減の15億円となった。
通期業績見通しは据え置き
2014年度の通期業績見通しは10月公表値を据え置き、売上高は7兆7,500億円、営業利益は3,500億円、税引前利益は1,600億円、当期純利益は1,750億円とした。
パナソニックの第3四半期決算は、この数年の構造改革の成果が着実に表れ、課題事業についても着実に改善していることを示す内容となった。
「テレビ事業の赤字が残っていることや、半導体、光デバイスといった課題事業についても、さらなる取り組みが必要であるのは事実。だが、テレビ事業の改善に向けては着実に進展があり、半導体事業や光デバイス事業についても、方向付けはすでにできており、それをしっかりとやっていく。光デバイス事業については事業の終息に向けて着実に手を打っていく」と語ったほか、「予定を上回る構造改革費用を積み増しし、今年度中に、しっかりと事業構造改革をやることには変わりはない。ただ、課題事業が、今年度の構造改革の終了とともに黒字化するわけではない。翌期以降で黒字化に改善していくことになる。2015年度は、売上げ成長しながら、収益をあげるステージに移行したい」と、来年度以降の成長戦略に意欲をみせた。