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トップウイング、オーディオグレードのSFPモジュール「Silent Fidelity SFP」

Silent Fidelity SFP

トップウイングは、オプティカル・アイソレーションで光変換するオーディオグレードのSFPモジュール「Silent Fidelity SFP」を7月9日に発売する。価格はペアで44,000円、3mの専用ケーブルも付属する。専用オプションケーブルも以下をラインナップする。

  • 1m:5,500円
  • 2m:5,500円
  • 3m:5,500円
  • 5m:6,600円
  • 10m:7,700円
  • 15m:8,800円
  • 20m:9,900円

1芯ファイバーを用いて双方向で通信を行なうため、ペアでの販売となる。ペアで対になるようにそれぞれ送受信波長が異なっており、最適なレーザー素子を採用している。このレーザー素子の関係から、消費電力の安定性に微妙な違いがある。そのため、より安定した方を「For AUDIO」とし、ストリーマーなど下流に近い側にFor AUDIOとラベリングされた方を使用する。

オーディオグレードとして開発されたSFPモジュールで、短距離伝送特化、徹底的な低消費電力、ST-Linkの採用といった特徴があり、「オーディオ用途で主に使われる30m以下の伝送で大幅な音質向上が狙える」という。

SFPモジュールは、ネットワーク通信において電気的信号を光に変える機能を持つ。「これまでは、明白なオーディオグレード製品が存在せず、産業用製品から経験則的に音が良いものを選んで使用していた。産業用製品は、互換性を持つためにコスト制約を受けた国際規格に沿って作られている。産業用途では完成された規格だが、家庭内のオーディオシステムで使うことを考えると改善の余地がある」という。

Silent Fidelity SFPは、最大30mの伝送を前提とした設計で、光送出パワー、受信感度を短距離伝送に最適化。単純に光送出パワーを落とし、受信感度を上げるだけでは、信号のSN比が著しく悪化するため、Silent Fidelity SFPでは、独自の光送受信システム「双方向長波長マルチモード」を取り入れている。

光ファイバー通信には、シングルモードとマルチモードという2つの主要方式がある。シングルモードは単一経路、マルチモードは複数経路で光が伝わるもの。シングルモードでは単一経路にするために信号品質は優れるが、光送出部のサイズを小さくする必要があり、想定した出力パワーを得るために消費電力が増大しやすいという欠点がある。

一方のマルチモードは複数経路のため、光送出部のサイズを大きくでき、想定した出力パワーに対して電力効率が優れている。また、光波長の特性として、波長が長ければ長いほど減衰や損失は少なくなる一方、光送出部は、その材料的・構造的な制約から、安定した性能を維持するために、より多くの電力を消費する傾向がある。

このシングルモードとマルチモード、そして波長の長短が持つ技術的なトレードオフを考慮し、オーディオ用途として最適化するという思想を形にしたのが長波長マルチモードとなる。

Silent Fidelity SFPでは、電力効率に優れるマルチモード方式を設計の基盤とし、そこに独自の長波長技術を組み合わせた。これにより、SN比を悪化させることなく光送受信系を短距離伝送に最適化した。

長波長マルチモードの採用により、光送出パワーを大幅に落とし、受信感度を最適化しながら信号のSN比を高めた。汎用の統合ICや既製の光送受信素子モジュールは使えないため、レーザー素子、レーザードライバ、各種アンプなど、回路を構成する主要な要素を、すべて個別に選定した高性能な単機能デバイスによって構成している。

これらの精密な回路を保護するため、内部に専用の大型金属シールドを新たに搭載。多くの製品で基板上に露出している光素子や各種アンプを、このシールド内に格納。これにより、自然光の流入、光変換時の電気的ノイズを抑えた。

さらに、一般的な規格では必要な温度補償機能とDDM(Digital Diagnostic Monitoring)を省いたこともポイント。これにより、一般的な製品に比べ大幅な消費電力の低減・安定化も達成したとする。

光ファイバーの接続方式にはST-Link方式を採用。金属製プラグにより、確実な勘合も実現。光ファイバーの外被は、一般的なPVCではなく、振動特性に優れたPEを採用している。