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アニメの声優を視聴者投票で選択? Firefox OS搭載STBのハッカソンで様々なアプリ

 パナソニックは、6月10日〜11日に東京国際フォーラムで行なわれている「ケーブル技術ショー 2015」において、Firefox OS搭載のCATV用STB「TZ-HDT620/621」シリーズを対象として5月に開催したハッカソン「アプリジャム」の表彰式を開催。受賞した優秀作品を展示している。

ケーブル技術ショー内のパナソニックブースで「アプリジャム」の表彰式を開催

 「アプリジャム」は、ソフトウェア開発者が集まり、短期間でアプリケーションを開発するイベントのハッカソンを、CATVのSTB向けに行なったもの。パナソニックの「TZ-HDT620/621」シリーズは、Firefox OSを搭載し、HTML5で対応アプリを開発可能。このSTBで利用できるテレビ向けAPIなどを公開しており、これを使って一般参加した開発者らが、テレビで楽しむためのアプリを開発するという内容。5月23日10時〜24日18時に渡って行なわれ、9チーム/36名が参加してアプリを作った。

 STB「TZ-HDT620/621」シリーズは、録画用HDDを内蔵したCATV用STBのハイエンドモデル。3チューナを搭載し、2番組までの同時録画に対応。リモート視聴に対応しているほか、現時点ではSTBで唯一というハイブリッドキャスト(Hybridcast)にも対応しているのが特徴。'14年12月よりCATV事業者向けに提供開始している。

Firefox OS搭載STBの「TZ-HDT620PW(500GB)/621PW(1TB)」

離れた家族と簡単にコミュニケーション。吹き替えする人を視聴者が投票

 今回のアプリジャムで優秀賞に輝いたのは、チーム「ファミスマ」のアプリ、「ファミリースマイル」。テレビ視聴中に、Webカメラで視聴者の顔を撮影して自動で収録。表情認識技術で笑顔と判断された時にそれを静止画として画面上に表示して、どのタイミングで笑顔になったかが後からでも分かるようにしたもの。

 例えば、夜遅くに帰宅した父親が録画番組を視聴した際に、子供が観ていた時にはどのシーンで笑ったかということが分かるというコミュニケーションツールになるほか、離れた場所に住む家族と同時に見ている場合のチャットにも利用でき、話した言葉を音声認識でテキスト化して、一緒にテレビを観て会話するような楽しみ方ができる。さらに応用としては、どの番組のどのシーンで笑顔が多かったかを収集することでビッグデータとし、将来の番組作りに役立てるといった構想もあるという。

優秀賞の「ファミスマ」
笑顔を記録して、後で見返せる

 もう一つの優秀賞受賞作品は、ダイバスターが提案した「RTFO(リアルタイム吹き替えオーディション)」。これは、アニメや洋画など特定のシーンで吹き替えを担当する人を、テレビの前の候補者の中から投票で決定し、選ばれた人が実際に声をあてるという視聴者参加型企画。テレビのそばに設置したカメラの映像/音声と組み合わせて、視聴者がキャラクターなどに声をあてられる。

ダイバスターの「RTFO(リアルタイム吹き替えオーディション)」

 セリフを言うタイミングに合わせて映像を大きく揺らしたり、マンガのような文字をテロップとして表示するといったエフェクトも追加でき、観ている人も楽しめるようにするのも特徴。放送画面に直接文字を重ねるような加工は、通常は番組制作者の意図と一致しない場合があり、地上波では導入が難しいとされている。一方、CATV局が独自で持つ番組で、局側が今回のような活用に積極的な場合は比較的採用しやすいという。こうした点もCATVならではのメリットと言える。

どの人に吹き替えて欲しいか、視聴者が投票。一番左には、自分の顔が表示される
選ばれた人が、タイミングを合わせて声をあてる

 参加者9チームの中で最優秀賞を受賞したのは、iroriが作った「irori」というアプリ。離れた家族が、お互いのテレビでどんな番組を観ているかが分かり、同じ番組を観たい場合はリモコンの[再生]ボタンを押すと、それとチャンネルを切り替えて、同時に観られるようにするというもの。

最優秀作品のirori。左が娘夫婦、右が祖父母の家のテレビというイメージ

 同時にテレビを観ている時以外でも、過去に家族がどんな番組を観たかをリストで確認することもできる。普段はアプリを非表示にでき、家族がチャンネルを変えた瞬間に、他のテレビでも右上にフォクすけ(Firefoxのマスコットキャラクター)のアイコンを表示することでチャンネルが変わったことを通知。それに合わせて、自分のテレビもチャンネルを変えることが可能。相手のチャンネルに合わせると、音声チャットも自動で開始する。

娘の家族が視聴している番組と同じチャンネルに、1ボタンで選局可能
娘がチャンネルを変えると、祖父母のテレビにもフォクすけのアイコンで通知
iroriの仕組み

 今回のアプリジャムに協力したFirefoxのMozilla Japanから、Mozilla賞を受賞したのは、チーム「ネコバス」のアプリ「お母さんサポートTV」。STBとカメラ、センサーを連動させ、来客などをテレビで確認できるようにしたもの。STBでものを動かすIoTに挑戦したという。

お母さんサポートTV

 STB向けアプリ開発の特徴として、オープンプラットフォームの活用で効率的な開発が行なえる点や、既存のJavaScriptライブラリなどが活用できる点、WebIDE開発ツールやSTBシミュレータにより、PC上での開発/デバッグなどが行なえる点、Firefoxのエコシステムで開発をサポートするといった点が挙げられる。前述した「ファミスマ」アプリの笑顔を認識する仕組みも、オープンソースのAPIを活用しているという。

アプリジャム企画の背景
開催のスケジュールなど
受賞作品一覧

 パナソニックのSTBビジネスにおいてビジネスユニット長を務める安藤誠氏がプレゼンター担当。安藤氏は最優秀賞となった「irori」について、シンプルなUIや使いやすさ、家族とコミュニケーションする楽しさなどを評価した。アプリジャムについては、「1回に留めず、2回、3回と続けていきたい。CATV業界が成長する一つの起爆剤になるのでは。今後も地道に続けていきたい」との考えを示した。

パナソニックの安藤誠氏

(中林暁)