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キヤノン、HDR風に撮影できるハイアマ向けビデオカメラ「XA30」。TVで明るく表示

 キヤノンは、テレビ制作などの業務用や、ハイアマチュア、映像制作などでの使用も想定したフルHDビデオカメラの新モデルとして、HDR(ハイダイナミックレンジ)のような臨場感のある映像記録を可能にするという「XA35」と「XA30」の2機種を12月上旬に発売する。価格はオープンプライス、直販サイトの価格はXA35が235,500円、XA30が199,750円。

XA35

 2モデルの違いは、「XA35」のみSDI端子を搭載していること。

SDI端子搭載の上位機「XA35」

輝度を明るくしたテレビと組み合わせてHDR風表示

 共通する特徴として、撮影モードに新たに「高輝度優先(ガンマ)」を追加。中~高輝度の色再現性と、解像感をリアルに表現できるというガンマカーブの事で、中~高輝度でカーブをあまり持ち上げず、階調性を維持。そのガンマカーブで撮影した映像を、輝度を明るめにしたテレビで表示すると、HDRのような映像が楽しめるという。ただし、HDR撮影向けの新しい映像フォーマットではなく、あくまで“表示するテレビの輝度を明るめにする事を想定したガンマカーブ”となる。

モニタの輝度をアップさせる「高輝度優先(ガンマ)」モードも

 撮影中に、輝度を明るくしたテレビでどのように表示されるか把握するため、モニタの表示設定にも「高輝度優先(ガンマ)」モードを追加。モニタは有機ELで、通常時は輝度が150cd/m2だが、同モードでは275cd/m2になる。中間調もガンマ2.2から上げる設定となる。なお、同モード利用時は省電モードが使えず、モニタの消費電力は380mWから565mWにアップする。モニタは3.5型で、約123万画素相当。

左が従来機種で撮影した映像のイメージ、右はXA30/XA35の「高輝度優先(ガンマ)」モードで撮影し、輝度を上げたテレビなどで表示したイメージ

CINEMA EOSで培った「ワイドDRガンマ」も搭載

 CINEMA EOS SYSTEMで培った技術を投入し、「ワイドDRガンマ」機能も搭載。高輝度部分をなめらかに圧縮する事で、スタンダード時と比べて600%の広いダイナミックレンジを実現。ガンマカーブとの連続性を維持しながら、滑らかな階調と白飛びを抑えた撮影ができるという。

XA30

 放送局や雑誌からニーズの高い赤外線撮影にも対応。拡散機能を持った発光ダイオード素子を採用。さらに、従来機種XF105と比較して約3倍明るく、放射角度も広い赤外LEDライトも搭載。夜間でも周囲まで明るく、赤外撮影ができるという。センサー感度も向上しており、赤外撮影時の明るさは、従来モデルと比べて約1.4倍になるとする。色味は緑がベースのものと、白色を用意。デフォルトでは白色となる。

 新センサーはXA25/20と比べ、集光効率がアップ。S/N比は+3dB向上したとする。最低照度は1.2ルクス(1/30秒時)。サイズは1/2.84型、HDR CMOS PROで、動画撮影時の有効画素は291万画素。

 レンズは光学20倍ズーム。焦点距離は26.8mm(防振OFF時)、28.8mm(防振ON時)~576mm。8枚羽根の円形絞りを採用。

 手ブレ補正機能は光学式で、5軸のブレを補正する「ダイナミックモード」や、望遠撮影のブレを低減する「パワードIS」などを装備。撮影アシスト機能として、カメラが自動で切り替える「マルチシーンIS」も搭載する。

 映像処理プラットフォームはDIGIC DV4。記録メディアはSDカードで、ダブルスロットを装備。フォーマットやビットレートの異なる映像を同時記録する事もできる。

 記録モードはAVCHD/MP4が選択でき、どちらのモードでも1080/60p記録が可能。さらに、ニュースなどの速報用モードとして、ファイル容量の軽い3Mbpsモードも用意。カメラに無線LAN機能も備え、FTPファイル転送機能を用いて、撮影後の動画をすぐに転送し、速報ニュースなどにするといった使い方ができる。最大250%のファーストモーション撮影、最大40%のスローモーション撮影も可能。

 操作面では、シーソー式のズームキーを搭載。ビューファインダーは0.24型で、表示は158万画素相当。

 端子としてHDMI、AV、ヘッドフォン出力、USB端子を装備。XA35はさらにSDI端子も備えている。

 5GHz、および2.4GHz帯域の無線LAN機能を搭載。FTPファイル転送機能を備え、あらかじめ設定したFTPサーバーへ、撮影した映像を転送できる。他にも、カメラ内の映像をiOS端末を経由し、YouTubeやFacebookにアップロードする「Movie Uploader」や、ノートPCやタブレット端末のWebブラウザから映像を再生できるようにする「Remote Browser」などの機能を装備。メディアサーバー機能も備え、対応するテレビやPCから、カメラ内の映像を再生する事もできる。

 さらに、Webブラウザ経由でカメラを制御する「Wi-Fi Remote」機能も装備。スマートフォンやタブレット端末のWebブラウザを使い、録画開始/停止や、AF/MF切り替え、フォーカス、ズーム、撮影モード変更、ホワイトバランスモード切り替えなどの操作が可能。

 外形寸法と重量は、XA35が115×231×84mm(幅×奥行き×高さ)で約910g、XA30が115×231×84mm(同)で約905g。

(山崎健太郎)