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ソニー、第3四半期はPS4など好調で営業利益2,021億円。スマホ需要減でCMOS増産は見直し

代表執行役副社長兼CFO 吉田憲一郎氏

 ソニーは29日、2015年度第3四半期(10〜12月)の決算を発表した。売上高は、前年同期比0.5%増の2兆5,808億円。営業利益は同11%増の約2,021億円、税引前利益は同15.2%増の1,933億円。純損益は約1,201億円の黒字。

 第1〜3四半期の累計(4〜12月)は、売上高が前年同期比0.1%増の6兆2,816億円、営業利益が同132.7%増の3,871億円、税引前利益が同176.4%増の4,042億円、純損益は2,361億円の黒字。

 昨年10月に発表した2015年度通期の連結業績の見通しは変更しない。売上高は7兆9,000億円、営業利益は3,200億円、税引前利益は3,450億円、純利益は1,400億円。

第3四半期連結業績

 当四半期は、スマートフォンの販売台数が大幅に減少したモバイル・コミュニケーション(MC)分野や、主にイメージセンサーの大幅な減収のあったデバイス分野で減収となったが、PlayStation 4のソフトウエアが大幅な増収となったゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野や、映画製作が大幅な増収を達成。全体では、ほぼ前年同期並みとなった。

モバイル・コミュニケーション分野

 営業利益は、その他分野、映画分野、MC分野、及びG&NS分野での改善などで前年同期比201億円増加の2,021億円。デバイス分野では、306億円の長期性資産の減損を含む電池事業の悪化などで、損益が大幅に悪化している。当四半期の構造改革費用(純額)は、前年同期に比べ30億円減少し、61億円。

 ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野の売上高は、前年同期比10.5%増加した5,871億円。当四半期でPlayStation 3のソフトウエア、ハードウエアは減収となったが、PS4ソフトウエアやハードウェアが好調で、分野全体で大幅な増収を達成した。営業利益は、前年同期比126億円増加し、402億円。PS4の当四半期での販売台数は840万台、年間見通しは1,750万台。注目の「PlayStation VR」については「発売に向けて準備を進めている。ゲームユーザー以外に、クリエイターからも高い期待をいただいている。新しいエンターテインメント体験の提供にチャレンジしたい」とした。

ゲーム&ネットワークサービス分野
PlayStation VRは「発売に向けて準備している」

 ホームエンタテインメント&サウンド(HE&S)分野の売上高は、前年同期比4.3%減少し、4,020億円。液晶テレビの高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善があったものの、販売台数の減少や市場縮小にともなう家庭用オーディオ・ビデオの販売台数の減少、為替の影響などで、分野全体では減収となった。

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ホームエンタテインメント&サウンド分野

 営業利益は前年同期比19.8%増、52億円増の312億円。コストの米ドル建て比率が高いことによる米ドル高の損益に対する悪影響などもあったが、主にコスト削減や製品ミックスの改善により、分野全体で増益を達成している。為替の悪影響は149億円。

 テレビの売上高は、ほぼ前年同期並みの2,785億円。高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善があったものの、収益構造の改善に向けた売上規模を追わない戦略の徹底で液晶テレビの販売台数が減少、為替の影響もあったという。営業利益は前年同期比66億円増の159億円。

 テレビ事業の通期売上高は、10月見通しから100億円上方修正され、1兆1,500億円。営業利益は130億円上方修正し、380億円。当四半期での販売台数は420万台、年間見通しは50万台上方修正され、1,200万台。

 モバイル・コミュニケーション分野では、売上高が前年比14.7%減の3,845億円、営業利益は241億円。スマートフォン販売台数は前年比430万台減の760万円。売上規模を追わない戦略を徹底し、販売台数は大幅に減少したが、高付加価値モデルへのシフトや製品ミックスの改善、マーケティング費用や研究開発費などの削減で、大幅増益とした。

 デジタルカメラや医療などのイメージング・プロダクツ&ソリューション(IP&S)分野は、売上高が前年同期比5.0%減の1,919億円、営業利益は237億円。ビデオカメラやデジタルカメラの販売台数の減少により減収となったが、デジタルカメラの製品ミックスの改善などにより、増益となった。'15年に発売した4K内視鏡も高く評価されたという。

イメージング・プロダクツ&ソリューション分野
4K内視鏡を製品化

 主要エレクトロニクス製品の年間販売台数見通しについては、液晶テレビは'15年10月時点の見通しから50万台増の1,200万台に上方修正、スマートフォンは従来の2,700万台から2,500万台へと下方修正している。デジタルカメラ(610万台)やPS4(1,750万台)は変更は無い。

'15年度セグメント別の業績見通し

イメージセンサー増産計画は見直し。「スマホは成長鈍化を前提に」

 デバイス分野は、売上高が前年同期比12.6%減少の2,499億円。スマホ向けの需要減少の影響を受けたイメージセンサーや、電池事業の大幅な減収などによって、分野全体でも減収となった。一方で、当初の想定を下回ったがカメラモジュールの拡大があったことや、為替の影響など売上高増加の要因もあった。外部顧客に対する売上高は、前年同期比7.5%減少。

減収となったデバイス分野

 デバイス分野の営業損益は、前年同期は538億円の黒字だったが、第3四半期は117億円の赤字となった。大幅な損益悪化の理由としては、306億円の長期性資産の減損を含む電池事業の悪化、イメージセンサー/カメラモジュールの減価償却費や研究開発費の増加、イメージセンサーの減収の影響などを挙げている。

 今回の決算説明会では、特にデバイスの不振について詳細な説明が行なわれた。また、昨今のスマートフォン向けイメージセンサーの需要減などを受けて、報道陣からもデバイス分野の収益性に関する質問が集中した。

デバイス分野の営業利益の内訳
年度の前半は好調だったが、今期は大幅に落ち込んだ

 吉田CFOはイメージセンサーについて「主な用途であるスマートフォンがハイエンドの製品で11月以降に減少したことが大きく影響している。一部の主要顧客にはカスタム品を提供していることもあって、(需要減があっても)他へ転用することは難しいという側面もある。中長期的な事業の位置づけは変えていないが、これからはスマートフォンは成長鈍化を前提に事業計画を策定する」と述べ、'15年に計画を発表した「'16年9月に月産87,000枚」という増産については見直すことを決定。詳細は年度末の決算発表のタイミングで明らかにする可能性を示した。

 東芝から買収したCMOSセンサーの大分工場における生産計画については「本格的な生産開始は約1年後を予定するが、東芝からの受託生産のミックスのオーダーによって前後する」としている。

 イメージセンサー事業の今後については「現時点では生産体制が整い、モジュールのクオリティは高い。まずはスマホ向けモジュール立ち上げを優先するが、次のチャレンジは、デュアルカメラ(2基のカメラを搭載する)モジュールの立ち上げ。デュアルモジュールの方が、測距などの意味を含めて車載とのつながりも大きい」とした。

 既報の通り、4月1日からソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)とソニー・ネットワークエンタテインメントインターナショナル(SNEI)が、新会社「ソニー・インタラクティブエンタテインメント」(SIE)として統合されることが発表された。この点については、「プレイステーションネットワーク(PSN)は、エレクトロニクスのビジネスながら、プレイステーションをベースとしたエンターテインメントネットワークサービスが強くなり、着実に進化している。今回の決算で、ネットワークサービスの売上が50%増加し、月間ユニークユーザーが6,500万人となった。こうしたサービスとハードウェアが不可分になり、一体的な戦略が必要となっている。本社を米国西海岸に置くのは、デジタルコンテンツの変化はまずはアメリカで起こるため。アメリカをベースとすることが、コンテンツクリエータとの関係を含め最適であろうと考えている」とした。

 エレクトロニクス5分野の2015年12月末の棚卸資産合計は、前年同期末比276億円(4.1%)減少の6,447億円。2015年9月末比では1,888億円(22.7%)の減少となった。

 前述のデバイスなどに比べると、これまで苦戦してきたエレクトロニクス分野が好調である点については「ブランド商品であるXperia、α、BRAVIAといった製品について、社長の平井が言っていることで最も重要なのは“規模追わずに違いを追おう”という点。規模を追わないことは、我々のお客様は誰か、ということをはっきりして市場と販路を決めていくことが機能している。また、4月からの体制で販売会社を統括するのが高木(ソニービジュアルプロダクツとソニービデオ&サウンドプロダクツの高木一郎社長)となってから、オペレーションの意思決定スピードが上がっている」と述べた。

 一方、報道陣から「家電のプレーヤー(参入企業/ブランド)が多すぎるという意見もある」と他社ブランドとの統合の可能性について質問が出ると「デバイスなどは、プレーヤーが少ないメリットはあるが、最終製品については、ブランドを統合することが個別企業の成長や生き残りにつながるかどうかは、一概に言えないのではと思っている」(吉田氏)と述べた。

音楽配信売上増で「市場に発展の兆し」。Fateスマホゲームも利益貢献

 映画分野の売上高は前年同期比26.9%増の2,621億円。映画製作の増収は、映像ソフト収入が前年同期に比べ減少した一方で、「007 スペクター」や「モンスター・ホテル2」が全世界で好調だったことによって劇場興行収入が増加したためだという。営業利益は、前年同期に比べ141億円増加の204億円。

映画分野

 映画については、成長けん引領域として位置付けている中で、「課題は最も売り上げの構成大きい映画製作部門をまず立て直すこと。これまで、どちらかというとアメリカのドメスティックな方針だったのを、グローバルにアピールする方針に変えていく。ただ、映画のライフサイクルは長いため、回復にはある程度時間を要することは申し上げたい」と述べた。テレビ制作については「好調に推移している。引き続き、テレビ制作に対する投資は行ない、OTT(映像配信サービスなど)の販売も広げていく」といた。

 音楽分野の売上高は、主に円安の影響などで前年同期比8.2%増加の1,812億円だった。アーティストビジネスとしては、アデルの最新アルバム「25」のヒットや、ワン・ダイレクションの「メイド・イン・ザ・A.M.」、エルヴィス・プレスリーの「イフ・アイ・キャン・ドリーム:エルヴィス・プレスリー・ウィズ・ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団」、ブルース・スプリングスティーンの「ザ・リバー・ボックス〜THETIES THAT BIND: THE RIVER COLLECTION」などがあった。

 また、SpotifyやApple Musicなど世界的にデジタルストリーミング配信売上の増加による音楽制作の増収で「市場が底を打ち、発展の兆しが見られる」とした。また、モバイル機器向けゲームアプリケーションが好調だったことも挙げ、具体的には、ソニー・ミュージック・グループのアニプレックスによるスマホゲーム「Fate/Grand Order」がヒットして利益に貢献したという。営業利益は、前年同期比15億円増加の274億円だった。

音楽分野
アデルのヒットや、スマホゲームの好調などが利益に貢献
金融分野

(山崎健太郎 / 中林暁)