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8Kで笑点、アニメ、すき焼き映像。試験放送開始に向けテレビ局らが検証コンテンツ

 次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)は、12月から行なう8KのBS試験放送などに向けて、「検証用8Kコンテンツ」の上映を報道関係者向けに行なった。この中で、「笑点 8Kスペシャル」(日本テレビ)や、「自衛隊観艦式」(東北新社)、アニメ「LOOP JAPAN」(電通)など様々なジャンルの8K作品が上映された。

8K撮影の「The 和食 すき焼き」

 今回上映された「2015年度検証用8Kコンテンツ」は、NexTV-Fの社員(加盟社)や賛助会員の放送局/映像制作会社らが提案し、16社42企画の応募から採択されたもの。

日テレの「笑点 8Kスペシャル」

 既報の通り、NexTV-Fは今年NHKとともにBS 17chで8K試験放送を実施。開始はNHKが8月1日、NexTV-Fが12月1日となっている。NexTV-Fの事業の一つとして、4K/8Kの超高精細な映像の特性を活かしたコンテンツを効率的に制作するための制作手法やワークフローの検証、映像規格の策定のための多様なコンテンツの確保を進めており、検証用の4Kコンテンツは試験放送の「Channel 4K」で放送してきたが、8Kコンテンツについても、試写室で上映を行なう。

 なお、既にNexTV-F社員/賛助会員向けには17日に上映しており、3月30日にも実施する予定。NexTV-F関係者に広く視聴の場を設けることで、今後の制作に役立てていく方針。

 今回上映されたのは、2月22日に新装したという東京・渋谷にあるNHKメディアテクノロジーの試写室「THEATER U」。150型スクリーンや、22.2chマルチチャンネル音響システムを備えた8K/4K/3D対応シアターで、8Kプロジェクタのほか、110型8Kモニターによる非圧縮の8K試写も可能。8K/4K再生機として、ExP2レコーダや、XAVCサーバーを備えている。なお、8K3D、4K3Dの上映には別途機材が必要。音響はステレオ、5.1ch、22.2chに対応可能だが、今回の検証コンテンツで用意されたのは5.1chまで。また、各作品の時間は10分、30分、45分など様々だが、今回は約2分間のダイジェスト版を視聴した。

NHKメディアテクノロジーの「THEATER U」
後方にあるプロジェクタ

 「笑点 8Kスペシャル」は、日本テレビの展示会「デジテク 2016」でも上映していた。その時使われていたのは85型モニターだったが、今回は150型の大画面で視聴。大喜利コーナーで、出演者8人全員が映ったシーンでも8人の表情が分かりやすく、各人のアップでは着物の質感も分かりやすい。一方、8人が歩いて入場するシーンでは、高精細なだけにブレが気になるなど、普段テレビで視聴する時は意識しない点が気になることもあった。なお、今回は視聴できなかったが、番組冒頭でおなじみのアニメーションの部分は、HD制作のものをアップコンバートしたという。

日テレ「笑点 8Kスペシャル」

 電通が制作したのは、「LOOP JAPAN」というアニメーション。上空から街を眺める映像で、中心には東京タワーや都庁などの建物などが目立つため、東京をアニメ化したものかと思いきや、よく見ると横浜ランドマークタワーや、富士山、五重塔、ロケット発射基地のようなものも目に入る。これは、日本の様々な名所を1つに集めた仮想空間のようだ。視点は上空から変わらないが、飛行機が飛んだり、地上でマラソン大会が行なわれるなど、様々な人の生活がこの中に収められているのが分かる。視聴者が好きな部分を見て細かな発見がある、8Kを活かした新しいコンテンツの一例と言える。

電通のアニメーション「LOOP JAPAN」

 IMAGICAイメージワークスは、スポーツ映像の「8K 4x4Kテニス」を制作。GoProなどを活用し、足元からコートを映した映像や、選手視点のマルチ画面など、試合中継では見慣れないアングルで選手の動きが楽しめた。

IMAGICAイメージワークスの「8K 4x4Kテニス」
選手視点の映像

 WOWOWによる「The 和食 すき焼き」というコンテンツは、文字通り、すき焼きを作るシーンをアップで撮影したシーンを上映。肉の脂の質感などが鮮明に描かれ、食欲が刺激される

WOWOWの「The 和食 すき焼き」
「自衛隊観艦式 〜相模湾の航跡〜」(東北新社)。遠くのカメラからとらえた、甲板に立つ人々の輪郭がはっきりわかる
NHKエンタープライズ「神が宿る島〜宗像沖ノ島」
ジュピターテレコム「Dance ! 華麗なる世界 〜統一全日本ダンス選手権〜」
讀賣テレビ「今、若冲を観よ 〜細かき処に神が宿る〜」

NHKが8K/HDRコンテンツ制作中で来年度上映へ

NexTV-Fの元橋圭哉氏

 NexTV-Fは、4K/8Kやスマートテレビなど次世代放送サービスの早期実現を目指して'13年に設立されてから3年が経つ。NexTV-Fの元橋圭哉氏は、「4K制作はHDに比べると大変だが、3年が経ち、マルチカメラのライブ収録なども比較的容易にできるようになった。今の8K制作は、ちょうど3年前の4K制作と同じくらいではないかと感覚的に思っている。これから2、3年すると今の4Kくらいに8Kも飛躍的に進むのでは」とした。

 なお、今回の8K検証コンテンツは、前述したような笑点でのブレのあるシーンのほか、NHKエンタープライズによるヘリからの空撮では、映像補正しないと8Kでは見づらくなるなど、意図しなかった課題も見つかったため、そうした部分も含めて多くの関係者に見せることで、ノウハウを積み上げていくことを目的としている。

 今回の上映には間に合わなかったが、博報堂DYメディアパートナーズは、「日本美〜壇蜜、増上寺で舞う〜(仮)」というコンテンツの編集を行なっているほか、NHKエデュケーショナルは8K/HDRのコンテンツを制作中だという。

 3月30日には、壇蜜の映像も追加した形でNexTV-F会員らに向けて試写会を行なうほか、来年度、NexTV-FがDpaと合併する新団体「A-PAB」発足後に、何らかの形でNHKの8K/HDR作品も上映される見込み。

2015年度検証用8Kコンテンツ採択案件

日本テレビ「笑点 8Kスペシャル」 娯楽(45分)
讀賣テレビ「今、若冲を観よ 〜細かき処に神が宿る〜」 教養、バラエティ(10分)
WOWOW「The 和食 すき焼き」 料理、無形文化遺産(10分)
東北新社「自衛隊観艦式 〜相模湾の航跡〜」 ドキュメンタリー(10分)
ジュピターテレコム「Dance ! 華麗なる世界 〜統一全日本ダンス選手権〜」 スポーツ(30分)
電通「LOOP JAPAN」 アニメーション(10分)
博報堂DYメディアパートナーズ「日本美〜壇蜜、増上寺で舞う〜(仮)」 教養(10分)
IMAGICAイメージワークス「8K 4x4Kテニス」 スポーツ(10分)
NHKエデュケーショナル【HDR制作】「光の和紙アート(仮)」 教養、美術(10分)

(中林暁)