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新プレーヤー「AR-M20」、直販先着30人に約28,000円のKlipsch「X10」付属

 フロンティアファクトリーは、Acoustic Research(AR)のハイレゾプレーヤー「AR-M20」を6月17日に発売するのに先駆け、5月17日にAR公式ストアにて予約受付を開始。早期予約特典として先着30人に、価格据置でKlipschのイヤフォン「X10 Rev.1.2」をプレゼントする。

ARのハイレゾプレーヤー「AR-M20」

 AR公式ストア(フロンティアファクトリー ダイレクトストア)だけの特典となっており、M20の価格は直販税込79,920円(税抜74,000円)。なお、「X10 Rev.1.2」の直販価格は28,944円(税込)となっている。

 タッチパネルタイプの5型ディスプレイを搭載。OSにはAndroid 4.3を採用し、専用のプレーヤーソフトもインストールされている。内蔵メモリは32GB。200GBまでのカードが利用可能。microSDXCスロットも備えている。ヘッドフォンアンプにはTIの「TPA6120A2」採用。CPUはクアッドコアのCortex-A7。

背面。エレガントなデザインになっている
上位モデル「M2」と比べ、薄型化した筐体

 DACはバーブラウンの「PCM5242」を採用。DACによるダイレクトドライブ方式を採用。アンプにはTIの「TPA6120A2」を使っている。再生可能なファイルは、PCMが384kHz/32bitまでに対応。ただし、384kHzは192kHz、352.8kHzは176.4kHzへとダウンコンバートしながらの再生になる。対応ファイルはFLAC、Apple Lossless、WAV、DXD、APE、AIFF。DSDは5.6MHzまでの再生が可能だが、PCM変換再生となる。

 出力はステレオミニのヘッドフォンのみ。ヘッドフォン出力は、228mW×2ch(16Ω)、130mW×2ch(32Ω)、15mW×2ch(300Ω)。IEEE 802.11b/g/nの無線LAN機能も備えている。バッテリは3,150mAhで、再生時間は最長16時間。充電所要時間は4時間。外形寸法は136×70×10mm(縦×横×厚さ)。重量は177g。

出力はステレオミニのヘッドフォンのみ

AR-M20とX10を組み合わせて聴いてみる

 直販サイトで先着30人にプレゼントされる「X10 Rev.1.2」は、日本で2008年から約3年間、当時のフラッグシップとして販売され、その後、販売を終了したが、2014年に復活したイヤフォン。

X10 Rev.1.2

 小型のフルレンジ・バランスド・アーマチュアユニット「KG 926」を1基搭載し、スリムなハウジングが特徴。AR-M20と組み合わせるとどんなサウンドが楽しめるのか、実際に聴いてみた。

 M20の音の傾向は、以前の記事で軽く紹介しているが、既発売の上位モデル「M2」とはやや方向性が異なる。

 M2はどちらかと言うと、アンプの馬力の強さを感じさせるパワフルなサウンド。デザインはエレガントだが、出てくる音は、ロックなどを迫力満点で聴かせてくれる。同時に、ハイレゾプレーヤーらしい情報量の多さを備えているので、決して迫力ばかりで大味な音ではない。“重心の低いピュアオーディオ”というイメージだ。

 新モデルのM20は、パワフルさよりもバランスを重視した印象。見通しが良く、空間が見通しやすい。中高域の分解能の高さもわかりやすく、ハイレゾの細かな表現を味わいやすいサウンドになっている。

 同時に、M2でも感じられた高域のまろやかさ、独特の“品の良さ”はM20でも引き続き持ち味として備えている。女性ボーカルのサ行などが耳に刺さるようなキツイ高域ではなく、デザインと同様のエレガントな響きが高音域での魅力に繋がっている。

 イヤフォンのX10 Rev.1.2は、BA×1基のシンプルな仕様だが、耳穴の奥まで挿入しやすく、それゆえシングルBAモデルながら豊かな低音が楽しめるのが特徴だ。また、シングルBAならではの、上から下まで、繋がりの良い自然なサウンドが持ち味となっている。

 「茅原実里/この世界は 僕らを待っていた」(96kHz/24bit)を再生すると、M20のスッキリとしたサウンドの魅力を、X10が素直に再生しているのがわかる。M2ほどパワフルではないが、ベースなどの低域の沈み込みは十分深く、ドライブ能力も高い。むしろM2と比べ、M20のバランスの方がベーシックで良いと感じる人もいるだろう。

 「藤田恵美/camomile Best Audio」から「Best of My Love」を再生しても、アコースティックベースの響きに適度に締まりがあり、BAらしいトランジェントの良さも手伝い、弦の描写が細かくて心地が良い。

 BAイヤフォンの高域はともするとキツイ表現になる場合もあるが、X10ではそのような事はなく、ナチュラルなサウンドだ。そこに、M20の艶やかな表現が組み合わさると、あたたかみのあるホッとさせるサウンドが楽しめる。「手嶌葵/The Rose」など、女性ボーカル+ピアノなどのシンプルな楽曲が美しい。

 X10は再生周波数特性5Hz~19kHzと、いわゆる“ハイレゾ対応イヤフォン”ではないが、ベーシックなイヤフォンとしての再生能力の高さには定評がある。M20のような駆動力のあるハイレゾプレーヤーでドライブすると、その音質の良さを再確認できる。また、ハイレゾの魅力は高域だけでなく、分解能の高さなど、音楽の微妙なニュアンスが封じ込められた情報量の多さにある。X10のような微細かつ、自然なサウンドのイヤフォンと組み合わせても十分楽しめるだろう。

(山崎健太郎)