JEITA、2009年の電子情報産業は前年比15%減の190兆円

-'10年は緩やかな回復。「3D TVが付加価値に」


JEITA大坪文雄会長

12月15日発表


 社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)の大坪文雄会長(パナソニック代表取締役社長)は15日に会見を行ない、同協会が調査した電子情報産業の世界生産の見通しについて発表した。

 全世界における電子情報産業の生産規模は、2009年見込みで前年比15%減の190兆2,887億円となり、2桁の大幅減少となる。ただし、2010年は、各国の景気対策などにより経済は回復基調とし、2010年の見通しは'09年比で5%増の200兆4,359億円を見込んでいる。

 ITソリューションを除く、電子工業(電子機器+電子部品+デバイス)の世界生産額は、2009年見込みで19%減の135兆1,037億円。2010年の見通しは前年比7%増の143兆130億円とした。

 大坪会長は、「現在の不況は企業努力だけで解消するのは厳しく、各国の政策支援が下支えしている状況。デフレや海外企業の競合など課題は大きいが、底打ち回復の期待を込めた生産見通しだ」と述べ、統計の概要を説明。「2006、7年は薄型テレビが世界市場に急速に浸透し、経済の堅調な動きを背景にしたIT投資などにより大きく規模が拡大した。しかし、2008年の金融危機を受け、2008、9年と連続してマイナスとなった。特に製品、部品などのハードの落ち込みが大きかった」とする。

 日系企業における電子情報産業の生産規模は、2009年見通しで前年比19%減の38兆6,536億円、2010年見通しは'09年比で5%増の40兆4,113億円とした。

 そのうち電子工業では、2009年見込みが前年比21%減の33兆2,377億円、2010年見通しは5%増の34兆9,773億円。ITソリューションの2009年見込みは3%増の5兆4,159億円。2009年の電子工業の内訳は、AV機器が前年比17%減の8兆3,567億円、通信機器が同18%減の3兆4,784億円、コンピュータ/情報端末が同19%減の7兆57億円。

 AV機器では、薄型テレビが前年比4%減の4兆1,975億円、映像記録再生機器が同13億円増の5,261億円、撮像機器が同21%減の1兆7,778億円、カーAVC機器が同28%減の9,943億円、音声機器が同15%減の7,354億円となっている。

電子情報産業の世界生産見通し電子情報産業の世界生産見通し(日系企業)
電子工業の世界生産見通し

 2010年における主要民生用電子機器の日系企業生産シェアでは、薄型テレビが41%、撮像機器(ビデオカメラなど)がシェア88%、映像記録再生機器(BD/DVDプレーヤーなど)が57%、カーAVCが50%と見込む。薄型テレビの市場規模は10兆3,279億円を見込み、うち日系企業生産が41%。そのうち22%が国内生産となる。民生用電子機器の世界生産は穏やかな伸びが予想されるが、価格下落や新興国向けの低価格商品が拡大傾向とする。

 大坪会長は、「経済環境は持ち直し傾向ではあるが、予断は許さない。国内での先端製品の製造や雇用で国に貢献しているが、今の為替状況は大きな懸念事項。中長期的には政府の大きなリーダーシップ、活動への一層の理解を期待している」と語った。

 また、年末商戦を含む、市場の現状分析については、「日本においては、テレビは、エコポイント効果などで台数ベースでかなり伸びているが、金額は台数ほどは伸びていない。エコポイントもあり冷蔵庫は前年はクリアしている。その他の大型商品は決して好調とは言えない。一部は好調だが、全般的には好調とは思えない。北米地域については、ブラックフライデーの商戦も順調ではない。特にテレビはエコポイントのような政策支援も無く、価格下落が進んだ。台数は伸びても金額は厳しい。ヨーロッパも極めて厳しい。一方、中国は家電家郷の効果で他の地域と比べると順調。ただ、政府の景気刺激策の恩恵を、我々が直接受ける分野が少ないので、大きな影響というほどでもない。デフレがかなり鮮明になっており、2009年よりは良くなるにしても、特に2010年の前半は極めて戻りは鈍く、経営環境は厳しいだろうという認識」と言及した。

 一方、「エコポイントの継続は心強い」とし、「特にテレビにおいては、アナログ停波が控えており、それに向けての駆け込み需要を平準化する効果も期待している。価格低下は続くだろうが、例えば3Dを立ち上げ、またLEDバックライトのテレビも増えるなど、付加価値追求の業界の努力も見られる。欧米では国の刺激策が無いが、2010年度以降、3Dが付加価値と認知されると期待している。また、省エネが社会のニーズになっている。そのニーズを抑えて、きっちり付加価値を提案し、需要を刺激したい」と語った。


(2009年 12月 15日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]