春のヘッドフォン祭 2010【フォステクス/ラディウスなど】

-iPod用アンプ兼デジタルトランスポート。高級カナルも


会場の様子

開催日:5月8日

開催場所:中野サンプラザ 15階

入場料:無料

 東京・中野にあるAV機器の専門店フジヤエービックのデジタルスタイルショップが主催する「春のヘッドフォン祭 2010」が5月8日の土曜日、中野サンプラザにて開催された。入場料は無料。


■ フォステクス

参考展示された2台のポータブルヘッドフォンアンプ。どちらもモックアップ
 フォステクスのブースでは、2台のポータブルヘッドフォンアンプが注目を集めている。年内、早ければ10月頃の製品化を目指しているというもので、iPhoneやiPodを筐体の中に取り込める大型タイプと、Dockケーブル接続する薄型タイプの2種類のモックアップが展示されていた。

 大型タイプはベッドのようにiPhone/iPodを筐体に乗せ、上からホールド用ガイドを降ろして固定。iPhone/iPodとアンプはDock端子で接続し、iPhone/iPodからデジタル信号をそのまま取り出し、搭載するDACでアナログ音声に変換、さらに内蔵ヘッドフォンアンプで高品質に増幅してイヤフォン/ヘッドフォンで楽しむという構成になっている。バッテリも内蔵。

iPhone/iPodを乗せ、上からホールド用ガイドを降ろして固定する側面端子部。光デジタル出力も備えているボリュームつまみなど、ポータブルながらしっかりしたパーツを採用

こちらは薄型モデルの底面。Dockケーブルを介してiPhone/iPodと接続する天面。光デジタル出力も備えている

 さらに、筐体側面に光デジタルなどのデジタル出力端子も装備。iPod用デジタルトランスポートとして、デジタル信号を取り出し、単体DACなどに接続するといった使い方も想定。USB端子も備え、USBオーディオとしても動作する。こうした特徴は薄型タイプも同様。搭載する端子や機能、サイズ、デザインなどは未定であり「今回のイベントでの反響や要望を反映させつつ、開発を進めたい」としている。価格も未定だが、「7万円程度のイメージ」だという。

 同社ブースではほかにも、32bit DAC搭載のヘッドフォンアンプ「HP-A7」や「HP-A3」などの新製品を展示。さらに、前回のイベントで参考展示した大型ヘッドフォンも再び参考展示。ハウジングに桜の木を使っており、表面に漆を塗っているのが特徴。

「HP-A3」などの新製品が体験できる大型ヘッドフォンも参考展示

■ ラディウス

ドブルベの新モデル。黒と金をあしらったシックなデザインになる予定
 ラディウスのブースでは、ダイナミック型でありながら、ウーファとツイータ、2基の振動板を搭載したカナル型「W(ドブルベ)」の新モデルが参考展示されている。年内発売の見込みで、価格は従来モデルと同様の1万円台半ばを予定している。

 デザインは未定だが、赤と金のカラーを採用した従来モデルと比べ、黒と金を採用するなど、シックなカラーになる予定。2つの振動板を内蔵する特徴を備えつつ、低音が豊富な従来モデルと比べ、若干高域寄りのバランスの良さに注力したモデルになる予定。

 ラディウスではさらに、iPodトランスポートも参考展示。アナログ/デジタル出力を備え、iPodの再生音をデジタルデータのまま出力できるのが特徴。DACやヘッドフォンアンプも内蔵する予定だが、どのようなクオリティのパーツを搭載するか、製品の価格帯をどの程度にするかなどを、現在検討している段階だという。こちらも年内発売の予定。


iPodトランスポートの試作機端子などは変更になる可能性がある

■ オヤイデ

 オヤイデ電気のブースでは、近日発売予定のFiiOのポータブルヘッドフォンアンプの新モデル「E7」を展示。ステレオミニのアナログ音声入力と、2系統のヘッドフォン出力を備え、バッテリを内蔵したポータブルヘッドフォンアンプで、USB DAC機能も装備。TIの「PCM2706」をUSB DACとして内蔵するほか、メインDACにはWolfsonの「WM 8740」とADのオペアンプを組み合わせて使用している。

 また、ヘッドフォンアンプとして世界初という有機ELディスプレイを装備。多機能なモデルだが、価格は1万円程度に抑えられる見込みだ。

FiiOのポータブルヘッドフォンアンプ「E7」側面の操作部
底面ヘッドフォン出力は2系統備えている

□関連記事
【2010年4月5日】オヤイデ、FiiOの新ヘッドフォンアンプ情報を公開
-有機EL搭載でUSB DAC機能付。80時間駆動
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20100405_359264.html



■ ポーカロライン

 ポーカロラインのブースでは、米Microsharのポータブルヘッドホンアンプ新モデルを展示。USB DAC機能も供えた「μAMP109G2+」と、ヘッドフォンアンプのみの「μAMP109G2」をラインナップし、5月20日頃発売予定。価格は「G2+」が45,800円、「G2」が35,800円前後の見込み。従来モデルより若干高価になっている。

 従来モデルとの違いは、両モデルとも電源部を改良し、オリジナルリチウムイオンバッテリを搭載する事で、連続使用時間が8時間から最大12時間になった事。非連続使用では最大30時間の使用が可能という。さらに充電時間も3時間に短縮された。

左がUSB DAC機能も備えた「μAMP109G2+」、右がヘッドフォンアンプのみの「μAMP109G2」一番左が従来モデル。右2つが新モデル。表面がアルマイト加工されている「μAMP109G2+」の背面。USB入力も備えている

 さらに筐体もサイズダウン。表面もアルマイト加工し、端子部やビスの突起も抑え、フラットな仕上げになっているのも特徴。バッグなどに収納した際に、傷がつきにくくなったという。


端子やビスの出っ張り具合を比較。新モデル(左)はフラットになっている

NET-200
 ブースではほかにも、3月20日に発売が開始されたtangentのネットワークオーディオプレーヤー「NET-200」(99,800円)を展示。EthernetとIEEE 802.11b/g対応の無線LANを装備。インターネットラジオ機能に加え、パソコンやLAN HDDに保存している音楽ファイルをネットワーク経由で再生できる。

□関連記事
【2010年3月12日】ポーカロライン、tangentネットオーディオ「NET-200」
-ネットラジオやPC内ファイルのネットワーク再生対応
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20100510_366088.html



■ フューレンコーディネート

 フューレンコーディネートのブースでは、コンパクト&カラフルな筐体が特徴の「icon」シリーズの新モデル「icon HDP」を参考展示していた。スピーカーを駆動する機能は無いが、ヘッドフォンアンプ、DACとして使用できるモデルで、入力端子としてUSB、光デジタル、アナログ音声(RCA)を各1系統装備。出力はアナログ音声(RCA)と、前面にヘッドフォン出力を備えている。発売時期は未定で、icon Ampより若干高価になる見込み。

icon HDP

■ カナル型イヤフォンの新モデルも多数

 初のバランスドアーマチュアユニット採用モデル「FI-BA-SS」(オープンプライス/実売98,000円程度)を発売した、ファイナルオーディオデザインのブースでは、「FI-BA-SS」を試聴する人が多く集まっている。

 さらに、参考展示モデルも用意。2つはアーマチュアの普及価格帯向けモデルとして開発が進められているもので、真鍮筐体とアルミ筐体が開発中。ほかにも、8mm径のダイナミック型マイクロユニットを採用したモデルなども展示された。

初のバランスドアーマチュアユニット採用モデル「FI-BA-SS」アーマチュアの普及価格帯向けモデルも参考展示。左がアルミ、右が真鍮モデル

 ミックスウェーブのブースでは、米JHAudioのバランスド・アーマチュアユニット搭載モニターイヤフォン「JH 16Pro」、「JH 13Pro」、「JH 11Pro」が試聴できる。JHAudioは、Ultimate Ears(UE)創設者のジェリー・ハービー氏がUEを売却後、'09年に設立したメーカー。同日はロジクールのブースでUEの最上位モデル「Ultimate Ears 18 Pro Custom Monitor」(日本発売未定)も展示されたため、両メーカーの音を聴き比べる来場者の姿が多く見られた。

JHAudioの「JH 16Pro」UEの最上位モデル「Ultimate Ears 18 Pro Custom Monitor」

 ユーザーの耳型に合わせて成型(インプレッション)する製品であるため、価格は明確に決まっていないが、インプレッション代金込みで、16Proが16万8,000円前後、13Proが16万円前後、JH 11Proが13万3,000~13万5,000円前後。

JH 13ProJH 11Pro

 16Proはバランスド・アーマチュアユニットを8基(低域×4/中域×2/高域×2)搭載する3ウェイ構成で、10Hz~20kHzをカバー。13Proは、低域/中域/高域それぞれ2基の3ウェイ/6ユニットを搭載。周波数特性は10Hz~20kHz。11Proは、低域×2/中域×1/高域×1の3ウェイ/4ユニットで、周波数特性は10Hz~17kHz。


■ その他

アコースティックリバイブのブースでは、リケーブル用のヘッドフォンケーブルが多数参考展示。6月頃の発売で、AKG Studioシリーズ、パイオニアHDJ-2000用モデル(ミニXLR-6.3mm)、ULTRASONE PROシリーズ用(3.5mm-6.3mm)、ゼンハイザーHD650用(シングルエンドモデルとバランス用意)。HD800用も開発中だという。HD650/800用には完全非磁性・防振構造ロジウムメッキのプラグを新規開発。プラグのみの販売も予定されているオルトフォンブースではUSBケーブルを参考展示。銀をふんだんに使ったというモデルで、50cmの価格が1万円前後の見込み
オーディオテクニカブースでは発売されたばかりのSOLID BASS新モデル「ATH-CKS90」や、ポータブルヘッドフォンアンプなどを展示フックアップのブースではAntelopeの「ZODIAC+」というプロ向けのUSB入力対応ヘッドフォンアンプを紹介。192kHz対応DACを搭載し、コンシューマ向けに機能を絞ったシルバーの「ZODIAC」と、高品位パーツを投入して384kHzまで対応する「GOLD」も7~8月に発売予定。価格はシルバーが25万円前後、GOLDが45万円前後

(2010年 5月 10日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]