三洋、地デジ12セグ搭載で最薄/最軽量のポータブルナビ

-「ゴリラ」3モデル。「PNDも高付加価値へシフト」


NV-SD760FTを手にする宣伝キャラクターの関根麻里さんと、三洋電機コンシューマエレクトロニクスの大庭功社長

 三洋電機は、カーナビ「ゴリラ」の新製品として、12セグの地デジ搭載ポータブルナビで業界最薄/最軽量という「NV-SD650FT」など3製品を10月21日より順次発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は下表の通り。

型番画面サイズ
解像度
テレビチューナ発売日店頭予想価格
NV-SD760FT7型
480×240ドット
12セグ/ワンセグ11月10日10万円前後
NV-SD650FT6.2型
480×240ドット
12セグ/ワンセグ10月25日8万5,000円前後
NV-SD741DT7型
480×240ドット
ワンセグ10月21日8万円前後

 いずれも16GB SSDを内蔵するポータブルナビ。NV-SD760FTとNV-SD650FTは12セグの地デジチューナを内蔵し、回路の集積化やミニB-CASカードの採用により本体を小型化。6.2型のNV-SD650FTは薄さ23㎜、重さ約345gで業界最薄/最軽量としている。

NV-SD760FT(左)とNV-SD650FT(右)12セグ搭載メモリナビで最薄/最軽量を誇る「6NV-SD650FT」(右)と従来の12セグ搭載モデル(左)を比較ワンセグモデルのNV-SD741DT

 テレビ機能では、受信状況に応じた12セグ/ワンセグの自動切り替え機能や、放送エリアをまたぐ場合の中継局サーチ機能も備える。NV-SD741DTはワンセグチューナのみ搭載する。

 視聴中のチャンネルの情報を見られる簡易EPGや、字幕表示に対応する。SDカードへの録画機能も搭載し、12セグチューナ搭載のSD760FT/650FTを含め、録画はワンセグとなる。録画予約も可能だが、予約設定は時間指定によるもので、EPG予約には非対応。

 受信は2本のアンテナと2基のチューナを使用。デジタルデータに変換した後で合成することにより、誤り訂正率を向上させている。家庭でのテレビ視聴も想定しており、ACケーブルが付属。また、家庭用のF型コネクタへのアンテナ変換ケーブル「NVP-ANX2」も発売する。

上位2モデルに12セグチューナを搭載チューナ回路を面積比で従来モデルの70%に小型化したミニB-CASカードを採用した
NV-SD760FT

 その他のAV機能として、SDカード内の動画/音楽/静止画再生に対応。4月に発売した「NV-SD740DT」などと同様に、動画はMPEG-4 SPとMPEG-4 AVC/H.264を、音楽はWMA/MP3を、静止画はJPEGを再生できる。SDカードから本体メモリにデータをコピーできる「Myストッカー」機能も搭載。なお、本体メモリからSDカードへの書き出しは行なえない。静止画スライドショーの「フォトフレーム機能」も備える。

 内蔵スピーカーは3モデルとも1W×2ch。SD760FT/650FTはAV出力端子を備え、3モデルともバックカメラ入力を装備。SD760FTのみAV入力(出力端子と兼用)も可能となっており、ポータブルDVDプレーヤーなどの映像/音声を入力できる。SD760FT/650FTは付属スタンドが変更され、スタンド部にVICSアンテナやパーキングブレーキケーブルなどの端子を配置。本体着脱時にケーブルの抜き差しが不要になった。

ロッドアンテナを2基搭載(写真はNV-SD760FT)NV-SD760FTの側面端子部NV-SD760FTのミニB-CASとSDカードスロット部
SD760FT/650FTの付属スタンドが変更され、着脱が容易に

 ナビ機能では、4月発売モデルと同様に、起動時の位置情報表示を高速化する「クイックGPS」を搭載。GPSのほか、上下/左右のジャイロセンサー、加速度センサーも搭載。FM-VICSも内蔵する。エコ運転をアシストする「エコドライブ情報」も利用可能。地図は2010年4月末締めのデータを採用している。AC接続時は縦画面表示も可能。1年間の盗難補償も設けており、ユーザー登録しておくことで、車上荒らしでナビが盗難された場合、同モデルまたは後継モデルが無償で提供される。

 なお、10月末に発売される同社の「ゴリラプラス」(NV-SP200DT/実売5万円前後)とは異なり、NTTドコモのテレマティクスサービス「ドコモ ドライブネット」には対応しない。


業界最大という16GBメモリを内蔵する4月末締めの地図を採用エコドライブ機能を備える


■ '11年の完全地デジ化に向けPNDも高価格帯へ

三洋電機コンシューマエレクトロニクスの大庭功社長

 ポータブルナビ(PND)の市場動向と新製品のコンセプトについて、三洋電機コンシューマエレクトロニクスの大庭功社長が説明。国内ナビ市場が500万台前後で推移するなか、PNDは'10年度に全体の24.5%を占め、'11年度は26%の135万台に達すると同社は予測している。

 こうした中で'09年にゴリラはPNDのシェアで50%を獲得したが、大庭社長は単価の下落を懸念。'10年度上期を前年同期と比較すると、ローエンドモデル(4万円未満)の台数割合が20%→40%に増えた一方で、ミドルクラス(4万円以上7万円未満)が64%→44%に減少している。デフレ傾向の中で、「時流に合った商品」と「高付加価値商品」により高価格帯へのシフトを図ると述べた。

 新モデルについては「2、3年前のモデルと比べると飛躍的に薄いナビが完成した」と自信を見せ、12セグチューナ内蔵ながら薄型/軽量を実現したことをアピール。これまでの「ETC特需」や「エコカー補助金」といった業界の追い風と同様に、'11年7月のテレビ完全デジタル化を新たなビジネスチャンスととらえ、“クルマの地デジ化は、ゴリラにおまかせ”というキーワードで「PNDの高付加価値市場を創造する」とした。


国内ナビ市場の推移と今後の予測ゴリラは'09年にPNDのシェア5割を獲得したという価格帯別の製品の割合。ローエンドがミドルクラスのシェアを奪っている
'11年7月に向け、「テレビだけでなくカーナビも地デジ対応」を訴求“クルマの地デジ化は、ゴリラにおまかせ”がキーワード

 宣伝キャラクターにはタレントの関根麻里さんを引き続き起用し、10月1日からWebでのCM動画を配信開始。発表会場にもゲストとして登場した。

 新モデルの特徴であるサイズについて、2年前のモデルと比較してその違いに驚いた関根さん。車だけでなく家でも使えることから「愛犬のライルの写真を観たい。ポータブルだから移動先でも見られる」と気に入った様子だった。

関根麻里さん車でも、家庭でも利用できることをCMなどでアピールしている関根さんはミニB-CASカードの小ささにも驚いていた


(2010年 10月 1日)

[AV Watch編集部 中林暁]