オンキヨー、3D対応のAVセパレートアンプ最高峰モデル
-分離/防振構造を徹底したAVプリと9chパワー
9chパワーアンプ「PA-MC5500」(上段)と、AVプリアンプ「PR-SC5508」(下段) |
オンキヨーは、AVセパレートアンプを10月29日に発売する。価格は、AVプリアンプ「PR-SC5508」が262,500円、9chパワーアンプ「PA-MC5500」が210,000円。
同社のフラッグシップAVアンプ「TX-NA5008」に搭載された高画質/高音質化技術を、セパレートの筐体に搭載し、それぞれ防振構造などを徹底したことで、振動や信号干渉などの影響を抑え、更なるクオリティの向上を追求。シャーシには、機械的な振動を抑える凹凸の無い設計を採用している。また、両製品はバランス(XLR)接続も可能となっている。
一体型のTX-NA5008と音質面で比較すると、特に映像/音声部を離してレイアウトした効果として、ノイズよりさらに下のローレベルの音量における高域に変化が表れ、クリアな倍音成分を表現できるとしている。
なお、両製品は型番の末尾の数字が異なるが、AVプリは、(一体型の)TX-NA5008などと同様に新世代のフォーマットに対応したことを明確にしている一方、パワーアンプはあえて1ケタの数字をいれないことで「今後新しいフォーマットが出ても長く使える」という意味合いを込めている。また、ピュアオーディオのユーザーの「映像も高品質化したいが、手持ちのアンプも引き続き使いたい」という要求にも応えるとしている。
PR-SC5508 | PA-MC5500 | PA-MC5500(左)と、PR-SC5508(右)の内部構造 |
■ AVプリアンプ「PR-SC5508」
PR-SC5508 |
HDMIのVer.1.4aなどの最新フォーマットへの対応を特徴とするAVプリアンプ。3D映像のパススルーや、オーディオリターンチャンネル(ARC)に対応する。HDMI入力の数は8系統。出力は2系統で、同時出力も可能(ARC対応は1系統のみ)。
ドルビーTrueHDやDTS-HD Master AudioなどのHDオーディオに対応するほか、フロントハイスピーカー対応のドルビープロロジックIIz、フロントハイ/ワイド両対応のAudyssey DSXもサポート。THX Ultra2 Plusにも準拠している。
音声DACは32bit/192kHz対応のTI/バーブラウン「PCM1795」ステレオチップを6個搭載。映像面では、映像プロセッサの「HQV Reon-VX」を搭載し、アナログ映像入力からの映像信号をアップスケーリングしてHDMIから1080pで出力できる。
映像/音声などの基板を多段レイアウトでセパレート配置 | 映像処理関係の基板 | 大型トロイダルコアトランスを中心に、3つのトランスを配置 |
前面の端子/操作部。HDMIやUSBを備え、USBはiPod/iPhone接続に対応 |
USB端子を備え、iPod/iPhoneのDockコネクタとiPod/iPhone付属ケーブルで接続することにより、楽曲のデジタル伝送/再生にも対応。対応iPod/iPhoneは第5世代iPodと、iPod nano/classic/touch、iPhone 3G/3GS。また、USBメモリなどに収めた楽曲ファイルも再生できる。なお、USB端子は前面/背面に各1系統備えているが、iPod/iPhoneデジタル入力への対応は前面端子のみとなる。
また、DLNAに対応し、LAN接続したパソコンなどからの音楽を再生可能。対応ファイルはWAV/WMA(DRM対応)/WMA Lossless/MP3/AAC/FLAC/Ogg Vorbisなどで、24bit/96kHzのファイルもサポートする。また、Windows 7に対応し、PCの音声を高音質で再生する「Play To」機能を備えている。さらに、インターネットラジオの聴取も可能。
本体にFM/AMチューナも搭載。操作系では、BDなどを視聴しながら、画面の右下部に映像/音声フォーマットや、使用中のサラウンドモードなどが確認できるOSDメニューを採用している。
DLNA経由で24bit/96kHzの高音質楽曲を再生可能 | BDなどの再生中に映像や音声のフォーマットがOSDで確認できる | スピーカー設定画面。フロントハイ/ワイドのスピーカーに対応 |
背面端子。CD/PHONOのRCAは真鍮削り出し |
入力端子は、アンバランス(RCA)に加え、バランス(XLR)も搭載。パワーアンプのMC5500とバランス接続が可能となっている。なお、RCA端子のうちCDとPHONO入力については真鍮削り出しタイプを使用し、ピッチに余裕を持たせ、より太いケーブルも使用可能としている。マクロ対応の双方向リモコンが付属する。
周波数特性 | 5Hz~100kHz、+1dB/-3dB |
全高調波歪率 | 0.05%(定格出力時) |
SN比 | 110dB(LINE、IHF-A) |
HDMI端子 | 入力×8 出力×2(同時出力対応) |
映像入力 | コンポーネント×3、S映像×4、コンポジット×5 |
映像出力 | コンポーネント×2、S映像×2、コンポジット×3(ZONE2含む) |
音声入力 | 光デジタル×4、同軸デジタル×3、アナログ(RCA)×9 |
音声出力 | アナログ×4(ZONE2/3含む)、アナログ9.2chバランス(XLR)×1 |
その他入出力端子 | RS-232×1、IR(入力×2/出力×1)、12Vトリガー出力×3 |
バランス/アンバランス 定格出力電圧 | バランス2V、アンバランス1V |
外形寸法 (幅×奥行き×高さ) | 435×453.5×198.5㎜ |
重量 | 14㎏ |
■ 9chパワーアンプ「PA-MC5500」
PA-MC5500 |
歪み率や周波数特性などを改善するため、NFBを最小限とした独自のワイドレンジアンプ技術「WRAT」によるディスクリート構成を採用。電源部のブリッジダイオードと電解コンデンサをパワーアンプ直近に配置。電解コンデンサからパワーアンプ回路までを銅バスプレートで接続している。22,000μF×2の大容量コンデンサを採用している。
また、電解コンデンサを中心に8ch分のパワーアンプ回路を左右対称にレイアウト、その上でドライバ回路を縦基板上に配置することで9.1chの電源供給経路を短縮。電源供給効率の向上とグランド電位の安定化を実現している。合わせて「音声周波数のような低い周波数領域ではあまり問題視されなかった信号経路についても、左右チャンネルのパス(長さ)を揃えることで空間表現力の向上を図った」としている。
低インピーダンス化を図るため、独自の3段インバーテッドダーリントン回路も採用。ドラムやピアノのアタック音など瞬時の立ち上がりにおいて、原信号に近い再生能力を獲得したという。電源部の電源トランスには大容量トロイダルタイプを使用。
入力端子には、バランス入力対応のXLRと、金メッキ真鍮削り出しのRCAを装備。スナップスイッチでRCA/XLRの入力切替はスナップスイッチで行なう。これらの入力端子の基板は、セパレーション向上を目的に各チャンネル独立構成となっている。
内部構造。手前側(本体前面)に、大容量トロイダルトランスを搭載し、大電流へのレスポンスに配慮 | RCA/XLRはチャンネルごとに基板をセパレート化 | 背面端子。RCAは全て真鍮削り出し |
定格出力 最大出力(6Ω時) | 200W×9ch 280W×9ch |
周波数特性 | 5Hz~100kHz、+1dB/-3dB |
全高調波歪率 | 0.05%(定格出力時) |
SN比 | 110dB(アンバランスIHF-A) |
入力感度 | 2V(バランス)、1V(アンバランス) |
スピーカー適応 インピーダンス | 4Ω~16Ω または6Ω~16Ω |
入力端子 | バランス(XLR)×9 アンバランス(RCA)×9 |
外形寸法 (幅×奥行き×高さ) | 435×458.5×198.5mm |
重量 | 23㎏ |
(2010年 10月 8日)
[AV Watch編集部 中林暁]